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守護者

「「えっ?…………えーーーー!!!」」


二人は凛の言った言葉に、ただ驚くしかなかった。


「凛ちゃん………天使に会っちゃったの?」


「………はい」


「ど、ど、どうして天使と分かったのですが?」


「その〜……何というか……背中に翼が生えておりましから………」


「マジで?」


「はい………本当マジです!」


「見たいです!!今直ぐ見たいです!!凛様!今は会えないのですか!!」


「そ、それは……」


京香は興奮して鼻息を荒くして凛にジリジリと距離を縮めて行く。そんな京香に凛は脅えながら、後ずさっていた。


余りにも脅えている凛が可哀想に思えた由美は興奮した馬を落ち着かせる様に京香の肩を掴むと背中をトントンと叩いた。



「どうどう!ちょっと京香さん、落ち着いて!」


しかし、京香の興奮は収まらなく更にヒートUPして、ヤバイ方向へと向かい出した。


「ヒャッハーーー!!天使だ………天使に会わせろぉぉぉ!!」


「ヒィィーーー!!」




…………………





「………ねぇ、貴女達………ワザとやってるでしょ?」


由美は二人のやり取りを見て何か京香を止めるのが馬鹿らしくなってきた。しかし、このまま二人を調子に乗らせて続けさせると〝胸に○つの傷を持つ男″の話しになりそうだったので、急いで二人の頭に拳を投下して止めた。


「イタッ!?」


「キャン!?」


凛と京香は涙目になり、しゃがみ込んで打たれた頭を撫ぜながら由美の方を見た。


般若の表情をした由美が腕を組み仁王立ちして二人を見下ろしていた。


「貴女達!これ以上したら、別の話しになるから辞めなさい!それでなくても、さっきから話しが全然進んでないんだから!!」


「はい………御免なさい」


「調子に乗って申し訳御座いませんでした………」


二人は怒られた子犬の様にシュンとしていた。


「それより、早く話しの続きを始めなさい!」


「は、はい!」


由美は座り込んでいる凛に向かって人差し指を突き出し、命令口調で言った。


凛は由美の余りの気迫に直ぐに立ち上がると、気を付けの姿勢をとり淡々と話し出した。


「私がお兄ちゃんの中で会った少女の姿をした天使は私に向かって「お久しぶり!」と話し掛けてきたのです!」


「お久しぶり?って、その天使は凛ちゃんの知り合いなの?」


「いえ、全くの初対面です!」


「えっ?初対面なのに「お久しぶり!」っておかしくない?」


「はぁ、確かに私も最初はおかしいと思ったので、その天使に疑問を聞いて見たのです」


「うんうん、そしたら?」


「その天使が言うには、遥か昔から〝私達が生まれのを待っていた″っと言ったのです………私はその天使が何を言っているのか、全く理解出来ませんでした!」


「うーん……意味不明ね?凛ちゃん達が生まれて来るのを待っていた?何かその天使は他には言ってなかった?」


「はい、私は貴女が言っている事が分からないと伝えると、天使は笑いながらこう言ったのです……「私はお前の小さい頃に一度会っている!」その言葉に私は昔の記憶が蘇って来たのです!」


「えっ?凛ちゃん、その天使と会った事ないって言っていたよね?」


「はい、確かに〈現実〉では会った事はないと言う事は当たってます!」


「一体、どういう事?」


「私の中で蘇ってきた記憶は〝あの時″でした………」


「えっ?………〝あの時″なの?」


「はい………私が死ぬ瞬間の出来事でした………あの時、私は魂と肉体が離れ離れになったのですが、あの時、魂だけになった私は目の前に横たわる自分の身体を見て何が起こったのか理解が出来ませんでした。でも、泣きながら私の身体に治癒能力を掛けている由美を見て直ぐに理解出来ました………〝私は死んだって!″………私は自分の死を受け入れると同時に魂だけになった私の周りに黒い影が何体も現れたのです。その黒い影は驚いて立ち尽くしている私の右手を掴み何処かへ連れて行こうするのが分かりました………私は必死に抵抗したのですが、黒い影の強い力に私は抵抗する事さえ出来ないまま、黒い空間へ引っ張られて行ったのです!」


