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異世界戦国異聞 <勇女~勇ましき女たち~>  作者: 鈴ノ木
第参章 東神名国、ジャカール帝国 停戦条約
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第四十五話

シャイナ教神殿をシャイナ教大神殿に変更しました。1/14

シャイン・おう


 「何か釣れますか?」


 僕が共有庭園の川に釣糸を垂れている人物に声を掛けると、その人物はよっぽどボーッとしていたのかビクリと体を震わせ僕達の方へ顔を向けた。と同時に僕と目が合い、何故か慌ててまた川の方へと顔を戻す。


 「……いや……まだ始めたばかりだからな、何が掛かるかは分からん」


 その人物は、鬣と体毛が真っ白な凛々しい獅子顔の獣人だった。

 ただ、右の額から頬にかけて真っ直ぐに刃物傷が入っていて、その傷により右目は閉じられていた。


 「そうですか……隣、いいですか?」

 「ん? ああ、好きにすればいい」


 僕がその人物が座る大きな石の隣にある小さな石に腰掛ける事の許可を求めると、その人は鼻の頭を掻きながら許可をくれた。


 サーシャは石の上に座った僕の左隣に立ち、シャリーナ姉さまとクロガネは僕の後ろに立つ。


 「お前は、その、シャイナ教神殿の者か?」

 「え? ああ、はい。そう言えば名乗ってませんでしたね。えっと、……僕は神官見習いのザインといいます」

 「……神官見習い、か……」

 「あの、何か?」

 「いや……俺はジャカール帝国のホワイトだ」

 「……ホワイトさんですか、初めまして」

 「……ああ、初めましてだな」


 ホワイトさんは話している間、僕と目を合わせないように釣糸の先に浮かぶウキを見つめながら受け答えをしていた。


 『凰、お前、やっぱり嘘をつくのが下手だな』

 『……なんで?』

 『バレバレじゃねーか。神官見習いと言ったくせに、何故、神官のサーシャを座らせずに見習いのお前が座っているんだ?』

 『……あっ』

 『あっ、じゃねーよ。それに、シャイナ教の神官は……』


 「確か、シャイナ教の神官はエルフにしかなれないと聞いていたのだが……」


 鳳が僕に指摘しようとしたことを、先にホワイトさんが口にした。


 「あっ、……それは、その、光の神子様の側付きとして例外的に……」


 僕が両手をわたたかせ必死に言い訳を口にすると、ホワイトさんは、クククッと楽しそうに笑いを漏らした。


 「まあ、そういう事にしておいてやろう」

 「……そうして頂けると有り難いです」


 それから暫くの間、僕達は耳に心地よい緩やかに流れる川の音や風に揺れる草木の枝葉が擦れ合う爽やかな音を聞きながら釣糸の先のウキを見詰めていた。


 「ザイン、お前は砂漠に覆われたジャカール帝国をどう思う」


 一瞬、西(ジャカール帝国側)から乾燥した強い風が吹き、戦で鍛え上げられた大きくてゴツイ体に袖の短い黒のワンピースの様なゆったりとした服、その腰に黄色い布を巻いたホワイトさんの白い鬣を煽り、その黒服の裾を大きくはためかせる。


 「……そうですね、人が生きるには過酷な環境の国だと思います」

 「我が国では子供が大人まで成長できる人数は三人に一人だと言われている。三人に二人は食糧不足が原因で幼い内に死んでしまう」

 「……だからと言って、他国の豊かな土地を力ずくで、というのは如何なものかと思いますよ」

 「ならば、どうすればいいと言うのだ? 我が国の民を救うには豊かな土地を手に入れるしか無いではないか」

 「そうですね……でも、第三皇子なら別の道を探り当てそうに思いますが」

 「……それでは色々と遅いのだよ。東神名国から食料を輸入するにしろ、火の神の怒りを収めるにしろ。いずれにしろ時間が掛かりすぎる」

 「そんな事はありません。東神名国の魔法技術を使えば食料を腐らせずにジャカール帝国各地に食料を配る事が出来るでしょうし。火の神の怒りを収めさせる事が出来ればジャカール帝国全土に雨が降るようになるでしょう。そうなれば、シャイナ教の者達エルフの力により大地の活力を高める事が出来るようになります。そうすれば数年後にはジャカール帝国の大地に緑が戻りジャカール帝国を覆う砂漠も激減するでしょう。他国から土地を奪うよりは確実だと思いますが?」

