気付いた事
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篤は茉都香から男物の服を借りて着替えると床に土下座して必死に頭を下げていた。
「す、すいません………」
茉都香は歳は陽子達と同じなのだが、やはり女性なので顔を赤くして何かボソボソと小言を言っている。
篤は土下座しながらも茉都香の小言が気になって耳を傾けてみると、茉都香はとんでもない事を言っていた。
『あ、あれってウチの旦那よりも大きかったわ………さ、流石は陽子の息子の息子よね、規格外だわ………す、凄いモノを見てしまったわね………ラッキーかも!』
………あ、あ、俺の人生が音を立てて壊れて行く!
篤は頭の中が真っ白になっていった。しかし、追い打ちをかけるように茉都香が言ってきた。
「えーと………貴方にそんな趣味があるとは思わなかったけど、もっと自分の可能性を大切にした方がいいわよ!間違っても外でやったら、逮捕されるわよ!それに………ボソッ!『折角、良いモノを持っているのに………勿体無いわね………』」
茉都香は最後の方はボソボソと言ったつもりだが、篤は茉都香の言った事が聞こえてしまい更に奈落の底にも落とされる事になった。
(お、終わった………俺に露出癖があると思われている…………それに俺の息子を褒めないでくれぇぇぇぇ!!!)
篤の心の叫びも虚しく茉都香への誤解を解くのは至難の技だろう………そもそも女装より裸を選んだ篤の計算ミスなのだから、自業自得であった。
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篤の誤解は解けなかったが、二人は部屋の椅子に座り篤は茉都香に朝起こった出来事を話し馬鹿会長につけられた腕輪を見せていた。
「ふぅーん、これが会長くんがつけた腕輪ね?」
「そうです………多分この腕輪が原因で俺の能力が低下して女の身体を維持出来なくなったと思うんです!」
「ちょっと、その腕輪を詳しく見せて貰えるかしら?」
「あっ、はい!」
茉都香にそう言われた篤は右手の腕輪を茉都香の前に出すと、茉都香は腕輪をそっと触ってみた。
「解析能力」
目を閉じて腕輪に解析能力をかけると茉都香は何かを感じたのか険しい表情をしながら解析能力を続けた。
「……………ゴクッ!!」
篤は唾を飲み込み緊張しながら茉都香の解析能力を見守っていた。
(学園長の表情が気になる………かなり、厄介な物なのか?)
篤がそんな事を思っている間に茉都香は腕輪の解析を終わらせて、何かしら納得のいかない表情で篤を見た。
「あのね、解析が終わったんだけどね………意外な事が分かったの!」
篤は茉都香の言葉に身を乗り出して聞いてみる。
「で、どうだったんですか?やっぱり、かなり厄介な物なんですか?」
興奮気味に聞いて来る篤に茉都香は落ち着くように篤に言い聞かせた。
「近い、近い!!ちょっと、落ち着きなさい!今から説明するから!!」
茉都香にそう言われ自分の顔が茉都香の直ぐ前まで来ているのに気付くと、申し訳なさそうな顔をして椅子に座り謝った。
「すいません………早く結果が知りたかったものだから」
落ち着いた篤を見てホッと胸を撫で下ろた茉都香は静かなトーンで話し出した。
「よく聞いてね……この腕輪は既に壊れているのよ!だから、貴方が元に戻ったのは、この腕輪が原因ではないのよ!」
「はい?」
予想もしなかった返答に篤は理解不能でもう一度聞き直した。
「えっと……腕輪が壊れている?はて?一体どういう事ですか?」
腕を組み頭を傾げながら『?』マークを出し悩んでいる篤に、分かりやすく教えようと思って茉都香は椅子から立ち上がるとベットの横にある小さいテーブルまで移動すると、テーブルの上に置かれていたリモコンを取るとリモコンのボタンを押した。
「分かりやすく説明するから、コレを見て!」
茉都香がそう言うと天井に穴が開くとその穴から大きなモニターが現れた。
「おお………すげー!!」
