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疑問

イヴが去った後、寛子と零は少しの時間、固まっていた。


最初に我に戻ったのは零だった。零は先程の能力を解放したイヴの能力や姿に疑問を感じていた。


(あのイヴと名乗る少女が発する波動は一体………クソッ!何が起こっているんだ?)


零は考えても考えても、さっぱり分からなかったので、苛々しながら髪をグチャグチャにかいていた。


一方、寛子は能力を解放したイヴの姿に見覚えがあったので、未だに信じられない表情をして固まっていた。


(そ、そんな…………あの姿は………まるで……あの子に………で、でも………あの子は………)


寛子はイヴが自分の知っている人物とよく似ていると思った。


零は寛子が何時までも我に戻らず、ずっと立ち尽くしたままだったので、気になって寛子を呼んでみた。


「大丈夫か?寛子さん?」


「…………」


寛子は零の呼び掛けに返事を返さなかったので、零は寛子の肩を掴むと寛子を揺さぶった。


「寛子さん?」


「…………あっ?あれ、零さん?………私……どうしよう?」


漸く、零の呼び掛けに反応した寛子は意味不明な事を言い出したかと思うと、急に涙を流し出して零に抱きついた。


「ど、どうしたんだ?寛子さん!」


「…………ごめんなさい……気持ちの整理がつくまで、このままでいさせて………」


「………分かったよ……好きなだけ泣くといいよ!」


零は突然、寛子が泣き始めて抱き付いてきたのでかなり動揺したが、寛子が自分を頼ってくれた事に凄く嬉しかった。


しかし、寛子の態度を見る限り、先程のイヴに対して何か心当たりあったのだろうと思ったが、今の寛子には何も聞けないと思った零は優しく寛子を抱きしめていた。


(寛子さんは、先程のイヴという少女に対して何か心当たりがあったんだろう………しかし、今は聞けない………)


零はそう思うと寛子の背中を優しく撫ぜた。


しばらくして、寛子は気持ちを落ち着かせると零の胸から顔を覗かせた。


「取り乱してごめんなさい………もう大丈夫!」


零は寛子の背中に回していた手をそっと離し寛子と視線を合わせた。


「そうか………なら、良かった。」


「零さん………あのね……あのね!」


寛子は零のに自分が考えている事を必死に伝えようとするが、何を言っていいのか分からない。


寛子はまた、頭の中がゴチャゴチャして何も伝えられない。


「ごめんなさい……私……!?」


零は寛子を再び強く抱きしめた。


「無理しなくて良いよ!寛子さんの気持ちの整理がつくまでは何も聞かないよ」


「零さん…………ありがとう」


寛子は涙を拭いながら、零の顔を見ると寛子はハッと我に戻り顔を真っ赤にして零から離れた。


「ごめんなさい!わ、私………」


顔を真っ赤にして慌てて離れた寛子に零も顔を真っ赤にしながら、頭をかいていた。


「お、俺の方こそ、すまない………」


二人はお互いの顔が見れないまま時間だけが過ぎていった。




最初に口を開いたのは寛子だった。


「そろそろ、私達も帰りませんか?」


「そ、そうだな……今日は遅くなったし、陽子さん達に報告もしないといけないしな!」


寛子は零の言葉で大変な事に気が付き慌て始めた。


「あっ!?ど、どうしよう………」


寛子の態度を見て零は何か嫌な予感がした。


「ど、どうしたんだい?」


「あのね……お母さんの名前で思い出したんだけど……お母さんって何時も家に感知能力を展開させて寝ているんです!」


寛子がそこまで説明すると、零は理解したくなかったが嫌でも分かってしまい嫌な汗を流した。


「そ、それって………俺達が家から居なくなった事がバレているって事だよね………」


寛子は零の質問に申し訳なさそうに頷いた。


「うわぁぁぁ―――――――――!!」


零は絶叫しながら、その場に膝をついて愕然とした。


寛子も苦笑いをしながら思った。


(やばいな~………どうしよう……)


寛子は膝をついて放心状態の零を立たせると、空間を開き中に消えていった。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





