第五十六話
(凰)
『・・・』『・い・・・』『・い・お・・・』『・い・お・・おき・・』『おい! 凰! 起きろ!』
ん、ん~ん、『鳳、おはよ』
『おはよ、じゃない! 周りを見てみろ!』
んー、『鳳、何をそんなに慌ててるのー?』
僕は言われる通りに寝ぼけ眼のまま周りを見回す。
周りの景色が目に入り、僕の頭は徐々に覚醒していく。
そして、現状を僕の脳が徐々に把握していく。と同時に、僕は驚き混乱し僕の目は、ゆっくりと見開かれていく。
『な、な、な、な、な、何がどうしてこうなったの?!』
『落ち着け! お前に分からんことが俺に分かるわけがなかろう!』
『ああ、うん、そうだね』
僕は落ち着くために目を瞑り、大きく深呼吸する。
そして、再び、ゆっくりと目を開き、ゆっくりと周りを見回す。
『……何で? どうしてこうなったの?』
『お前、悲しげにいっているだけで、さっきと言ってること丸っきり同じだぞ……』
『だって、しょうがないじゃないか……』
そう、僕がこんな反応をしてもしょうがない状況に僕達は置かれていた。
僕達は何処までも続く神界の神の素であるエネルギーの海に身体を包まれ、僕の身体はそのエネルギーを大量に吸収し続けている。
そして、僕の身体の中心では常に新しい生命世界が生まれ続け、まるで星が集まる銀河の中心のように光り輝いていた。
その光一つ一つに生命の息吹を感じることが出来る。
僕達の身体は金と銀に輝き、大鳥の姿で蹲り僕の内で生まれた生命世界を守るような姿勢でいる。
そう、僕達は神界にある僕達の本体である鳳凰の身体に自我と意識が戻ってしまっていたのだ。
僕の身体の中では生命世界だけでなく、僕の身体が吸収したエネルギーの一部が生命世界に取り付き自我を得て神として誕生している。
生命世界や神界の神が生まれる事は、僕にとっては我が子が生まれる事のように、とっても幸せを感じる事だった。
だけど鳳と凰は神界の神が生命世界の成長に悪影響を与えることを良しとせず、場合によっては鳳がその神を殺しエネルギーとして再び吸収する事もある。
だが、人間が自身の細胞一つ一つを守る事ができないように、僕達も、生命世界全てを守る事はことは出来なかった。
例え、人間の体で言うところの免疫の役目をするゼンオウとゴオウがいたとしても無理があった。
先代鳳凰が生命世界に降りたのは、先代凰が生命世界の中で生き物として生活してみたい、というのも確かにあったが生命世界で実際に生活することにより、神界の神が生命世界にどのように干渉するかを知ることで出来るだけ多くの生命世界を守る方策を探ろうという理由もあった。
『今はそんな話はどうでもいいだろうが! 今はどうやってエルアンドに戻るかだろう! 何現実逃避してるんだ!』
『あうっ、そうだね、でもどうして、僕達の自我と意識は神界の鳳凰の本体に戻ってしまったんだろう?』
『そんな事はエルアンドに戻れば分かることだろう』
『うん、でも、鳳は戻り方分かるの?』
『うっ、それは、……生命世界を一つ一つ覗き込んで探すか、邪神に取り憑かれている生命世界を探すしかないだろう。生命世界と違い神界には時間というものが無いから全ての生命世界の現在過去未来を覗くことが出来る。俺達でも生命世界に干渉するには幾つか制約を受けるが覗き見るのは自由だからな……』
『そんなこと分かってるよ……確かに神界に時間の流れは無いけど、僕達、鳳と凰という自我には、いろいろな事の積み重ねによる感覚的時間はあるんだよ。その上で考えてみてよ、生命世界が一体幾つあると思ってるんだい? それに邪神だって無数にいるんだよ』
『ぬっ、それは、……だが、他に方法が有るのか? それとも、エルアンドを見捨て邪神にくれてやるのか?』