現れたモニターを見ながら驚く篤であったが、(何故、説明に無駄に大きなモニターが必要なのだ?それにこんな設備、日常に必要なのか!金持ちの考えは分からん?)と思いつつ口には出さなかった。
「………貴方、今失礼な事思ったでしょ?例えば無駄に大きいモニターが説明に何故必要だと思ったでしょ?」
茉都香に思った事をそのまま言われた篤は戸惑いなが(何故バレた?)と思いながら、誤魔化した。
「えっ、えっ、そ、そんな事は思っても言いませんよ!あっ!?やべえ!」
「やっぱり………貴方は直ぐに表情に出るわね!そんな所は陽子にそっくりね!」
自ら墓穴を掘ってしまった篤は頭をかきながらの頭を申し訳なさそうに頭を下げた。
「すいません………でも、俺ってそんなに顔に出やすいですか?」
「出やすいわね!単純というか、隠し事が苦手みたいね!でも、逆に言うなら素直って事よ!」
「はあ〜素直ですか?今まで、そんな事言われた事なかったです」
「あら、そうなの?」
「はい、言われた事はないです!」
「意外ね?」
「あの〜そろそろ、本題に入って欲しいんですが………」
自分の事を言われるのは余り好きではない篤は脱線した話しを戻して欲しかったので、茉都香にお願いした。
「ごめんなさいね。話しが逸れていたわね………では、コレを見て欲しいのよ!」
「!?」
茉都香がモニターに向けて手を上げると手から光が溢れ出して来た。
その光はモニターに向けて一直線に放たれると真っ暗だった画面に電源が入り英語で文字が現れた。
『Attestation check』
「月足 茉都香」
『ok』
『What do you do?』
「解析表示」
『In preparation』
「…………長いわね」
『It has prepared』
「映しなさい!」
茉都香の声に反応してモニターに腕輪が表示されると解析結果と表示された項目の下に『It has broken』と書かれていた。
それを見て篤は目を大きくして驚いた。
「が、学園長……これは本当なんですか?」
篤の質問に茉都香はニッコリ笑うと大きく頷いた。
「そうよ!私が腕輪を解析した結果がこれなのよ!」
「一体、何時壊れたんですか?」
「この腕輪はねSランクの能力者に対して作られたと思うのよ。だから、それ以上の能力者に使用すると腕輪が耐えられなくなり、壊れると思うのよね。だから、私の予想では貴方の能力がSランク以上だったから、腕輪はつけた途端に壊れた。しかも、陽子と同じ様に性別が変わる体質な貴方が男性に戻るタイミングと腕輪のつけられた時期が重なったと思われるのよ!」
「そんな事って………でも、腕輪をつけられた後に能力の低下を確かに感じたんですよ!」
篤の質問に茉都香は少しばかり悩みながら答えた。
「多分、腕輪がキッカケで男性に戻ったんじゃないかな?昔、陽子から聞いたんだけど、女性から男性に変わる時は能力の低下を感じるって言っていたしね!」
「そ、そうなんすか?母ちゃんからはそんな事、一言も聞いてなかった………」
「あら?でも、貴方は今まではどうだったの?同じ感じがしてた筈じゃないの?」
「そ、それが………」
「ん?どうしたの?」
篤は茉都香の質問に無言になってしまった。
茉都香は黙り込んだ篤を見て優しく「どうしたの?」と聞いて見た。
篤は黙っていても始まらないので、正直に話す事にした。
「それが………覚えてないんです」
「えっ?覚えてないって、どうゆう事なの?」
「前回、女になった時は覚えているんですが、その時は能力を使い果たして気を失ったんです………それで次に目を覚ましたら男に戻っていたんです。」
「そうなの………まあいいわ!その時に何があったのかを聞くのは次にして、一つ気付いたんだけど………良いかしら?」
「はい、何ですか?」
茉都香は篤の目をジッと見つめて首を傾げた。
「貴方の瞳の色がさっきと違うのよ?」
「えっ!?」
茉都香にそう言われた篤は急いで部屋の隅に置かれた鏡に向かうと鏡を覗き込んだ。
「あっ!?」
そこには右眼が紅色に変わった自分の姿があった。




