怖いよ………
お久しぶりです。
今回、操作ミスでデータが消えるいうハプニングがありましたが、何とか頑張りました。
「「「えぇぇーーーーーーー」」」
授業中のはずの教室は生徒達の叫び声で響き渡った。
余りの声の音量に凛と由美は思わず耳を塞いでしまった。
凛は男子達が自分を見ている事に気付くと何だか怖くなってきた。
「由美さん………何か男子の皆さんの視線が痛いのですが………」
「凛ちゃん目を合わせてはダメよ………あれは獣の目だから!」
「あの人達は、本当にお兄ちゃんと同じ生き物なのですか?」
怯える凛を由美は抱きしめた。
そんな凛を見ていた男子達はいきなり立ち上がると血の涙を流し叫びだした。
「ありえない!こんな可憐な子が篤の妹なんて!!」
「何で篤ばかり恵まれているんだ!」
「寛子さんに凛ちゃん………死刑だな篤よ……」
「神はこの世には存在しないのか?」
「篤は殺しても良いよな!!」
男子達の叫びを聞いていた凛は子鹿のように身体を震えさせ怯える。
「由美さん………」
「見ちゃダメよ!!」
由美は怯える凛の視線を隠すように手を当てた。
「お前等、静かにしろ!!」
暁は男子に向かって叫んだが、男子達は我が世界に入っており、暁の言葉など聞いてはいなかった。
そんな態度に暁は青筋を立てると拳を握りプルプルを震わせた。
「おーし、分かった………取り敢えず、お前らは……死ね!!!惨殺拳!!」
暁が叫ぶと同時に男子達の目の前に先程、翼が喰らった拳が現れると一斉に男子に向かって飛んでいった。
「「「「グッ!?」」」」
男子達は翼と同じ道を辿った。
その光景を見ていた女子達は身を寄せ合うようにして震えていた。勿論、凛と由美も同じように震えていた。
血を流しピクピクと痙攣している男子達を見て暁は満足そうだった。
「よーし、これで静かになったな!では、話しの続きを聞かせて貰おうか?」
「えっ!?は、はい………」
突然の流れに凛は一瞬戸惑ってしまったが、生徒達の方を見てお辞儀をした。
「皆さん申し訳ございませんが、もう一度自己紹介をさせて頂きます。私は海外 篤と海外 寛子の妹の海外 凛と申します。何時も兄と姉がお世話になっています。」
凛の礼儀正しい挨拶に女子生徒達は最初はポカーンとしていたが段々と声を上げて会話を始めた。
「なにこれ……滅茶苦茶可愛いんだけど!」
「本当に篤くんの妹なの?全然似てないよ!」
「すっごく母性本能を擽るんだけど!」
「何か寛子ちゃんのちっちゃいヴァージョンよね!」
「私もこんな妹が欲しいよー!」
「ねえ、飼ってもいいかな?」
「ダメに決まってるでしょ!」
「えーーーーーー飼いたい!飼いたい!」
そんな女子達を見ていた由美と凛は頬を引き攣りながら、さっきの男子達の行動を思い出していた。
「ねえ、由美さん………」
「な、なに?………」
「これって、さっきの光景と似てませんか?」
「うん…………似てると思う………」
「では、この後は先程と同じ事が起こるのですか?」
「…………多分」
由美と凛は横にいる暁の方をそ~と見てみると、そこには鬼がいた。
「お~い……君達も制裁して惜しいのかな?」
女子達は暁の方を見ると、ゴクッと唾を飲み込んだ。
「「「「…………………」」」」
女子達が一斉に黙り込むのを見た暁は満足そうな笑みで頷いた。
「流石だね!うちの女子達は男子達とは違うね!」
気分も良くなったのか、暁は凛と由実の方を見て事の経緯を説明するよう言った。
「えーとですね。実は母から私に連絡がありまして、学校でお姉ちゃんが倒れたので迎えに行く事になったのですが、今日はどうしても外せない用事があるとの事で、代わりに私に迎えに行って欲しいと言われましたので、母の代わりに私はお姉ちゃんを迎えに来たのです!」
凛の話しを聞いた暁は辻褄があっているので納得した。
「確かに寛子は朝、生徒会長の餓鬼にちょっかいを出されて倒れたのは聞いているが、何故迎えに来たはずのお前と寛子は一緒では無いのだ?」
「そ、それは、確かにお姉ちゃんを迎えに来たのですが、お姉ちゃんと行き違いになり、会う事が出来なかったのです。」
「では、寛子は何処に居るのだ?」
「お姉ちゃんの携帯に先程連絡はして見たのでが、もう家に帰ってる見たいなんです………」
その言葉を聞いた暁は怒りだした。
「確かに体調不良なのは分かる。だが、帰宅するにしても一言、言って帰るのが常識だろうが!周りに迷惑を掛け寄って!!」
凛は自分の言葉の選択に失敗したと思い、直様フォローを入れた。
「先生、落ち着いて下さい。お姉ちゃんには帰ったら、よ〜く伝えと来ますので」
「わ、私からも言っておきますよ。」
場の空気を読んだ由美も凛にフォローを入れる。
「ふむ………今回はお前達が言うとあれば、私は何も言わないが、次は無いと伝えとけよ!」
「「はい!」」
納得した暁は授業を再開させようと思い生徒達の方を見回して気付いた。
「ん?」
「ど、どうしたんですか?」
首を傾げている暁に聞いてみる。
「ああ、先程な理事長から今日から篤が復学すると聞いていたんだが、姿が見当たらんな?」
「「!?」」
凛と由美はすっかり篤の事を忘れた。
冷汗をダラダラと流しながら、ぎこちない動きでお互いを見る。
(ど、ど、どうしよう?)