『うっ、………それは絶対に嫌だ。だけどエルアンドを見つけるのに、一体何時まで掛かることか……邪神にエルアンドを食われる前に見つけられるか……』
僕達は互いに溜息を吐き途方に暮れていると、*まったく、世話の焼ける子達ですね* と言う先代凰の声が聞こえた。かと思うと、一つの生命世界が僕の意識の中に入ると同時に自我と意識がその生命世界に引っ張られ吸い込まれていくような感覚を受ける。
その時、一柱の邪神と二柱の強い力を持つ神がその生命世界エルアンドに取り付いているのが見えた。
そして、僕達はシャインとしての僕達の肉体へと帰ってきた。
ほんの少しの間だけ空けていた肉体のはずなんだけど、何故だか長いこと離れていたような感じがして何となくこの肉体に懐かしさを感じた。
*まったく、あなた達は油断が過ぎるのではないかしら? 私という意識がこの肉体に残ったから、何とかあなた達を引き戻す事が出来たけど……*
あはは、『ごめんなさい、先代様』
*……これからは気を付けなさい*
先代凰は僕達に溜め息を吐くように言うと僕の中でまた眠りに着いた。
『ほんと、先代様がいなかったらヤバかったよね』
『ああ、これからは油断しないようにせんとな』
うん、『僕達の自我と意識がこの肉体から完全に離れて戻ってこれないということは、この世界のシャインという人間は死んだことになるんだよね。きっと……』
僕はその時の僕の親しい人達の顔を想像しその悲しみを思い、僕自身深い悲しみを感じブルルッと体を震わせた。
・・・戻ってこれて、本当によかった・・・
そして、僕は閉じていた目をゆっくりと開いてゆく。
その僕の目に飛び込んできた景色、それはジメッとした地下牢にような作りの部屋だった。
・・・というか、ここ完全に地下牢だよね・・・
周りはゴツゴツとした石のブロックに囲まれ、僕の正面には鉄格子が見える。
その中に僕は両腕を鎖に繋がれ石の壁に張り付け状態にされていた。
そして、僕の首には僕達の自我と意識を神界の本体に弾き飛ばした元凶が嵌められたままになっていた。
・・・まあ、この首枷の解析と無力化は、先代凰がやっておいてくれたみたいだけど・・・
『何でこんな状況になってるんだろう?』
『……お前が油断しすぎたからだろ。こんな首枷をかけられるなんてのは……』
『うっ、だって、破壊邪神も退けたし、まさかまだ僕が狙われるなんて思わなかったんだもん』
『それが油断だ、と言うんだ……まあ、だが、さっきよりはマシな状況なんじゃないか?』
『……まあ、そうなんだけど……』
僕が気落ちした声を出すと、僕の背にある神鳥弓が申し訳なさそうに震える。
『ああ。神鳥弓、君が気に病む必要は無いよ。この首枷は僕がマントを羽織ろうとして君が僕から少し離れた隙を突かれたんだから、やっぱり僕の油断が招いた結果だよ』
神鳥弓と鳳凰刀は僕の背中と腰にあった。
・・・恐らく、僕を拘束した者達は神鳥弓と鳳凰刀を取り上げようとしたんだろうけど、多分、神鳥弓と鳳凰刀にまともに触れることも出来ずに諦めたんだろうね・・・
『何にしても、ここが何処で、誰が何の目的で僕を捕まえたのか、それが分からないとこれからどうするか決めかねるね』
『そうだな、……おっと、この状況を説明してくれそうな人物が来たようだぞ』
鳳が言う通り、人の足音と弾むような声が僕の牢屋に近づいて来るのが聞こえてきた。
「やっと手に入ったか、私と陛下に永遠の若さと命を与えてくれるものが」
・・・この声には聞き覚えがある・・・と思いながら、僕は目を瞑り気を失っている振りをする。
その声の主は部下に僕の居る牢屋の鍵を開けさせ僕に近づいてくる。
「流石は私の影よ。誰にも気づかれず光の神子を捕らえてくるとは、お前達には褒美をやらねばな」
