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変化と再会

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「ハ、ハハハ………何だコレ?」


篤は鏡に映し出されている自分の姿を見て顔を引き攣らせていた。


茉都香も篤にかける言葉を見つける事が出来ずに黙ったまま見ていた。


「一体、俺の身体に何が起こっているんだよ………」


訳の分からない事が自分の身体に起こっている。どうして良いかさえ分からない、不安な気持ちで心が押し潰されそうだった。


「篤くん………」


茉都香は目の前に居る彼に対して声を掛ける事しか出来なかった。


鏡の前でただ呆然と立っていた篤の身体に次なる変化が起こった。


「!?………か、か、髪が…………」


篤の自慢だった母親譲りの黒色の髪が根元から毛先にかけて紫色に変色していく。


流石に茉都香も目の前で起こっている出来事に目を大きくして呆然と見ていた。


(………この子は一体何者なの?この事は陽子に知らせないと私では何もしてあげれない………)


髪の変色が終わると篤は再び鏡を見ると、そこに映し出されたのは紫髪の片目が紅い自分の姿だった。


愕然している篤だったが突然、頭の中で何かが弾けたと思ったら意識が別の空間に吸い込まれる感じがした。




ーーーーーーーーーーーーーーー



何も無い空間で篤の意識が目覚めた。



「こ、此処は何処なんだ?」


『フフフ………やっと会えたね!お兄ちゃん』


「だ、誰だ?」


『私だよ!……わ・た・し・だ・よ!』


「お前は…………」


篤は目の前に居る女の子を見て、最初は驚いていたが、次第に嬉しくなり目の前の女の子に抱き付いた。


「凛!!」


『ちょっと、お兄ちゃん!苦しい〜よ!』


死んだと思っていた妹が目の前に居る。篤は興奮し妹を抱き上げてクルクルとその場で何回も回る。


クルクルクルクル………


『目が………目が回るよ〜………止めてお兄ちゃん………』


「リン、リン、凛〜〜!!」


クルクルクルクル………


『止めて………目が………回る………』


「凛〜〜〜!!」


クルクルクルクル………


『ヤメれーーーー!!!』


バキッ!!


「はうっ!?」


凛は調子に乗る兄の頭上に拳を投下した。


篤は余りの痛さにしゃがみ込んでしまった。


「つい嬉しくなって………調子に乗ってすいません………」


『分かれば宜しい!次からは気を付ける様に!!』


「…………はい」


実の妹に説教をされる篤であったが、説教をされながらも嬉しかった。7年前に死んだと思われていた妹が目の前に居る。


誰よりも大切で絶対に護ると誓った筈だった。でも、7年前の〝あの時″自分は妹を護る事が出来なかった。


あの時の心の傷は何時まで経っても癒える事はなかった。


しかし、〝あの時″に護る事が出来なかった妹が目の前に居る。篤にとって、これ程嬉しい出来なかった。


『……ちゃん………お兄ちゃん!ちゃんと聞いてるの?』


「あ、ああ……聞いてるよ!」


『本当かな〜?なんか怪しい〜!』


「一つ聞いていいか凛!」


『ん?どうしたのお兄ちゃん?』


「いや………生きていてくれたんだ………」


『………………』


「ど、どうしたんだよ?急に黙り込んだりして!」


『あのね………言い辛いんだけどね………』


「辛かったら言わなくてもいいんだぞ!」


『ううん………言わないといけない事だから、ちゃんと言うね!』


「………分かった」


『私が7年前に死んだ事は覚えているよね?』


「…………ああ、覚えてるよ」


『辛い事を思い出させて、ごめんね…お兄ちゃん………でもね実は、私は〝あの時″に魂と肉体が切り離されて魂はお兄ちゃんと同化しちゃったのよ!信じられないと思うけど………』


「えっ?………お、俺と同化したの?」


『………うん』


妹の言葉に篤は思わず絶句してしまった。


『どうして、こんな事になったのかは分からないけど、信じてくれる?』


「し、信じるさ!凛の言う事だからな!」


『ふふふ…ありがとう、お兄ちゃん!』


照れる妹の姿に思わず頬が揺るんでしまう篤だった。


「それにしても、何で今まで会えなかったのさ?」


『それは、お兄ちゃんの身体と能力が第一形態だったからなの!』


「第一形態?」


『そうだよ!お兄ちゃんが、今まで第一形態だったから、私はずっと外に出る事が出来なかったの!でも、今のお兄ちゃんは第二形態に進んだから、その能力のお陰でお兄ちゃんと会話が出来る様になったんだよ!』


「第二形態って………この目と髪か?」


『そうだよ。カッコイイよ!お兄ちゃん』


「そ、そうか……何か照れるな〜」


妹に褒められて照れていた篤だったが、二人の周りの風景にノイズが走った。


「ど、どうしたんだ?」


『ごめんなさい………そろそろタイムオーバーみたい………その前にコレを渡しとくね!』


凛の手に光の球が現れると、その球を篤に手渡す。


「何だよコレ?」


『ふふふ……それはね。いずれ、お兄ちゃんを助けてくれるモノだから、大切にしてね!』


「おい!凛?どう言う事だよ?」


『じゃあね………また、会いに来るね。お兄ちゃん…………』


「凛!……リーーーーン!!」



ーーーーーーーーーーーーーー



篤は気が付くと鏡の前で座り込んでいた。


(さっきのは夢だったのか?………でも、夢だったとしても凛に会えた………)




篤がしゃがみ込みでしまってから、10分程、時間が過ぎてからだった。突然、茉都香が篤の手を握るとそのまま引っ張り立たせた。


「が、学園長?」


篤は茉都香の方を見ると、いきなり頬を軽く抓られた。


「ち、ちょっと痛いですって!何するんですか?」


「意識はしっかりしてるみたいね!」


「どうしたんですか?」


「どうしたの?じゃないわよ!いきなり貴方の意識が無くなったから、ビックリしたよ!」


「そ、そうなんですか?ご迷惑をお掛け致しました………」


「まあ〜元気になったのなら良いわ!」


「なら、先ずはその髪と眼をどうにかしないといけないわね!」


「どうにかって?」


「任せておきなさい!」





茉都香は篤にそう言うと携帯を取り出し何処に電話をかけ始めた。篤はこれから何が始まるのか不安で一杯だった。

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