第四十八話
第四十七話の(凰)の後半部分を少し書き直しました。7/22
凰のセリフ「世界を産む神、生命の神たる凰より産まれ出づるは日本刀・・・鳳の身を借りて産み出さん」の「産み出さん」を「生み出さん」に変更しました。9/25
(シルバー・ファングル大将軍)
俺は光の神子達を閉じ込めた部屋から出ると、低く唸るような微かな音を聞きながら、その青白く輝く幾何学模様の外壁を眺めていた。
俺は軍内の停戦反対派の工兵に命じこの先代凰様の遺物に少し手を加えていた。
・・・とは言っても、出入口の扉を隠し扉に変えただけなのだが・・・この先代凰様の転移装置の構造が解らなかったため、その構造部分には手を付けないように気を付けさせてはいたが、何の不具合もなく作動してくれたようだ・・・
俺は、幾何学模様の青白い光が収まると、転移装置の部屋の隠し扉に差し込んだ管理者キーを引き抜き、警戒しながら慎重に隠し扉を開き中を確認する。
部屋の中には先ほどまで居た、光の神子とフィーロの姿は無かった。
俺は、ホッと息を吐き・・・上手く転移させられたか・・・と思いながら、その部屋を横切り光の神子達が入ってきた出入口から出て階段を上っていく。
すると、俺が階上にある扉に合図のノックをする前にその扉が開いた。
外で待機していたミーニャが俺の気配に気づいたのだろう。
俺がそこから応接室に出るとミーニャが俺を笑顔で迎えた。
「シルバー大将軍、上手くいきましたか?」
「ああ、メフィール皇子をこのトーゲンから隔離することは出来なかったが、皇妃の影達が上手く光の神子様の護衛を排除してくれたお蔭で光の神子様と天人のフィーロ、この厄介な人物二人を上手くこのトーゲンから隔離することが出来た。まあ、今回の作戦は成功したと言っていいだろう」
「そうですか……」
「後は、ここに潜り込んでいる者達が予定通り上手くやってくれることを祈るだけだな」
「……では、我々は本隊に?」
「ああ、合流する」
俺が停戦反対派の本隊に合流する事を伝えると、ミーニャは一瞬表情を曇らせたように見えた。
(凰)
「くああああ!!」
『ほらほら、さっきまでの余裕は何処へ行ったのかしら?』
「くっ、何で急に……」
『そんな事ではこの中枢システムのガーディアンである私を突破するどころか、これまで掌握してきたシステムも取り返しちゃうわよ』
先代凰の姿をしたシステムナビゲーター兼ガーディアンの雰囲気が変わってから、いきなり転移装置のシステムセキュリティの威力が段違いに跳ね上がった。
「貴女、システムナセキュリティのガーディアンでなく本物の先代凰でしょ!」
『ハテ、ナンノコトデショウ? ワタシハコノ転移システムノ、タダノナビゲーター兼ガーディアンデス』
「ふざけないでよ! 貴女の雰囲気が変わってから防壁も攻撃力もまるで僕を対象にしたように強くなってるじゃないか!」
ホホホホホ、『おかしな事を、侵入者の強さに対応して防御力攻撃力を変化させるのは当然ではありませんか?』
「うわ、開き直ったよこの人……」
僕と先代凰は口論仕合ながらも攻防を繰り広げていた。
「このっ! これでどうだ!」
『あらあら、ダメダメ、出力が足りてないのに、そんな無理やり押し通ろうなんて無茶をしちゃダメよ』
「あい"だだだだだっっ!!」
僕は先代凰が作り出した防壁を強引に突破しようとするが先代凰の防壁は硬く僅かにヒビが入っただけだった。
対して先代凰はパチリッ! と指を鳴らし即座にカウンターアタックのサンダーボルトを発動する。と同時に、その僅かなヒビも即座に修復されてしまい、僕は雷に射たれ精神だけでなく肉体にも熱傷を起こすほどのダメージを受ける。