 「……かも知れぬ。だが、食料を配るにしても帝国全土に十分な量を配るのは難しいだろうし、火の神の怒りも何時収まるのか分からない。……それに、もう遅いのだ。一旦動きを止められた岩は成長し大岩となっている。その大岩はもう転げ始め、加速し始めている。これを止めるには今すぐにでも将来に誰もが希望を見出だせる程の事が起きない限りは無理だ!」


 最後にホワイトさんは自分の膝を力一杯叩いて呻くように言う。直後、ハッと顔を上げ一瞬苦虫を噛み潰した様な表情で僕を見た。が、一つ息を吐くと直ぐに表情を戻す。


 「余計なことを喋りすぎた。忘れてくれ」


 ホワイトさんは釣竿を持ち上げ穂先を軽く振るい釣糸を竿に絡ませると、「今日は日が悪いようだ」と言いながら立ち上がり、チラリと僕の後ろに立ちフードを目深に被るシャリーナ姉さまを見る。


 「ああ、そうそう、もしシャイナ教の者に会ったら伝えておいてくれとシルバーという人物から頼まれていた事を思い出した。額に角を生やした黒髪の美女を見たら「五年前の借りは必ず返す」と伝えておいてくれいうことだ」


 ホワイトさんは右の額から頬に達する傷の頬の部分を指でなぞりながら僕に言うと「じゃあな」と言って、ジャカール帝国トーゲン執政官屋敷に向かって石畳の小道を歩いて行った。


 「だそうたよ、シャリーナ姉さま」と、僕がシャリーナ姉さまに目を向けて言うと、「姉さまは要りません」と言って、シャリーナ姉さまはホワイトさんの歩き去った方角に顔を向ける。


 「彼、ホワイト……いえ、もうシルバーでいいでしょう。シルバーはジャカール帝国の大将軍です」

 「うん……彼も僕と同じで身分と名前を隠してたよね」

 「はい、二人ともバレバレでしたけどね」

 あははは、「ですよねー。まあ、僕は気楽に話がしたかっただけなんだけど……」

 「……私が彼の右目を潰したのは、今から五年程前、私が最初で最後に参加した戦いで、このコルクー平野の攻防戦の時でした。あの時は東神名国のコルクー砦を破られ、その勢いのままジャカール帝国軍は東神名国に雪崩れ込もうとしていました。そのジャカール帝国軍を押し返す為に大軍勢がこのコルクー平野に派遣されたのです。その軍勢に私は初陣で参加していたのです。そのコルクー平野の攻防戦は血で血を洗うような酷い戦いでした。我々東神名国軍はなんとかジャカール帝国軍をコンスー河の西岸まで押し返したのですが、コンスー河はその戦いで流された血により真っ赤に染まっていました。その時、当時まだ将軍の一人だったシルバーと私が一騎打ちをしたのです。私はシルバーに左腕を両断されそうになり、代わりに私はシルバーの右目を奪ったのです」

