無限ループ
…………………
俺は京香が袋から取り出した物に対して呆気に取られていた。
カチッ!!
ヴィーーーーーーーン!
京香が手にしている物のスイッチを入れると音を出しながら小刻みに動きだす。
…………クッ!何て物を持って来るんだ!アレは流石にヤバイだろ!
今だに音を鳴らしながら小刻みに動いている物を見て俺は顔を真っ青にした。
「さあ、篤様!大人しく下さい。優しくしますので緊張しないで下さい!」
真面目な顔でジリジリと近寄って来る京香に無意識に後退る。
「む、無理だ!そんな事、出来るわけ無いだろ!」
拒否する俺の顔を見て京香はニッコリと笑う。
「大丈夫ですよ。先程も言いましたが、優しくしますので………でも、最初は少し痛いかも知れませんが、我慢して下さいね!」
なぬ?い、痛いだと?………そんなのは嫌だ!
「断じて断る!!俺は絶対に嫌だ!!」
「おやおや、何時迄も子供みたいな事は言わないで下さい!さっさと済ませてしまいましょうね!」
駄々をこねる子供に言い聞かせる様な口調で少しずつ近付いて来る京香だった。
「い、嫌だ………近寄るな!」
ヴィーーーーーーーン
「篤様は何も心配しないで宜しいのですよ。私に身を任せて下されば気持ち良くなれます!」
「う、嘘だ!そんな物で気持ち良くなんかなる訳がない!」
「いいえ、全てが終わった時には篤様はサッパリとして気持ち良い気持ちになられますわ!」
「確かに全てが終わった時はサッパリして気持ち良い気分になると思うが………それだけは嫌だ!!」
近付いて来る京香に後ずさりながら逃げていたが等々、背中が壁についてしまい逃げ道が無くなってしまった。
逃げ道が無くなり不気味な笑みを浮かべながら京香が近付いて来る。後、1mの所まで来ると何故か京香の鼻息が荒くなっている。
「さあ、さあ、早く観念して下さい!」
ヴィーーーーーーーン
「や、やめろ………ち、近付くな!!」
バキッ!
怪しい微笑みをしながら近付いてくる京香の頭に思わずチョップを打ち込んでいた。
「い、痛いじゃないですか!!」
京香はチョップを打ち込まれた頭を摩りながら少し涙目でジッと見つめてきた。
「そんな物を持って近寄って来られたら、誰でも同じ行動をとるわ!!」
「そうですかね?折角良い案だと思いましたのですが………」
カチッ!!
ヴィーーーーーーーン
「バリカンのスイッチを入れるのを止めろ!!」
「えーーー!何故ですか?」
「お前、俺を丸坊主にする気だろ!」
「……………」
「なぜ黙る?」
「それは…………」
「図星だな?」
「……………エヘッ」
「……………その笑いが余計ムカつく!!」
「そんなに怒らないで下さいよ!」
「誰でも怒るわ!」
カチッ!!
ヴィーーーーーーーン
「だから、スイッチを入れるな!!!」
怪しい微笑みを浮かべている京香の頭にもう一度チョップを入れると京香は痛がりながらバリカンのスイッチを切った。
「もぉ〜こんなに可憐な女の子に二度もチョップをするなんて、篤さんは酷い人ですね?」
「おい!誰が可憐な女の子だ!」
「目の前に居るではないですか?」
「寝言は寝てから言うものだぞ?」
「??…別に寝ていませんが?」
ダメだ………こいつと会話をすると頭が痛くなる!
早く京香との会話を終わらせたいので、バリカンは駄目と言うと京香はかなり残念な表情をして舌打ちをした。
京香の舌打ちが聞こえたが、そこで下手にツッコミを入れると京香の下らない話しの無限ループに入るのであえて流した。しかし、そこまでして俺の髪を坊主にしたかったのか?信じられない女である。
疲れた………早くこいつから解放されたいな………!?…そういえば、こいつが持って来た袋にはまだ物が入っていそうだな!少しばかり強引だが奪うか?
そう思った俺は京香に近づくと手に持つ袋を奪おうとしたが京香は俺の手をクルリと交わし俺から少し距離を置くと目をウルウルとさせ肩を震わせながら俺を見つめた。
「そんな………篤様……私が可愛いからって強引に襲うなんて獣です!」
「…………何時襲った?それに誰が獣だ?」
「獣は篤様で、今私を襲いました!」
「言っとくが俺はお前を襲ったつもりはない!それに獣でもない!」
「嘘です!確かに私の巨乳な胸を揉むつもりで触りに来ました!流れ出す涎を拭きながら息を切らせて襲いました!」
「おい!何か俺が変質者みたいになってるぞ?それに誰が巨乳だ?」
俺が残念な京香の胸を見ると京香は更に怯える素振りをしながら、胸を両手で隠した。
「嫌!やらしい視線で見ないで下さい!」
「………本気で殴るぞ!」
「えっ!?本気で犯すって………京香は篤様にボロボロにされて捨てらるのですね………」
「チッ!始まったか……こいつの地獄の無限ループが………」
「篤様………京香は初めてなので優しくして下さいね」
「もう好きにしてくれ!」
「では、そこのベッドへ行きましょうか篤様!」
ベットへ向かう京香の背中に我慢の限界に達した俺はドロップキックをお見舞いするとベットに飛んだ京香が、うっとりした表情をして此方を見ながら言った。
「あっ………き、気持ちいいです……もっとお願いします!」
「タメだこいつは………」
こいつはとんでもない変態だ!
頭を悩ませているとドアをノックする音がした。
俺はドアの方を見ると由美が慌てた表情で部屋に入って来ると俺の目の前まで来て、突然俺にビンタを放った。
パンッ!!!!
俺は一体何が起こったの分からないまま混乱していると怒った表情を由美が一言、俺に向かって言った。
「篤………最低よ!」
 