「ぐううううう………貴女は……生命を傷つけるような、事は出来ないんじゃ、なかったの?」
『またまた、貴女はおかしな事を言うわね。貴女は何時からこの世界の生命体になったのかしら? 貴女は私であり神界の神、鳳凰の半神、凰なのですよ。私は貴女という私自身をいたぶ、鍛えているだけです』
「言い直した?! 今言い直したよね!」
『ハテ、ナンノコトデショウ?』
誰かが聞いていれば僕と先代凰は余裕を持って喋っているように思われるかも知れない。
だが、僕が精神に受けたダメージは実際の僕の体に酷い熱傷を起こさせたり凍傷を起こさせたりする程のものだった。
僕の前に正座しているフィーロさんは最初、僕の体にダメージが表れると驚き慌てて治癒魔法を掛けようとしていた。
しかし、僕の体はフィーロさんが僕の体に治癒魔法を掛けるより早く自然に治癒再生してフィーロさんを更に驚かせていた。
だが、流石に損傷、治癒、損傷、治癒を繰り返す僕の体を見てフィーロさんは顔を青ざめさせオロオロとし始めていた。
実際、僕は先代凰に強がってみせてはいるが僕は先代凰にかなり追い詰められていた。
体にまで影響が出るほどの精神攻撃を受けているのだ。
先代凰とまともに会話をしているのが自分でも不思議なくらいだった。
『なかなか耐えますね。ですが、今の貴女では大切な者達を邪神から守る事は出来ません。いっそのこと私に全てを委ねて私と代わっては如何ですか?』
そう先代凰は少し期待するような表情で僕に提案する。
「いえ、お断りします。僕の大切な人達は僕が守ります!」
『……今は過去の残り火であり貴女の影でしかない私にここまで苦戦をするような人が邪神に勝てるとでも?』
「・・・・・」
『返事がありませんね。自信が無いのなら私と代わりなさい!』
そう言うと先代凰の白銀の瞳が鋭く光る。と同時に、これ迄に無い程の力が先代凰から発せられる。
・・・これはやばい・・・と感じた僕は、咄嗟に防御の為、転移装置のシステムに侵入して初めて、というか生まれて初めて無意識にではあるが神力を使い全面に無色透明の防御壁を展開させた。
これまで僕は転移装置の防御システムを攻撃するのに武器も盾も持たずに徒手空拳で攻撃も防御もしていた。
具体的に言うと、攻撃の時は殴ったり蹴ったり体当りしたり、防御の時は頭を両腕で守るだけでそのまま攻撃を受けていた。
対して先代凰は防御には雷や炎を纏った防御壁を出したり、攻撃にはサンダーボルトやファイアーストーム、アイスレインなど雷、火、水系統の攻撃を仕掛けてきていた。
『そんな微弱な力でイメージの甘い防壁など無いに等しいですよ!』
先代凰は手の中に剛弓と白熱する矢を産み出すと同時にその矢を僕に向け放つ。
その矢は、僕の防壁をまるで何の障害も無いように突き抜けガードする僕の腕を貫き僕の胸に突き刺さると同時に僕の体を灼熱の炎で焼いた。
「くああああああああ!!!」
僕はその灼熱の炎に身を焼かれ、その熱量に感覚が追いつかないためか身を焼かれているというのにその熱と共に身が凍えるような感覚を受ける、と同時に意識を持っていかれそうなほどの苦しみを味わう。
『貴女はこの世界に来て周りの者達に守られ弱くなってしまった。前の世界では貴女はその世界を守るために怒り猛り狂う当代鳳の力の暴走を完全に抑えあの世界の人間として生活させていた、あの頃の貴女なら今の私など容易くねじ伏せられたでしょうに、残念な事ですね』
「ぼ、僕には、そんな、記憶無いんだけど……それに、僕達が、前の世界で普通の人間として、生活していられたのは、貴女が僕達に封印を施していたからでしょ……」
僕は何とか繋ぎとめた朦朧とした意識で先代凰に問いかけた。
