決意
寛子は由美と一緒にお風呂に入ってから散々な目にあったが、二人はお風呂から上がると陽子達がいるリビングへと向かうと、そこには真っ白になった零の姿があった。
寛子と由美は何があったのかを陽子に聞いてみると、陽子は苦笑いで真っ白になった零を見て答えた。
「美紗子がね、零クンをちょっとイジメたのよ………見ていて、可哀想なぐらい凄いイジメっぷりだったわ………」
陽子がそう言うと、美沙子が言い返してきた。
「あら〜酷いわね〜!陽子だって一緒に零クンを、からかっていたじゃない〜!」
「私は少し寛子の事をどう思っているか聞いただけでしょ!美沙子!アンタは夜這いだの覗きだの散々、零クンをあおったでしょ!」
「だって〜、健全な男の子はそういう事がしたいって、この前見た本に書いてあったわよ〜!だから、零クンだって男の子何だからそういう事は考えているばすだから、私は背中を押してあげたのよ〜!」
「「「…………」」」
美紗子の言葉を聞いた三人は、顔を引き攣らせながら大きく溜息を吐いた。
陽子は気を取り直して、美沙子の腕を掴むと寛子達の方を見て言った。
「私達はお風呂に行って来るけど、零クンの事を頼んだわ!多分、生きてと思うけど………」
「うん!………わかった!」
寛子がそう返事をすると、陽子は美沙子を連れてお風呂に向かった。
寛子と由美は母親がいなくなるのを確認すると、真っ白になっている零に話しを掛けた。
「あの〜零さん………生きてます?」
「…………」
(へ、返事がない………一体、何を言ったのよ美紗子さん………)
寛子は零がとても可哀想だと思った。
由美も返事をしない零に対して、申し訳ない気持ちで一杯だった。
「零さん………ごめんなさい………うちの母が、困らせる事を言ったみたいで………大丈夫ですか?」
「…………」
しかし、零は返事を返す事は出来なかった。
(………一体、何を言えばこうなるのよ?)
由美は反応しない零に対して、段々不安になってきたので、寛子の方を見て小声で話し掛けた。
『ねえ、零さんがさっきから返事しないんだけど、生きているよね?』
『うん………息はしているみたいだから、生きてとは思うけど………心が壊れてるみたいよ!』
『お母さんは、零さんに何を言ったのよ………』
『わかんない………でも、うちのお母さんが同情するぐらいだから、よっぽどの事を言われたと思うよ!』
『零さんって、真面目だからお母さんの言う事についていけなかったと思うのよね………』
『何か分かるな〜………自我を守る為に、自らの殻にこもっちゃったんだね……きっと………』
『でも、どうしようか?』
『う〜ん………身体を揺さぶってみる?』
『そうだね!』
寛子はそう言うと、零の肩を両手で掴むと零の名前を呼びながら揺さぶったが、零は無反応だったので揺さぶるのをやめて、由美の顔を見て顔を横に振って言った。
『どうしよう………ダメみたい………』
『重症みたいね………』
由美も自分の母親がやった事なので、どうにかせねばと考えていたら、寛子が何かを決意した表情をして由美の顔を見た。
『ねえ、由美………これか私がする事に対して、誤解しないでね!……多分、これしか方法は無いとか思うから………』
『な、何をするの寛子?』
寛子は、零の右手を掴むと零の右手を自分の胸にあてた。
『!?ちょっと、寛子!!』
由美は寛子の行動見て慌てて、止めようとしたが寛子は由美の顔を見て顔を横に振った。
『止めないで!これでダメだったら、多分他に方法は無いと思うのよ!』
真剣な表情で語る寛子を見て、由美は寛子が真剣だと思ったので、黙って見守る事にした。
「零さん………反応してよ!!ほら!」
寛子は零の右手で自分の胸を鷲掴みさせて揉ませてみた。
「……………あっ!ダメ!!」
寛子が色っぽい声を出すと、それを見ていた由美は顔を真っ赤にして、生唾を飲んだ。
すると、先程まで無反応だったら零が一言漏らした。
「ん?………柔らかい……」
「「!?………零さん?」」
寛子と由美は反応した零を見ると話し掛けた。
「零さん、大丈夫?」
「帰って来て、零さん!」
二人の呼び掛けに、零は俯いていた顔を起こしすと、心配そうな表情で自分を見ている寛子達に気付くと自分の右手に違和感を感じたので、右手を見てみると何と右手が寛子の胸を鷲掴みしている事に気付き慌てて、右手を寛子の胸から離して、顔を真っ青にして寛子に謝った。
「す、すまない!!!俺は無意識に君の……む、胸を………すいませんでした!!謝っても許される事じゃないと思うが………本当にすまない!!」
「えっ?こ、これは、私が………ん!?」
真っ青な顔で謝っている零に寛子が、誤解だと話そうとしていたら、急に由美が寛子の口を手で塞いだ。
そして、自分が無意識に寛子の胸を掴んだと勘違いしている零に向かって、由美は真剣な表情をして言った。
「見損ないましたよ零さん!自分の殻にこもっている零さんを、現実に返す為に寛子が一生懸命声を掛けていたら、いきなり寛子の胸を鷲掴みして、揉み始めちゃうし………寛子が可哀想………最低です零さん!!」
「お、俺はそんな事をしたのか………取り返しのつかない事をしてしてしまった………どうやって寛子さんに償えばいいんだ………」
零は両手を頭に当てて、髪をグチャグチャにかいていた。
それを見ていた寛子は、小声で由美に話し掛けた。
『ち、ちょっと!何でこんな事するのよ由美?』
『だって、面白そうじゃない!』
『お、面白そうって……貴女ね!』
『零さんのこんな姿が見れるなんて、滅多に無いわよ!』
『由美………貴女って悪魔よね………』
『当たり前じゃない!だって、女の胸は安くないのよ!寛子も自覚しなさいよ!!』
『………分かった……それより、そろそろ誤解を解いた方がいいんじゃないかな?』
『そうね………元々は私のお母さんが悪いんだしね!』
『そうしよう!』
寛子と由美はそう話すと、今だに髪をグチャグチャにしている零の方を見ると話し掛けた。
「あの〜零さん………本当は誤解な!?」
寛子が誤解だと話そうとした瞬間、零が何やら覚悟した表情をして、寛子の話しの最中に入り込んだ。
「俺も男だ……寛子さんに対して謝るだけでは駄目のなのは分かっている!寛子さん………俺はだらしない男だが、俺なりに考えた結果、君に出来る事………寛子さん!君を一生守らせてくれ!」
「えっ?……えーーーーーー!?」
寛子は予想出来ない出来事に、ただ驚くしかなかった。
由美も同じく、こんな流れになるとは思わず口を開けたまま固まっていた。
三人がそんな状態の中、お風呂から陽子と美紗子が上がって来たのだが、陽子は寛子達の方を見て、何やら三人の空気がおかしい事に気が付いたので、寛子に話し掛けてみた。
「一体、何かあったの?」
陽子の言葉に寛子は助けてと言わんばかりの表情で返事した。
「良かった!お母さん助けて!」
陽子は娘の表情を見て、只事では無いと思うと何があったのかを零に聞こうとしたら、零が陽子に話し掛けてきた。
「陽子さん!突然ですいませんが………寛子さんと結婚を前提にお付き合いする事を認めて下さい!!」
「は、はあ???」
陽子は零の言葉に、呆然としていた。