 「そう、なんだ……大変だったね。でも、今の話だと、シルバーさんはシャリーナと互角に戦ったって事だよね」

 「そうですね……シルバーは身体能力だけで言えば魔人属にも劣らないと思います。そこまでになるのは並大抵なことでは無いでしょう」

 「そうだろうね」


 『……そのジャカール帝国の大将軍シルバーさんは停戦反対派と何らかの関係があるのかな』

 『……そうだな。ただ、シルバーの話しぶりからすると、何とか穏便に事を収めたかったが力及ばず、というような感じを受けたな。……まあ、停戦反対派が穏便に停戦を受け入れられないというのは考えてみれば当然と言えば当然か。これまで家族や我が子、大切な者達の将来の為、豊かな土地を得る為に多くの戦友の死を乗り越え歯をくいしばり血まみれの戦いをしてきたというのに突然停戦と言われても納得がいくわけがない。特に最前線で戦ってきた者達のその憤懣は計り知れないだろう。その解消されない憤懣は時間が立つにつれ膨れ上がり、今では押さえ切れなくなっているというところなのだろうな』

 『そうだね……さっきのシルバーさんの話の感じから、恐らくだけど、その憤懣を溜め込んだ停戦反対派が何か大きな行動を起こすのかもしれない。メフィール皇子がそれを予測しているなら何らかの手は打っているだろうけど……』

 『……ああ、何か胸騒ぎがするな』



(ジャカール帝国 大将軍シルバー・ファングル)


 ・・・あれが光の神子か・・・今は完全に力を抑えているようだが、……気が緩んでいたとはいえ、あの雰囲気と白銀の瞳でみつめられると、何もかも吐き出してしまいそうになる・・・気をつけなくては・・・


 「ミーニャか」


 俺が僅かに人の気配を感じ背後の木の陰に声を掛けると、「はい」と言って踊り子風の姿をした豹顔の女性が木陰から姿を現した。


 「首尾は?」

 「はい、今のところは問題なく」

 「そうか……第三皇子の手の者は?」

 「泳がせてあります」

 「分かった……今晩は私も行く」

 「えっ? ですが……」

 「今晩の作戦は失敗出来ないからな」

 「……分かりました」


 ミーニャは一つ返事をすると、また木陰に姿を消し気配は完全に感じられなくなった。


 ・・・さて、第三皇子と光の神子はどう出るか・・・



シャイン・おう


 僕達はシルバーさんと別れた後、少しの間、共有庭園を散策してからシャイナ教大神殿に戻った。


 「みんなにお願いがあるんだ」


 僕は共有庭園から神殿に戻ると神殿の僕の部屋である奥殿の一室にアジーナとサーシャ、シャリーナ姉さまにクロガネの四人を招き入れた。


 「この停戦の調印を成功させる為に、僕にやらなければならない事が出来ました。それで、少し出かけようかと思っているんだけど、それとは別に皆にはそれぞれやって貰いたい事があるります」


 僕がそう言うと皆神妙な面持ちで頷く。

 それに対し僕も頷き返して話の続きを始める。


 「それじゃあ先ずはアジーナとサーシャにお願いしたいんだけど、もしかしたらこのトーゲンで調印を阻止しようという騒ぎが起こるかもしれません。二人は神護の指環でこのトーゲンに害意を持つ者達が居ないか調べ、シャイナ教聖騎士団の人達に見回って貰いたいんだ。一応、トーゲンの衛兵達も目を光らせているとは思うけど念のためお願いできるかな?」

 「分かりました。……ですが、サーシャがシャイン様から離れてそのようなことをしなければならない理由が分からないのですが」

 「もしかしたら、その騒ぎに邪神将が紛れ込む可能性があるから、ここの衛兵では邪神将には敵わないし……」

 「ならば、なおのことサーシャはシャイン様から離れるわけには……」

 「うん、大丈夫。もし邪神将が居たとしても僕の方には来ないよ。邪神将の目的が僕なら、砂漠での襲撃の時、オアシスに流された時に襲って来なかったのはおかしいもの。邪神将が一人単独で行動しているというのも考えづらいし……それに、これから僕がやる事はサーシャ達が付いて来ても僕一人でしか出来ない事だしね」