『私の掛けた封印は長い時を経て弱まっていました。そこにあの当代鳳の怒りに暴走する力です、私の封印など一溜まりもありませんでしたよ……貴女にその記憶が無いのは、貴女は当代鳳の暴走する力を完璧に抑えていましたが、それでも怒り狂う当代鳳の暴走する力の影響を全く受けていなかったわけではありません。その上、この世界に来て直ぐに体を生まれ変わらせ、その時に私の封印が復活したのが影響したのでしょう』
「よく、分かんない……でも、周りの人達に守られて、前の世界にいた時より僕が弱くなったのはなぜ? 前の世界にいた時、僕は神界の神、凰としての力を使えていたの?」
『凰としての力を使えなければ鳳の暴走を抑えられるわけが無いでしょう。それはカリンを救った時のことを思い出せば分かるでしょう』
「でも、鳳がカリン姉さまを助けたとき、僕は鳳の暴走を抑え切れなかった。それに、その後は神界の神としての力は使えなかった」
『それは、貴女が自分の力に恐怖してしまったため、無意識に自分の力を抑制してしまったから。貴女は私と違ってこの世界を傷つけないように自分の力を制御することが出来る。ですが無意識に気付き恐怖してしまったのです、貴女は周りの者達に守られることに慣れ、それが故に貴女はその守ってくれる大切な者達の力を遥かに凌駕する自分の力がその人達を逆に傷つけてしまうのではないかと、その力の強大さに。いまだに数え切れない程の世界を産みその世界を包み込んでいる神界にある自分の本体に』
「・・・・・・」
『そして、貴女は神界にある神としての貴女自身の神力がこの世界に影響することを恐れ、この世界に影響しないように十分に制御する力が貴女には備わっているというのに、その神力を抑えているつもりで無意識に自らその神力を取り出す門を封印してしまった。その為、その門から僅かに漏れ出す神力しか使えない貴女は未だに神界の神、凰としての力を使うことが出来なくなっている。今の貴女でもこの世界の者達が貴女の大切な者達を傷つけようとしても容易くその大切な者達を守ることは出来るでしょう。ですが、今の貴女に微弱とはいえ私の半身であり神界の神である先代鳳の力を奪った邪神から大切な者達を守ることが出来るとは思えない』と言うと、先代凰は『なので代わりに私が貴女の大切な者達を守ってあげましょう』と言ってニッコリと笑う。
『少し話が長くなってしまいましたが、もういいでしょう貴女は私に全てを任せ安心して眠りにつきなさい』
先代凰は真顔になるとさらに力を増しその体に白銀に輝く凰の姿を象った光を纏う。
そして、その両手には白銀に輝く大剣を生み出し握られていた。
僕は先代凰との会話の間に朦朧としていた意識をハッキリとさせることが出来ていた。
そして、今度は自分の前面に無色透明な分厚い防御壁を築く。
『だからそんな弱い神力でイメージの甘い防御壁を作っても無いに等しいと言ったではありませんか!』
先代凰は大剣を振り上げると猛スピードで僕に迫りバターを切るように軽く防御壁を切り裂いた。そして、その刃を返し左下段から袈裟懸けに僕を切り裂こうと振り上げる。
僕はそれを体を翻して紙一重でかわした。が、僕が先代凰に向き直った瞬間、左胸に大きく鋭く冷たい異物が突き刺さり体の内を切り裂きながら左の背中に突き抜けていくのを感じ、体全体に悪寒が走るのを感じると共に冷や汗と脂汗が一緒に全ての毛穴から噴水のように噴き出すのを感じる。と同時に左胸に死にそうなほどの激痛が走り死にそうなほどの息苦しさに襲われ全身が小刻みに震え力が入らなくなる。
僕は先代凰に左胸を大剣で貫かれ、先代凰は僕の左胸に大剣の刀身を根元まで切り込ませるため、僕に体をぶつけるように密着させる。