寛子は家のリビングに座標を決めて移動した。


リビングに二人が着くと、部屋は真っ暗で人の気配がしなかったのでホッと一安心すると、突然部屋の電気がついたので寛子と零はビクッとした。


「「!?」」


寛子と零が部屋の電気のスイッチの方を見ると、腕を組んでいかにも般若の表情をして陽子の姿があった。


「貴女達………いい度胸してるわね?………今まで何処に行っていたのか、たっぷりと話して貰うわよ!」


陽子がそう言うと二人は愕然とした。


陽子の言われるままに寛子と零はソファーに座ると、今までの出来事を全部話した。


その話を聞いた陽子は驚きを隠せなくて、しばらくの間何かをずっと考え込んでいた。


しばらく考え込んでいた陽子が寛子と零に質問をした。


「ハア~本当に厄介な事ばかり起こるわね………」


陽子が大きく溜息を吐くと、寛子と零は申し訳なさそうにして謝った。


「ごめんなさい………」


「すいません………」


二人が謝る姿を見て陽子は少し微笑むと顔を横に振った。


「もういいわよ。どうせ貴女達が家に居ても、そのイヴって名乗る子は現れただろうしね!」


「でも、私が勝手に空間移動しなければ現れなかったかもしれない………」


寛子が自分を責める様に言うと、隣に座っていた零が寛子を庇うように話し出した。


「それに付いては、寛子さんは全く悪くないんです!俺が寛子さんを誘わなければ、イヴにも会わなかったはずなんです………だから、悪いのは全部俺なんです!!」


「れ、零さん………」


寛子は零が庇ってくれた事が嬉しくて、零の顔を見つめると零も寛子と視線を合わせて頷いた。


「コラ!!親の目の前でイチャつくな!!」


陽子が呆れ顔で二人にそう言うと、二人は咄嗟に視線をそらすと顔を赤くしてモジモジしていた。


(本当に、この二人は小学生みたいな恋愛をするわね………大丈夫かしら?)


二人の行動を見た陽子は疲れた表情をしながら、イヴに付いて質問をした。


「それにしても、その子は貴女達をお兄ちゃんとお姉ちゃんて呼んだの?」


陽子がそう聞くと寛子は頷いた。


「うん!それに由美の事も知っていたみたいで、私達と同じようにお姉ちゃんって言ったの!」


「まるで、貴女達の妹みたいな感じよね………」


「うん………」


「それに空間干渉能力まで使うとはね………厄介ね!」


「私も見た時は信じられないと思った………」


陽子はもう一つ気になる事があったので聞いてみた。


「でも、そのイヴと名乗る子は能力開放した時に変身したのね?」


陽子の質問に寛子が答えた。


「うん!髪と瞳の色が変わったの!それに………」


寛子は言葉を詰まらせ黙ると、陽子から視線を反らした。


そんな娘の態度を見た陽子は娘が何か隠し事をしている事が一目で分かったので聞いてみた。


「ねえ寛子………貴女、そのイヴと名乗る子について何か気が付いたのね………」


「…………うん」


「話せる?無理に話さなくても良いからね!」


陽子がそう言うと、寛子は顔を横に振った。


「ううん、大丈夫だよ。お母さんには話さないといけないことだから……」


「そうなの……なんか緊張して来たわ!」


「お母さん、私の見た事をお母さんに送るから手を出して!」


「分かったわ!」


寛子がそう言うと、陽子は右手を寛子の前に差し出すと寛子は差し出された手を握り目を閉じると集中し始めた。


寛子の身体から白いオーラが発すると、白いオーラは寛子の手を通じて陽子に伝わって行った。


零は静かに二人の事を見守っていた。


やがて、白いオーラが二人から消えると二人は静かに目を開けた。すると、陽子は驚いた表情をしていた。


陽子の顔を見た零は不思議に思っていた。


(二人は一体何を知っているだ?)


零がそうな事を思っていたら、突然陽子が涙を流し始め呟やいた。







「う、嘘?………あの子は………もう………いない筈なのに………どうしてなの?………」

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