 僕が笑顔でそう言うと、サーシャは僕の言葉を暗に「付いて来られても邪魔だ」と言ったものだとでも受け取ったのか、少し寂しそうな表情をした。


 ・・・あー、うん、そんなつもりじゃなかったんだけど、傷つけちゃったかな・・・後でホローしておかないとダメかな・・・


 対してアジーナは、諦めたように一つ息を吐き、「分かりました。シャイン様の御心のままに」と言って、了承してくれる。


 「……次にシャリーナだけど、シャリーナにはメフィール皇子を見張っておいて欲しいんだ。フィーロさんが付いているから大丈夫だとは思うんだけど、何かやらかしそうな気がして仕方がないないんだ」

 「……分かりました。シャイン様の命とあらば」

 「……うん、ありがとう」


 シャリーナ姉さまは僕のお願いを、命令として一つ返事で引き受けてくれる。


 ・・・命令のつもりじゃないんだけど……まあ、いいか・・・


 『さて、次はクロガネだけど……』

 『ああ、何だかクロガネの奴、不機嫌そうな面をしているな』

 あははは、『何となく、どういった事を言われるのか予想がついてるんじゃないかな』

 『まあ、そうだろうな』


 「次はクロガネだけど、クロガネにはカクラ母さま達を守って貰いたいんだ」

 「カクラサマタチハ、シャインサマノカゴヲウケテイマス。タトエ、ジャシンショウノシュウゲキヲウケタトシテモ、ゲキタイデキマス」

 「うん、そうかもしれない……でも、幼いオズヌやミーシャを守りながらだと危険な事もあるかもしれない。僕は家族が危険な目に会うのは二度とゴメンなんだ。そんな事になったら、僕、いや僕だけじゃない鳳も何をするか分からないよ」

 「……デスガ、ワタシハ……」

 「この二年間、クロガネ達が僕の事を鍛えてきてくれたでしょ。もう少し、僕の力を信用してくれてもいいんじゃないかな?」

 「・・・・・・」

 「クロガネさん、大丈夫ですよ。シャイン様は誰にも負けません。貴女には分かっているでしょう?」


 クロガネはシャリーナ姉さまの言葉を聞くと寂しそうな表情をした。


 ・・・もう一押しかな・・・


 「クロガネ、僕は直ぐに帰って来るよ。僕はぼくの加護を付与した物がある所に転移する事も出来るようになったから、やらなければならない事を済ませたら必ずクロガネの所に戻って来るよ。だから、クロガネにはこのトーゲンに留まっていて欲しいんだ」


