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二人だけの時間1

寛子達は美沙子の言葉に目を大きくして驚いた。


「無理無理!何て事言うのよお母さん!」


「そうですよ!美沙子さん」


「…………」


零は、何故だか無言のまま少し落ち込んでいた。


それに気付いた寛子は、零に話し掛けた。


「どうしたんですか?」


「い、いや……二人が…余りにも……」


零は言い辛そうだったが、美沙子は零の言いたい事が分かったのか、代わりに答えた。


「零クンはね〜貴女達が余りにも否定したから、傷付いたのよ〜!ねっ!零クン!」


「「!?……ほ、本当なの零さん?」」


「………」


コク!


零は無言のままで頷いた。


そんな零の姿を見た寛子と由美は、慌てて誤解を解こうとした。


「れ、零さん、そんなつもりで言った訳ではないんですよ!」


「そ、そうですよ!お母さんが変な事を言うから少し焦っちゃっただけで、別に零さんを否定なんてちっともしていませんから!」


「………」


零は相変わらず落ち込んだ表情をしていて、それを見た寛子と由美は小声で話し出した。


『ちょっと、どうする由美?』


『どうするって………どうしよう?』


『う〜ん………』


『ねぇ………寛子!』


『なに?』


『仮にも零さんは寛子の彼氏なんだから、寛子が甘えたりすると、元気でるんじゃないの?』


『ちょ、ちょっと!いきなり、何を言ってるのよ!』


寛子は顔を真っ赤にして、慌てて手を振った。


『でも、傷付いた零さんを癒すには、これしか無いと思うのよ!』


由美は真剣な表情で寛子に語っていたが、言い終わった後に、由美の口が一瞬ニヤッとした事を寛子は見逃さなかった。


『ねぇ、由美………』


『どうしたの寛子?』


『貴女………今の状況を楽しんでいるでしょ!』


ギクッ!?


由美は寛子が言った事が、図星だったので顔を引き攣りながら答えた。


『べ、別に楽しんでなんかないわよ!』


『…………』


(怪しい!………由美の奴、絶対に楽しんでいる!)


由美のトボけた顔を見ながら、寛子は思った。


由美は話題を晒そうと寛子に零の事を話してきた。


『それより、零さんの事どうするの?』


寛子は目を細めて疑うように由美を見ていたが、溜息をつくと由美の言葉に返事した。


『はぁ〜……零さんの事はとりあえず、置いときましょう!今の零さんに何を言っても聞いてもらえそうに無いから!』


寛子の言葉に由美は零の方をチラッと見た。


そこには、ダークなオーラを放っている零の姿があった。


そんな零を見て由美は納得した。


『そうね……分かったわ!』


『分かってくれた?………でも、こんな無茶振りをしてきた悪の根元の美紗子さんをどうにかしないとね!』


『そうね……でも、娘の私が言うのも何だけど………人として最悪よね!』


『娘である由美に、そこまで言わせる美紗子さんて………』


『ねぇ寛子!あの人に同情なんてしてはダメよ!あの人は、この世には存在してはいけないの!』


『由美………残念だけど貴女にも、美沙子さんの血が半分流れているんだよ………』


『い、嫌ーーーー!』


寛子と由美は楽しそうに小声で話していたが、地獄耳の美沙子は笑顔で、二人の会話を聞いて一言呟いた。


「あら〜何か酷い事を言われているわね〜!お母さん傷付ついちゃうわ〜!」


その言葉を聞いて寛子と由美は思った。


((嘘だ!!絶対にこの人は、傷付いてなんかないはず!!))


そんな四人を見兼ねた陽子が、少しイライラしながら話し出した。


「いい加減にしなさい!ちっとも話しが進まないわ!」


陽子の一撃に四人は申し訳なさそうに謝った。


「「「「ごめんなさい………」」」」


陽子は腕を組んでフンッ!と鼻を鳴らすと、話しをし始めた。


「美沙子も馬鹿な事は言わない!それから、寛子と由美ちゃんも悪ノリし過ぎ!零クンは男なんだから、そんな事で凹まない!分かったわね!」


「「「「はい………」」」」


「分かれば宜しい!では、零クンの部屋なんだけど………零クンは私の部屋に来ない?」


「「「ダメに決まってるでしょ!!!」」」


「えーーーー!何で駄目なのよ?たまには若い子と寝たいの〜!」


「「「尚更、ダメに決まってるじゃない!!!」」」


「………もう、ついて行けん………」


陽子のボケに零以外の三人が見事なツッコミをいれた。


それを見ていた零は、更にダークなオーラを放っていた。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






結局、あれから零は篤の部屋で寝る事になり、ひと段落ついたのだった。


寛子は自分の部屋で由美と一緒にベットで寝ていたが、中々寝付けずにいた。


寛子の横で寝ている由美を起こさないように寛子はそっとベットから出ると、部屋を出て一階へ下りるとリビングで何やら人の気配を感じた。


(こ、こんな時間に誰?)


寛子は気配を消しながら、リビングの方へ向かうと、そこにはソファーに座り込んでいる零の姿があった。


「えっ?」


(れ、零さん?)


寛子は零の姿に驚き、思わず声を出してしまった。


「誰だ!?」


零は声の方を振り向くと、そこに立っているのが寛子だと分かると急に謝りだした。


「寛子さんか………驚かせてすまない………」


寛子は謝ってきた零に最初はビックリして、中々言葉が出て来なかったが、何回も頭を下げて謝っている零の姿を見ていると思わず笑ってしまった。


寛子は笑いながら零の向かい側のソファーに座ると話し出した。


「ぷっ!……もういいですよ零さん!」


「嫌、しかし………」


零はアタフタしながら、喋っていると寛子が零の言葉を遮って話し出した。


「零さんて、何時も謝っているばかりですね!」


「あ、ああ!確かにそうだな………」


寛子は零の言葉にまた笑った。


零も寛子の笑いにつられて笑ってしまった。


二人はそんなたわいもない事で笑っていたのだが、やがて笑い疲れて二人は黙り込んでしまうと暗い部屋に静寂だけが残った。


話す話題が見つからず寛子と零は気まずい雰囲気の中で時間だけが過ぎていったのだが、突然寛子が急に零に訪ねてきた。


「ねえ零さん…………一つ聞いてもいいですか?」


突然の寛子の質問に零は慌てたが、零は寛子の顔を見ると寛子が真剣な表情をしていたので零はひと呼吸して自分を落ち着かせて返事をした。


「ああ、何が聞きたいんだい?」


零の返事に寛子は顔を赤くして少しモジモジしながら、先ほどよりも小さい声で質問した。


「そ、その………れ、零さんは…………わ、私なんかの………ど、何処が好きになったんですか?」


「えっ!?」


寛子の質問に零は目を大きくして、その場に固まってしまった。


寛子の質問に零は頭の中が一瞬真っ白になったが、しかし、目の前の女性が自分の答えを待っていると思うと、早く答えなければいけないと思いゆっくりと口を開いた。







「お、俺は………君の…………………」

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