この声の主の感情や気持ちが僕の中に流れ込んでくる。
それは得難いものを得られたという純粋な喜び。
そして、永遠の若さと命への貪欲なまでの思い。
それは、ただ一人の人物への深い愛情から生まれた思い。
その人物に永遠に愛され続けたいという強い思い。
それらの思いを叶える為なら何でも、たとえ神を殺してでも叶えようとする強い覚悟。
・・・あー、この人か、……狙うとすれば母さまの方かと思ってたけど・・・まさか僕を狙ってくるとは・・・愛する者と永遠に一緒に居たい、と言う気持ちは分からなくも無いけど・・・
『だからといって素直に殺されるわけにもいかないよねー』
『というか、こいつ等に俺達を殺せるような力は無いだろう?』
『いや、分からないよ。この首枷の事もあるし、何か僕達を殺せる魔法道具でも持ってるのかも』
『むっ、そうだな、それは否定できん』
『……さて、どうしようか。この声の主は間違いなくジャカール帝国第一皇妃のカルルー・ジャカールだと思うけど。その近くに居るのは三人、この気配の分かりにくさから多分、カルルー皇妃の影だと思う』
『そうだな、……いや、まて、もう一人居ないか?』
鳳が五人目の存在に気がついた時、僕とその五人目を除いて牢内に居る者達全てがまるで時が止まったように動きを止めた。かと思うと、「お初にお目に掛かります。当代鳳凰様」という、近くからとも遠くからとも思える距離感のつかめない声が聞こえてきた。
「鳳凰様、もうお目覚めなのでしょう?」
僕はゆっくりと目を開け、周りを確認する。と、僕の前、僕とカルルー皇妃との間に一人の少女が僕に対して跪いていた。
「君は? ……この気配、邪神将、かな?」
「……はい。私は破壊邪神様に仕える者で、名をカルマ・マーシャルと申します」
「で? 僕に何の用?」
僕はカルマと名乗った漆黒のローブを纏う少女姿の邪神将に対して素っ気なく問い掛ける。
少女は僕の問いかけに黒髪に赤眼の美しい顔を上げ口を開く。
「鳳凰様、何卒、我が主、破壊邪神の元にお出でください。そして、何卒、我らが願い聞き届けて頂くよう切にお願い申し上げます」
その少女、カルマは再び深々と頭を下げる。
彼女の纏っている漆黒のローブは、彼女が放つ乱世の狂気の邪気邪念を完全に封じてはいるが、彼女がもう乱世の狂気そのものになってしまっているのは一目見ただけで分かった。
彼女の身体はとうの昔に滅んでしまっているのだ。
だが、乱世の狂気そのものとなっても彼女の強い意思と信念は乱世の狂気に食われること無くそこに存在していた。
「我々がこの世界を破壊した後、当代凰様にはこの世界を争いや差別の無い世界に創り直して頂きたいのです!」
・・・肉体を失い乱世の狂気そのものとなっても成し遂げたいという想いはすごいと思う。それだけの事が、破壊邪神や邪王、邪神将達の過去にあったんだとも思う……でも、だからといって・・・
「……この世界を邪神や先代鳳の力を使って破壊しようと考えている者達の力になるつもりは、僕には無いよ」
「何故ですか?! 弱い者からは搾取し、優しい者にはつけ込み、数の力で少数の者達を弾圧する。これ程までに欲とエゴに塗れた世界を貴女は何故守ろうとされるのですか! 現に貴女は永遠の命と若さを得んが為というカルルー・ジャカールの極個人的なエゴによりこんな状況になっているのですよ! この世界にはそういった者達が溢れかえっているのですよ! こんな穢れた世界を貴女は何故守ろうとされるのですか?!」
うっ、「この状況は、僕の油断によるものなんだけどね」と、僕は目を泳がせ、「それに、ここから抜け出そうと思えば何時でも抜け出せるんだから……」と呟いた後、一つ咳払いをしてカルマの目を見ながら言う。「君が過去にどんな辛い思いをしてきたか僕には分からない。でも、そんな中にも君に、いや、君達に手を差し伸べてくれた者達はいたんじゃないかい? そういった者達も君達は殺してしまおうというのかい?」