(お兄さんの件をすっかり忘れていた!!)
二人の態度の異変に気付いた暁は、この二人は何か隠してと思いスレートに質問した。
「何か二人とも、さっきから態度がおかしいな?何か隠しているだろ。早く吐け!」
ギクッ!
凛も由美も予想しない言葉に顔を真っ青にして、冷汗を先程とは比べ物にならないぐらいダラダラと流した。
「「……………」」
(どうしよう……どうしよう……)
(ヤバイです!!この人……感が鋭すぎですよ!!)
テンパる由美に暁を天敵だと思う凛だった。
そんな二人を怪しむ様にジッと睨み付ける暁は、二人の頭を掴むと自分の顔の近くまで近付けると二人の耳に囁いた。
「二人とも観念しろ………お前達が何か知っているのは一目瞭然だ!隠すと為にならんぞ!」
暁のゾクリとする言葉に二人は震えた。
由美も凛も観念するしか無いと思ったその時、教室の扉が開いた。
ガラッ!!
生徒達の視線が一点に集中する。
「ああ、ダリ〜〜」
教室に入って来たのは欠伸をしながら、怠そうな態度が歩く井上 雅弘だった。
「あれ?どうしたの?」
雅弘が疑問形で喋ると、凛と由美の頭を掴んでいた暁が青筋を立てながら雅弘に怒鳴った。
「お前っ!!今、何時思ってるんだ!」
「何時って、四時間目でしょ?」
怒りの表情の暁に対して、雅弘はトボけた態度で返事した。
「…………どうやら、お前も死にたい見たいだな!」
凛と由美の頭を掴んでいた手を話すと両腕を能力を貯める。
「喜べ井上………お前はダブルで殺してやるな!」
暁がそう言うと雅弘の周りに二つの青い拳が現れた。
雅弘は鼻をポリポリと掻きながら、暁に話し掛けた。
「そういえば、さっき篤と会いましたよ。」
「なに?」
((えっ!?))
雅弘の言葉に由美と凛は内心驚いた。一方、暁は能力を解除すると雅弘に質問する。
「井上、お前は篤を見かけたのか?」
暁の質問に怠そうな態度のまま答えた。
「俺が来る途中、校門でバッタリ会いましたよ」
「篤は何か言っていたか?」
「ん〜……怠いからサボるって言って帰りましたよ!」
「はあ!?」
暁の表情はみるみる般若と化した。
「あっ、そういえば先生の声は廊下まで聞こえてましたよ。後、教頭が教室近くを徘徊してましたよ!」
雅弘は自分の席に座ると呑気な顔して、そう言うと般若と化していた暁はハッとした表情して普段の顔に戻すとその場でガックリと膝をついた。
「ヤバイ………後で謝り行かなくては………」
激しく落ち込みながら、呟く暁であった。
普段の態度に戻った暁は、授業を再開する為に生徒達に自分の席に戻る様に指示を出す。
指示された生徒達は静か自分の席に戻る。
教室は何時もの風景に戻ったのだが、一人だけ浮いていた。
「………」
教壇に一人だけ取り残された凛は生徒達の視線の的になっており、気不味い空気の中、凛は顔を引き攣っていた。
(い、居づらいです………)
耐えきれない空気の中、口を開いた。
「あの〜私は授業の邪魔になると思いますので、そろそろ失礼させてもらいます」
凛は生徒達に頭を下げお辞儀をすると扉に向かって出て行こうとした時、肩を掴まれた。
(早く帰ろう………)
「!?」
突然の出来事にゆっくりと振り返ると暁が「何処へ行く!」と言いたそうな視線で凛を見ていた。
嫌な予感がする凛は、恐る恐る暁に質問した。
「ま、まだ、何か御用でしょうか?」
「お前の姉は何も言わず帰宅!兄はサボリ!………兄姉の不始末は………妹のお前が責任を取れ!!」
予想もしない言葉に凛は絶叫する
「えぇぇーーー!?」
暁は寛子の席を指差し「座れ!」と目で命令する。
逆らえない凛は無言で机に向かった。
生徒達は暁の余りの無茶振りに抗議しようとしたいが、暁が怖くて出来ない。
そんな中、勇気を振り絞りクラス委員の和美が暁に抗議した。
「先生!凛さんは確かに篤くんや寛子ちゃんの妹ですが、しかし、この学園の生徒では無いので、それはどうかと思います!」
和美がそう抗議すると暁は腕を組み鋭い視線で睨む。
余りの凄味に思わず「ヒッ!」っと声を上げ怯える和美に暁は言葉を返す。
「確かにお前の言う通り、此奴はこの学園の生徒では無いが………この教室では私がルールだ!だから、私が良いと言っているのだから問題ない!」
暁の言葉に生徒達は思わず突っ込みを入れた。
((((あんたはジャ○アンか!!!))))
授業を受けていた凛は兄や暁や生徒達に内心、感謝していた。
普通の学生なら、当たり前の光景……黒板の文字をノートに取る事や先生の話しを聴く事や質問されたら答える事。当たり前の事が凛にとってはとても楽しく嬉しかった。
本来ならば、凛は七年前に死んでいる為に、本来なら学校などに行ける筈も無い。だけど、確かに今、自分は此処に存在している。大好きな由美や兄のクラスメイト達と一緒に授業を受けている。
七年前に死んでから、こんな事が出来るなんて、夢にも思えなかった。
この使用している身体は兄の物であるが、でも、私は此処に存在しているんだと思うと涙が零れてくる。
凛は溢れる涙を拭きながら思った。
(お兄ちゃん、由美さん、暁先生、皆さん、ありがとう………)
凛は嬉しそうな顔をして授業を聞いていた。
いつも読んで下さり有難うございます。
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