「そ、それで?その後、どうなったのですか?凛様」


「その後ですか………私はあと少しで黒い空間に引き込まれそうなった時でした。後ろから私の名前を呼ぶ声がしたので、直ぐに振り返るとそこには少女の姿をした天使が空から舞い降りてきたのです!私はそんな天使の綺麗な姿をに見惚れていると、その天使は私の手を掴んでいる黒い影の手を振り払うと、私を黒い空間から引張っり出してくれたのです。でも、私の意識はそこで途切れてしまい気が付いたらお兄ちゃんの中にいました………」


「そっか………〝あの時″、そんな事に起こっていたんだ………助けてやれなくて、ごめんね………凛ちゃん」


自分の知らない処でそんな事が起こってるとは知らず、凛が味わった恐怖は計り知れないと思った由美だった。


「大丈夫です!今を考えるなら結果オーライです。話しを戻しますが、私はその時の御礼を天使にした後、色々と天使と話しをして分かった事なのですが、その天使は私達一族の最初の祖だった事を教えて貰ったのですが、そんな昔の人が何故お兄ちゃんの中に居るのか気になって訪ねて見ましたが、教えて貰えませんでした。でも、一つだけ教えて貰えた事がありました。それは、その天使の使命です。その天使は遥か昔から、この世界や別の世界を護る為に存在する〈平行世界の守護者〉だったらしいのです!」


「「へ、平行世界の守護者?」」


「はい、平行世界の守護者とは聞けたのですが、詳しい内容まで教えて貰えませんでした………って、どうしたのですか、二人とも?」


二人は目が点になっていた。


もう、天使だけでも十分に非現実なのに、更に平行世界とか自分達の理解を超える話しに二人はただ驚くの超えて呆然とするしかなかった。


「お、お二人とも大丈夫ですか?」


凛の言葉に我に戻った二人は慌てて返事をした。


「ち、ちょっと待って………今、整理するから………」


「わ、私も少しお時間を頂けますか?………頭が話しについて行っておりません………」


凛が申し訳なさそうな表情で二人を見ていると、二人は頭を抱えて必死に凛の言った事を理解をしようとしていましたが考えれば考える程、二人は段々頭が痛くなってきて考えるのを辞めた。


「うん、そんな難しい話しは私には無理みたい!」


「そうですね!私達には無理だったんです!」


「……………」


凛は二人に話し掛ける言葉が見つからなかった。


「な、なに?い、言っとくけど、頭は人並みにあるからね………」


「わ、私もです!」


由美と京香の必死な言い訳にも取れる台詞は「馬鹿だけど認めない!」って、言ってるようにしか声なかった。


そんな二人を見て凛は何故か可哀想に思えてしまい、(早く話題を変えないといけない!)と察した凛はこの話しを終わらせる事にした。


「………この話しは、これぐらいにしましょう!」


「そ、そうね!」


「そ、そうですね!凛様が何故、一族について詳しいのかも分かった事ですし………」


二人は凛が出した助け舟に心底ホッとした。



次に凛は自分が思った事を二人に伝えた。


「以上が、私が天使から聞けた内容なのです。結論的に言わせてもらいますと………はっきり言って情報が少な過ぎて私にも理解出来ませんでした!」


パチパチ!!


由美と京香は凛にも理解が出来なかった事が凄く嬉しくて、自分達の仲間だと思ったら、無意識に手を叩いていた。


「………拍手は止めて下さい。では、次に何故お兄ちゃんに京香の能力が効かなかったのか説明しますね!」






凛はそう言うと再び背中に黒と白の光の翼を生やした。

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