「……確かに私達に手を差し伸べてくれた者達もいました。ですが、それは少数です。私達の置かれた状況を改善させられるような数ではありませんでした。それに、凰様が創り直した幸せな世界にそういった者達を再生して頂ければ問題ありません」
「僕に死んだ人を再生させる力なんてないよ。似たものは創り出せるけど、それは似たものであって全くの別人だ」
「……ならば仕方がありません。幸せな世界を創るためのやむを得ない犠牲だと思ってその者達には諦めてもらうしかありません」
僕はカルマのその応えを聞いて大きく息を吐いた。
「僕はこの世界が君の言うこの世界の者達の欲とエゴで滅ぶというのなら、それはそれで仕方の無いことだと思っているし、それはこの世界の者達の自業自得だろうとも思っている。でも、この世界の者達が気に入らないからといって、この世界のもので無いものの力を使って滅ぼすというのは、それこそ君の言うところのエゴではないのかな?」
・・・・・・。
カルマは僕から目を離さないまま難しい顔をして何か考えていたようだが、暫くすると口を開いた。
「では凰様、貴女がこれまでに浄化されてきた乱世の狂気ですが、……その乱世の狂気をこの世界に蒔いたのは確かに我々です。ですが、ここまで成長させ世界に蔓延させたのは間違いなくこの世界の者達です。ならば、この乱世の狂気でこの世界が滅んだとしても、それはこの世界の者達の責任ということでいいですね」
「カルマさん、貴女は知っているのかな? 邪神の力は人々の心に恐怖心を与えるだけで無く、人々の心の負の部分に取り付き増幅させるということを。乱世の狂気には邪神の力が使われている。それはもうこの世界の者には抗えない力だ。そんな力でこの世界が滅ぶのを僕が許すと思うかい?」
「……では、どうあっても、我らに力は貸せない上に邪魔をすると?」
「うん、そうだね」
「……そうですか、分かりました」
そう言うと、カルマさんは立ち上がり、「今回は、退きましょう。ですが、諦めた訳ではありません。我らは力ずくでも貴女様にご協力いただきますので、そのおつもりで」と言い、空気に溶けるようにカルマさんは姿を消した。
その途端、カルルー皇妃達は動き出す。
僕は慌てて目を閉じ気を失っている振りをする。
『さて、ここから脱出するのは簡単だけど、この人をこのままにしておくのも危険な気がするし、誰かこの人が改心するように罰してくれる人が来るまで待つべきかなあ』
『そうだな、……いや、それほど待つ必要も無いようだぞ』
僕と鳳が話していると、「さあ、はよう血をグラスに注げよ」と言う、カルルー皇妃の、待ちきれない、というような命に影の一人が僕に近づく。
その時、「そこまでだ! カルルー!」と言う声が地下牢に響く。
その声に、カルルー皇妃とその影が全員一緒に振り返る気配がする。
「へ、陛下!」
カルルー皇妃は振り返ると同時に動揺し叫んでいた。
「カルルー、貴様、なんのつもりだ! 余の決めた東神名国との停戦のために来て頂いた光の神子をこの様な所に捕えているとは……」
「い、いえ、違うのです、これは、そ、そう、こ奴らが光の神子を監禁していると聞いて、私も今駆けつけてきたところなのです」
「……カルルー、見苦しいぞ」
僕は様子を見ようと薄目を開ける。
そこには、五人ほどの近衛を連れたジャカール帝国皇帝グラディス・ジャカールが険しい表情で牢の外に立っていた。
僕の心にグラディス陛下の、カルルー皇妃に対する愛情、馬鹿な事をした皇妃に対する哀れみ、その皇妃を罰しなければならない悲しみが、ひしひしと伝わってくる。
