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三日月屋

作者: 実音

ここはとある森の奥深く「三日月屋」という一つの店がポツンと建っていました。


「お母さん行ってきます。」美加がいつものように学校へ行こうと走り出すと…

ーぺちっ

走っていた美加に一枚の紙が飛んできました。

慌てて飛んできた紙をとり、みて見るとそこには、横山美加様と書かれていました。

手紙…だろうか?

美加は恐る恐るそれをあけることにしました。


拝啓 横山美加様


はじめまして。

私は「三日月屋」の店長、三月ウサギです。今日あなたにこの手紙を渡したのはほかでもありません。

今日は三日月の日「三日月屋」が開くときですから是非あなたをわが「三日月屋」にご招待したく思ったわけであります。ご予定がなければ今日の午後8時に三角公園までいらしてください。

お待ちしております。


敬具 三日月屋


美加は訳がよくわかりませんでした。

とりあえず、その手紙をカバンにしまい学校へと足を向かわせるのでした。

午後4時頃、美加は家に帰ってきました。

美加の様子はいつもと変わらずまるで手紙の事など忘れているかのようでした。

しばらくして、8時になりました。公園では三月ウサギが待っていました。ですが何分待っても何十分待っても美加の姿が現れることはありませんでした。

「きっと今日は御予定があったのでしょう。」

そういうと三月ウサギはゆっくりと夜の闇に消えていきました。

一ヶ月後の朝、ポストの中に横山美加様と一通の手紙が入っていました。

「この手紙、どっかでみたような。」

はっ!と気付いた時でした目の前にウサギが立ってるではありませんか。

「うっウサギがたってる」

美加は驚きを隠せない。

「さぁ行きましょうか。」

「行くって何処へ?」

三月ウサギはわらいながら美加の手を引っ張った。

「お茶会ですよ。」

ウサギに連れられてついたのは深い深い森の奥。でも、不思議と怖くないのです。ヘンゼルとグレーテルになった気分でいると、三月ウサギは足を止めました。

「つきましたよ。」

ふと目の前を見ると、まるでドールハウスのような可愛らしい家がありました。

「さぁこちらへ」

三月ウサギは家の中へ案内すると椅子へ美加を座らせました。美加は中をキョロキョロとして落ち着かない様子。それもそのはず、中もまるで夢のよう。本の中でしか見たことのないような整った部屋。あぁ、こんなところに住めたのなら…などと考えていると三月ウサギがティーセットを運んできた。

「あの、これから何かするの?」

「先ほど言ったように、お茶会ですよ。」

美加の質問にそう答えた三月ウサギは美加の前の席に座りカップにお茶を入れ始めた。

「お口に合えばいいのですが。」

そう言いながら美加のまえにお茶の入ったカップを置いた。美加はカップを手にしお茶を一口飲んだ。

「美味しい。」

「それはよかったです。」

三月ウサギもお茶をのみ言った。

「あなたのお母様と飲んだお茶と同じお茶だ。」

美加はびっくり!自分の耳を疑いました。

「あなたのお母様が初めてのお客様でいつもご贔屓していただいているんです。」

「お母さんが。」

美加は少しうれしくなりました。しかし、一つ疑問が浮かびました。

「どうしてお茶会を?」

三月ウサギは言います。

「私はもともと、あなたのお母様のペットでした。死んだ後、会いたい!そう願って、気づいたら決まった時間にだけ会えるようになっていて。」

美加は、そんな話があるわけない。と思いましたが…「信じるか信じないかはあなたにお任せします。」と三月ウサギは笑うのでした。

しばらくそんな話を三月ウサギとしているとカーンカーンと鐘がなりました。

「何?」

「お別れの時間です。私三月ウサギは朝は姿を見せることができません。」

「え?」

「お母様によろしくお願いします。」

そう言うと三月ウサギの姿が少しずつ消えていきました。

「またきてもいい?」

美加は全部消えてしまう前にそう言いました。三月ウサギは小さくうなずき消えていき姿がなくなってしまいました。


その日から美加は毎月三日月のひには三日月屋へお茶会にいくのでした。

ウサギはさみしいと死んじゃうと聞いたことがありますが…こうやってお茶会をする事で寂しさを埋めているのでしょうか。

そうそう、美加は試しに違う日に行って見たものの、三月ウサギのところへはどうやっても辿りつけなかったのですって。


さてさて、次の三日月はいつの日やら…



〜END〜

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