『全てを私に任せて、早く楽になりなさい』
僕の耳元に口を寄せ先代凰が囁いた時、僕の左胸を貫いている先代凰の大剣の力が発動され白熱した矢に貫かれた時とは比べ物にならない程の灼熱の炎が僕を包み込んだ。
「ぐっ、ああああああああああああああ!!!」
僕は左胸に刺さる大剣を引き抜こうと先代凰の白いローブを掴みもがくが力の入らない腕では密着する先代凰の体を自分の体から引き離すことも出来ない。
僕は余りの高温に冷たささえも感じさせる大剣の灼熱にもがき苦しみながらも何とか引き抜こうと先代凰の体を引き離そうと殴りつけるように手を何度も先代凰の体に押し当て、自分は後ずさろうとするが先代凰はビクともせず自分の足は震えるばかりで思うように動かない。
その内、意識が朦朧とし始め熱も冷たさも苦しみも感じなくなり始める。
・・・また大切な人達を誰も守れずに、僕は、ここで死ぬのか? ・・・
そう思った時、暗くなり始めた僕の目の前にこの世界に生まれてから今までに会った人達の顔が鮮明に浮かぶ、その皆の温かな笑顔を思い出し体の底から心の底から魂の底から・・・この人達を守りたい・・・という強烈な想いが湧くと共に芯の底から爆発的に力が溢れ出す。と同時に、僕の体から先代凰が纏う光を遥かに凌ぐ光が溢れ出し、先代凰を僕の左胸を貫く大剣諸共弾き飛ばした。
『大切な者達への思いの強さに、自ら封印した門を開きましたか』
先代凰は弾き飛ばされながらも体勢を建て直し、地に足がつくと同時に弾き飛ばされた勢いの反動を利用して再び僕に迫ってくる。
「神界の神、鳳凰が半神凰たる我が命ずる。我が白銀の大翼よ、我を包み込み我に害なそうとする全てを弾く絶対の盾とならん」
僕は神力により生み出す防御の為のものを、イメージしやすいように唱えるように言葉に出して言う。すると僕の体が放つ光が僕の体に収束したかと思うと、僕の背中に大きな翼を生み出す。その白銀に輝く大翼は僕の体全体を優しく包み込む。
僕は何故かその白銀の大翼をまるで自分の体の一部のように羽根の一枚一枚まで何の苦もなくイメージし生み出すことが出来た。
鳳凰の本来の姿は大鳥の姿をしている、という言い伝えはは本当の事なのかもしれない。
先代凰に聞けば分かるかもしれないが、今はそんな事を聞いていられるような状況に無い。
白銀に輝く大翼が僕を包み込んだ時、先代凰はその手に持つ光の大剣を僕に向けて降り下ろしていた。が、ガキン!! とその先代凰の大剣を僕の大翼が弾き飛ばす。だが、それで先代凰は諦めず僕の体を包み込む大翼の一点に集中して上から下から横からとあらゆる角度から先代凰の体や大剣が幾重にも重なって見えるほどの高速で重たい斬撃を何度も何度も打ち込んでくる。だけど、僕の翼はビクともせず先代凰のその鋭い斬撃を全て弾き返している。
・・・先代凰……もう一人の僕、彼女を退けるには・・・
僕はその間に先代凰を退ける武器を産み出すため、その武器のイメージを唱えるように言の葉にする。
「世界を産む神、生命の神たる凰より産まれ出づるは日本刀、其は柄の長さ二十五センチ、刀身、長さにして八十センチ、反りは二センチ、元幅(柄近くの刀身の幅)三センチ先幅二センチ、元重(柄近くの刀身の厚み)七ミリ先重五ミリ、柄から刀身は創造の神たる我が身をもって刃は我が半身にして全てを無に帰す破壊の神、鳳の身を借りて生み出さん」
僕が唱え終えイメージが固まると僕は胸の芯に愛しさを伴う熱が生じるのを感じる。
そして、僕の胸の谷間から赤子が産まれ出るように純白の日本刀の柄が、産声を上げるように眩い白銀の光と共に頭を出したかと思うと、僕がイメージした日本刀が徐々に僕の胸から白銀の光を溢れさせながらせり出してくる。