僕はグラディス陛下がカルルー皇妃をどう罰するのか固唾を呑んで見守る。
牢の中に入ってきたグラディス陛下は、「カルルー、そこへ直れ。余が直々にお前の首を跳ね、光の神子とシャイナ教に対する詫びのしるしとする」と言いながら、腰に差した剣を引き抜く。
・・・ええええ?! いきなり手打ち?! カルルー皇妃の首なんていらないよー!!・・・と僕が泡を食っていると。
「陛下! お許しを! 何卒何卒、私の話を聞いて下さい!」
そう言いながらカルルー皇妃はグラディス陛下の足元に縋り付く。
「ええい! 見苦しい!」と、グラディス陛下はそのカルルー皇妃を蹴り飛ばし「心配するな、余も直ぐにお前の元に行く」と言いながら剣を振り上げる。
・・・ええええ?! 少しくらい話を聞いてあげてよー!!・・・と思い僕は思わず「グラディス陛下!! お待ち下さい!!」と声を上げた。
ぬっ、「光の神子殿、気づいておられたか。暫し待たれよ、貴女をこの様な目に遭わせたこ奴の首を跳ね詫びのしるしといたすので……」
「いやいやいや、それをお待ち下さいと言っているのです!! 僕はカルルー皇妃の首など要りませんし、貴方に死なれても困ります!」
グラディス陛下は剣を下げ、「では、どうせよと仰せか?」と僕に問いかけてくる。
「この事を知っているのは、ここにいる人達以外に誰が知っていますか?」
「カルルーの様子がおかしかったので見晴らせていたのだが、その者からこの知らせを聞いて、直ぐにアジーナ大神官に詫びを入れ余が責任を持って光の神子を救い出すことを条件に内密にしてもらうように頼んできた。故に、知っているのはアジーナ大神官だけだろう」
「そうですか……」と言いながら、僕は・・・恐らく、僕の神護の指輪を持っている人達は気づいているだろうな・・・と思いながら『それでもここに誰も来ないって事は、それだけ皆僕の事を信頼してくれてるのかな?』と鳳に話し掛ける。
『いや、皆、破壊邪神の騒動の後始末に手一杯でこれないだけだろ』
『えー、……そうなのかな……』
僕が本気でショックを受けそうになる。と、『冗談は置いといて、俺の力を借りたいんだろ』と鳳が言う。
『うわー、酷いよ鳳。本気で落ち込むところだったじゃないか』
僕はそう言いながら鳳の力を使い両手首に掛けられている手枷と鬱陶しかった首枷を消滅させる。
僕が苦も無く手枷首枷を消滅させてしまった事にカルルー皇妃だけでなくグラディス陛下も驚き目を丸めていた。
恐らく、手枷も魔法では破壊できない合金ででも出来ていたのだろう。
だが、そんなもの破壊の神、鳳の力の前では無いに等しい。
「……ならば、僕が一人で散歩していたら道に迷ってここに迷い込んでしまったことにしましょう。それをカルルー皇妃が見つけてくれた事にすればいいんじゃないかな?」
「また、無茶な事を言う……それでは、こ奴のしでかした事を貴女は許すと言うのか?」
「カルルー皇妃も最愛の人の事を思ってしでかした事ですし、結果として、その最愛の人を苦しめるような事をしてしまった。それをカルルー皇妃は心から反省していますよ」
僕がそう言いながらカルルー皇妃の前にしゃがみ込み、「そうですよね?」と尋ねると、「ごめんなさい、ごめんなさい」と言いながらカルルー皇妃は僕に縋り付き子供のように泣き出した。
「分かっていますよ。貴女は愛するグラディス陛下の事を思ってこんな事してしまったんですよね」
僕はそう言いながらカルルー皇妃の頭を撫でてやる。
そんなカルルー皇妃をその厳い顔に似合わない優しい瞳で見て、「光の神子には返しきれないほどの大きな借りが出来てしまったな」と、グラディス陛下は呟いていた。
カルマのセリフを少し付け足しました。1/1