 僕がそう言うと、クロガネはぼくの神護の指環を嵌めた左手を胸に抱いて、「……ワカリマシタ」と僕のお願いを了承してくれる。



 皆との話を終えた後、僕はサーシャと早めの夕食を摂り、出かける支度をする。


 「シャイン様、鳳凰のブレスレットは持たれましたか?」


 サーシャは僕からエルフの薄衣を剥ぎ取ると僕に聖衣を着せつける。

 何時ものようにサーシャはテキパキと僕の服を着替えさせながら、忘れ物が無いか確認してくる。

 僕は今回生まれて初めて単独の行動となるため、サーシャはまるで母親のような気持ちでいるのかもしれない。


 因みに鳳凰のブレスレットというのは、サーシャ達に渡してある魔法武器マジックアームスのブレスレットと似たような能力のある僕達(鳳凰)用の武器化するブレスレットだ。

 ただ、()はこの世界の生命に対する攻撃力は皆無の為、相手の攻撃を受け流す為だけの防御用となる。


 ・・・まあ、今回は使うこともないと思うけど・・・


 サーシャは聖衣の上からぼくの神印を施した灰色のマントフードを僕の首もとに腕を回すようにして肩に掛ける。

 「それじゃあ、サーシャ、行ってくるよ」と、僕がサーシャに声をかけると、「お気をつけて、必ず帰ってきて下さい」と、サーシャは僕を抱きしめた。


 あははは、「サーシャは心配性だな」


 そう言いながら僕はサーシャの体を優しく抱きしめ、「必ず帰ってくるから心配しないで待っていて」と、僕はサーシャの綺麗な新緑色の頭髪を撫でる。



 奥殿を出るとクロガネにいきなり抱きしめられた。


 「シャインサマ、クレグレモ、キケンナコトハナサイマセンヨウニ。ブジニオモドリクダサイ」

 「うん、分かってる。母さま達の事、頼んだよ、クロガネ」

 「ハイ、オマカセクダサイ」


 クロガネは僕に応えると名残惜しそうにしながらも僕から体を離した。

 そして入れ替わるように、シャリーナ姉さまに抱きしめられる。


 「シャイン様、カクラ姉さまを悲しませるような危険なことはしないで下さいね」

 「うん、分かってる。シャリーナもメフィール皇子の監視よろしくね」

 「はい、お任せください」


 シャリーナ姉さまは僕の白銀の頭髪を愛しそうに一撫でしてから僕を解放した。


 「シャイン様、重ねて言いますが、くれぐれも危険な事はなさらないようにお願いいたします」

 「うん、分かってる。アジーナもこのトーゲンの事、お願いしますね」

 「はい、こちらの事はお任せください」

 「うん、よろしくね」


 僕は灰色のマントのフードを目深に被ると中殿の通路を歩き前殿に出る扉の前まで来る。

 そこまで皆は、サーシャ、アジーナおばさま、クロガネ、シャリーナ姉さまの順で僕の後ろについてきた。


 僕は重厚な扉の取っ手に手をかけ、「それじゃあ、行ってきます」と、皆に明るく声を掛けてから扉を開き中殿を出た。


 サーシャ達は少し心配そうな表情に笑みを乗せて、いってらしゃい、と言うように頭を下げて僕を見送った。


 『何だか初めてお使いにいく小さな子供の気分だね』

 『……そうだな』

 『皆、心配しすぎなんだよね。僕、もう十四なのに、いや、前世の記憶もあるから感覚的にはもう四〇越えてるんだけどね』

 『俺はそうだが、お前は違うだろう。俺から見ればお前は今の年相応に感じられるがな』

 『……ふんだ、どうせ僕は子供っぽいですよーだ』


 僕はシャイナ教大神殿の前殿にある大聖堂を通って神殿の外に出る。


 「光の神子様が、このトーゲンのシャイナ教神殿にお見えになられてからは、随分と礼拝に来られる方が増えましたね」

 「そうですね、光の神子様の御力により心身ともに清められると、トーゲン中の噂になっていますから」

 「確かに、光の神子様が御力を解放されるのは時々ですが、そのお掛けで神殿内の精霊の浄化の力も増して、神殿内の空気が非常に清浄なものとなってますからね」


 確かに僕がこの神殿に初めて入った時、神殿に礼拝に来る人は疎らだった。

 しかし、僕が神殿に入ってからは神殿を訪れる人の数が随分と増えたと、僕が大聖堂の通路を通っている時、このシャイナ教神殿に勤めている神官達が話をしているのが聞こえてきた。


 僕は神殿の外に出ると辺りを見回す。


 ・・・確かに、大通りからこの神殿まで来る道も、屋台とかは出てないけど、人で賑わってる・・・


 僕はそう思いながら「ナーガトー」と呟くと、「……シャイン様、影、とお呼び下さい」と、後ろから声が返ってきた。


 「……トーゲンに入ってから今までありがとう。ここからは、僕の護衛は要らないから、母さま達の護衛に回って」

 「いえ、シャイン様をお一人にするわけにはまいりません」

 「……どうしても?」

 「はい」

 「あなた達が付いて来ると無用な争いが起こる可能性があるんだけど……」

 「・・・・・・」

 「分かりました。そのかわり、無理はしないで下さい」

 「……お気遣い感謝いたします」


 僕は一つ息を吐き、「絶対ですよ! あなた方の内一人でも死んだりしたら許しませんからね」と言いながらオーマンさんが指定した西の大門にある衛兵の詰所へと向かって歩き出した。

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