その日本刀は完全に僕の胸から生まれ出ると、その日本刀が放っていた眩い光は優しく淡いものとなり、その切っ先と柄を入れ替えるように縦に回転し、僕の方へと柄を向ける。
その日本刀は純白の柄に、艶く曲線を描くような反りをもった白銀に輝く刀身を持ち、そして何者も寄せ付けぬような鋭さをもった鋭利な刃は黄金に輝いている。
僕はその日本刀の美しい姿に深い愛しさを感じ、その柄に両手を伸ばし愛しい我が子の頭に優しく手をかけるように握り締める。すると、その柄からその日本刀のこの世に生まれ出た喜びと己が使命遂行への強い意思が伝わってくる。と共に、それを持ちそれを使う結果に対する責任と義務の重さがずっしりと伝わってくる。
そんな僕の産み出した日本刀の感触に更に愛しさを感じながら口を開く。
「命名、神刀、鳳凰刀。君の名前は鳳凰刀だ」
僕がその日本刀に対してそう言うと、その日本刀、鳳凰刀は嬉しそうにキラキラと輝く。
僕はそれを見て可愛い我が子が満面の笑みを見せてくれたような気がしてつい頬が緩んでしまった。
そして、僕は我が子に話し掛けるように鳳凰刀に優しく話しかける。
「鳳凰刀、先代凰を退ける……いや、先代凰に認めてもらうために力を貸してくれるかな?」
鳳凰刀は僕の言葉にまるで応えるように輝きを増す。
僕はそれに対して「ありがとう」と、微笑み感謝を述べた。
僕は目を瞑ると気持ちを切り替えるため一つ息を吸う。
そして、はぁぁ……、と少し長めに息を吐き目を開いた。と同時に、僕の大翼に猛攻をかけ続けている先代凰を弾き飛ばすように、その大翼を大きく広げると共に鳳凰刀を右下段に構える。
『……覚悟は出来たようですね』
そう言うと、先代凰は少し寂しそうな笑顔を見せる。が、直ぐに真剣な表情になりその手に持つ白銀に輝く大剣を大上段に構える。
そして、その大剣に全ての力を注ぎ込んだのか体に纏っていた白銀の光が大剣に移り収束していく、と同時に、大剣は輝きを増し一撃で僕を消滅させ永い眠りに着かせられるだろう白熱した神剣となる。
『参る!!』
そう気合を入れるような声を出すと先代凰は瞬間に僕との間合いを詰め、白熱した神剣を間髪いれずに僕の脳天に振り下ろす。
僕はそこまで身動ぎせずに先代凰を眺めていた。が、先代凰が白熱した神剣を振り下ろそうとすると同時に僕は下段に構えた神刀、鳳凰刀をその白熱した神剣に向け軽く振り上げた。瞬間、その振り上げは神速となり先代凰の白熱した神剣を根元から切り飛ばしていた。
勢いはそのままに僕はその返す刀で先代凰の右の肩口から袈裟懸けに鳳凰刀を振り下ろす。
先代凰は神剣を振り下ろした格好で最初のうち何が起こったのか理解できずにいた。が、自分の神剣が根元から切り飛ばされていることに気付き、自分の体が右の肩口から左脇腹へと切られていることに気が付くと、少し寂しそうな嬉しそうな表情を見せて、「ほら、やれば出来るじゃない」と呟きながら僕の方へと体を預けるように倒れかけてくる。
僕は両手で持つ鳳凰刀から慌てて左手を離し、先代凰の体を抱きとめた。
「先代様、また僕の中で僕達を見守っていて下さい」
『……今の口ぶりだと、ばれていたのかしら?』
「自分の力に恐れを抱いていた僕のヘタレた根性を叩き直すために無理をして現れてくれたのでしょう?」
フフフ、『この転移装置のシステムの小さな世界を吹き飛ばすことも無く己が力を使いこなし私を倒したのです。自分に自信を持ちなさい。貴女は私の自慢の娘なのですから』
「うん、ありがとうお母さん」
最後の言葉は自然と僕の口から零れていた。
その僕の言葉を聞くと先代凰は嬉しそうに微笑み、その身体は光の粒となり始め僕の中へと戻っていった。




