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再会(中編)

予定では、連続投下だったのですが………失敗しましたT^T

陽子は信じられない表情したまま、凛の側まで近寄る。


「り……凛……凛なの?」


陽子の問い掛けに、凛は顔を横に振る。


「ち、違います!」


「そんな筈はないわ!」


ジッと見つめてくる陽子に、凛は少し後ずさる。


このままでは、正体がばれてしまうと思った凛は、陽子に背を向け、その場から逃げようとしたが、咄嗟に陽子に右手を掴まれ振り向く。


「な、何ですか?…えっ!?」


無言のまま、凛の手を掴んだいる陽子が突然、凛の身体を抱きしめる。


「見間違える筈がないわ……貴女は私の大切な子供……凛よ!」


「……………」


不意に抱きしめられ動揺する。


自分を抱きしめている母親の顔を、そっと覗きこんだ。


(お母さんが……泣いている………)



陽子の瞳から、大粒の涙が流れていた。




涙を流している母親の姿を見て、凛は正体がばれていると思うと、胸の中で必死に押し殺していた感情が溢れくる。


(そんな事されたら……折角、我慢していたのに……これじゃ………抑えきれないよ………)



凛の中で、抑えていた感情が一気に溢れた。


無意識に、目から涙が零れ落ちる。


もう我慢することが出来ない。


自分を抱き締めてくれている母親の身体を、強く抱き締めて返した。


「お母さん!!……私、ずっと、お母さん達に会いたと願っていたの!」


「私もだよ!凛……」


「でも、私……死んじゃったから、お母さん達に謝る事も出来なくて、ずっと後悔してたの……ごめんなさい……」


「もう、何も言わなくていいのよ!こうやって、帰って来てくれたじゃない!」


「でもね、私は………」


「いいのよ……凛!」


陽子の顔を見ると何も言えなくなった。


「…………」


陽子は優しく微笑みながら、凛の涙をハンカチで拭いてあげる。


「おかえりなさい……凛」


7年ぶりに、母親の温もりを感じた凛は心が満たされる感じがした。


「うん、ただいま!」



母親の優しい笑顔を見て、自分は本当に帰って来たんだと、凛は心の底から思った。



二人の対面を見ていた由美も、感動の余り泣いていた。










久しぶりに我が家に帰ってきた凛は、リビングのソファーに座ると大きく背伸びをする。


「うーーん、やっぱり、身体があると嬉しいな〜」


陽子は凛の言ったことが、気になったので聞いてみた。


「そういえば、その身体は誰のものなの?」


「この身体?この身体は、お兄ちゃんのだよ!」


「あ、篤の?」


「そうだよ!私ね、死んでから、ずっとお兄ちゃんの中にいたの」


「!?……一体、どういう事なの?」


「それはね………」




凛は自分が死んでから、今までの経路を詳しく話した。


説明を受けて行くに連れ、陽子の表情が強張るっていく。


最後まで聞き終えると、陽子に再び凛を抱き締めて謝った。


「近くに居たのに………気付いてあげられなくて、ごめんなさい……ずっと、寂しかったでしょう………」


「ううん、謝らないでお母さん。さっき、由美さんも同じ事を言ってくれたけど、私の魂が何処に居るなんて、普通は分からないよ。だから、気にしないで!」



「でも、私達が普通に過ごしている時も、貴女はずっと誰もいない空間で、孤独の時間を7年間も………我が子が、こんなに近くに居たのに気付けなかった……母親失格ね………」


「そんな事ないよ。お母さんは、私とって自慢の母親だよ!」


自己嫌悪になっている母親に、ニッコリ笑いかけた。


「でも……」


まだ、自分自身を許せない陽子に、凛は困った顔をする。


見兼ねた由美が、陽子に話し掛けた。


「陽子さん……私も凛ちゃんと再会した時に、陽子さんと同じ事を言ったんです。でも、凛ちゃんは、私に〝そろそろ、自分自身を許してあげて下さい!″って言ってくれたんです。その言葉に、私はどれほど救われたか………ちょっと遅いけど、ありがとう!」


由美は凛に頭を下げた。


この時、凛は由美がちょっとは自分自身を、許せるようになったんだと思えた。


「ほら、お母さん!由美さんもこう言ってるんだから、余り自分自身を責めないでね。私は気にしてないから!それに会いたい時には、直ぐ出て来るから!でも、お兄ちゃんに悪いけどね!」


エヘッ!と悪戯っ子のように凛は笑った。


「そうね!これからは、何時でも会えるわね。でも、こんなに嬉しい事があるなんて、神様に毎日お祈りしといて良かったわ!」


「よ、陽子が!?」


「プッ!!お母さんが、神様?」


「な、何よ!お母さんだって、お祈りしますよ!」


「「似合わない!!」」


「し、失礼ね!貴女達!!」


陽子に追い回されて、ソファーの周りを楽しそうに逃げる凛と由美であった。





「ハア、ハア……やっぱり歳は取りたくないわね。若い子に負けるなんて………」


凛と由美を追い回していた陽子だったが、二人より先に体力が無くなり、ソファーに座り込んでしまった。


「もお〜、あんまり無理しないでよ!お母さん」


凛はそう言いながら、冷蔵庫から飲み物を運んで来て陽子に渡す。


「はい、お母さん!」


「ん?サンキュー!?」


陽子は手渡されたオレンジを一気に飲み干した。


「ゴク、ゴク……ぷあぁ〜〜生き返る!!」


「「……………」」


「な、なによ?二人とも!?」


「その〜何て言うか………」


「お母さん……親父臭いよ!」


「し、失礼ね!!近所では、『奥様、若いですね〜』って、言われてんだからね!!」


また、二人を追いかけようと、陽子が立ち上がろうとした時に、凛が携帯を陽子の前に突き出した。


「もう追いかけっこはいいから、それより、お父さんに電話するのが先でしょ!」


「あっ!忘れてたわ………早くお父さんにも、連絡しないとね!」


凛から即座に電話を受け取ると、急いで旦那に電話を掛ける。


そんな陽子を見ていた凛は(愛されてるね、お父さん!)と思った。



プルル……プルル……ガチャ!


『はい、もしもし!』


「あっ!出た、出た、京ちゃん?」


『そうだよ〜愛しの陽ちゃ〜ん!』






二人の会話を聞いていた、凛と由美は「お熱い事で……」と呟いた。

いつも読んで下さり有難うございます。


後、アドバイスを有り難う御座いました。


今後とも宜しくお願いします。

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