世界を呪った男
弾はまだある最後に野戦指揮所に行ったときに新たな任務と3会戦分の弾薬を受領した。私の任務は殿として味方の撤退支援であった。敵を遊撃し敵の進行を延滞させるためである。私は任務を復唱し任務に就いた。それからは、この島のジャングルに隠れ敵を狙撃した。弾はできるだけ戦死した同胞から頂いた。常に弾の補充に努めた。私にはもう補給など無いからだ。
あと3日で味方は撤退できる。そして私は任務を達成したら戦死するであろうと考える。敵のジープの運転手に照準をつけた。ジープの乗員は死ぬか怪我をするだろう。視界が悪くなった。霧が出てきたんだと気が付いた。私は動けない。狙撃兵が動いてしまうのは死を意味するからだ。霧が晴れるで我慢だ。
あ~あ、こんな世界なんか嫌いだ。
狙撃兵は捕虜にはなれないらしい。そんな話を餓死した戦友から聞いたことを思い出した。狙撃兵は、敵兵の恨みを確実に買うからだ。ここだけで私は19人は狙撃して殺した。少なくとも19人の恨みを受ける。私の家族はどうなるのだろうか?私は殴られ、じわじわと虫を虐め殺す様に苦しみながら殺されるのだろうが、家族には壮烈なる戦死と伝えられていくのだろうか。もしくは空腹で苦しみ餓死したとしても立派な戦死と言われるのだろうか?
やっぱりこんな世界は嫌いだ。いっそ呪われてしまえ。
やっと霧が晴れた。ジープでなく馬車が馬賊に襲われている様に見える。ここはどこだ?