監視者〔約束〕
陽子は寛子達の返事に頭を悩ませていた。
「あんた達、どうなっても知らないわよ!」
陽子がそう言って寛子達を見たが、寛子達は真剣な表情して陽子を見つめ返した。
「………分かった。覚悟はあるみたいね………なら、もう何も言わないわ!」
陽子の横にいた美沙子も、やれやれと言った表情で寛子達を見た。
「それじゃ〜ね、一つだけ約束して欲しいんだけど、三人とも守れるかな〜?」
美沙子の言葉に寛子達は頷いた。
「「「守れます!」」」
「分かった〜………私達が守って欲しい約束わね〜………私達の子供と言う事を隠して欲しいのよ〜!それから、零クンに至っては私と陽子の弟子と言う事にして欲しいのよ〜!」
寛子達は美沙子の提案に驚いた。
「どうしてお母さん達の子供である事を隠す必要があるんですか?」
「そうだよ!お母さん!」
寛子と由美は納得がいかなかったので美沙子に質問してみた。
寛子達に質問された美沙子は、寛子達が納得が行く答えを欲しがっているようだったので、美沙子は寛子達に一族の内情を話した。
「それはね〜貴女達が私達の子供だと分かると、余り良く思わないのよ〜!私達は一族から逃げ出した者だしね〜。それに今の一族は色々と内部で物騒な事が起こっているから、貴女達にも火の粉が降り掛かるかも知れないから、出来るだけ穏便に済ませたいのよ〜!どう?納得してくれた〜?」
「………分かりました」
「………分かった」
「分かってくれたんだ〜!ありがとうね〜!それから、零クンについては【黒羽】の人間を一族に入れると大問題になっちゃうから、素性を隠して行きましょうかね〜!」
「分かりました………」
「聞き分けのいい子は好きよ〜!」
美沙子は零にウィンクをすると零は引きつった表情をして、困っていた。
「あら〜私って魅力無いのかしら〜?何だか凹むわ〜………」
「ちょっと、お母さん!いい歳してやめてよね!恥ずかしいじゃない!零さん、ごめんなさい………こんな母親で………」
「い、嫌………気にしてない!」
零は下手な事は言えないと思い、表情を引きつらせたまま返事をした。
美沙子は娘の言葉に少しふて腐り気味なり、愛奈と影二の方を見ると愛奈と影二も美紗子の方を見て話し出した。
「あの〜陽子様、美紗子様………戻られる日は明後日で構いませんか?」
「ん〜私は構わないけど、陽子は大丈夫なの?」
「私の方も構わないわ!」
「分かりました………では、明後日の朝にお迎えに来ます。」
「いいわよ!でも、二人ともさっきの美紗子が言った条件は飲んで貰うわよ!いいわね!」
「はい!構いません!しかし、その【黒羽】の男が放つ〔黒の刻印〕は隠しようがありませんが………」
「それについては任せていて!」
「はあ〜………分かりました!」
「ごめんなさいね二人とも!」
「構いませんよ!それより、お二人が戻られるだけではなく、寛子様と由美様まで来られるなんて夢の様です!!」
愛奈は幸せそうな表情をして、自分の世界に入っていた。
そんな愛奈を見ていた影二は溜息を吐くと、再び陽子達の方を見た。
「申し訳御座いません………普段はこんな奴ではないのですが、どうも陽子様達の事になると、こうなってしまうみたいです………」
陽子達は哀れみの目で影二を見て言った。
「頑張りなさいよ影二クン!」
「そうよ〜!これから大変だと思うけど、諦めたらダメよ〜!」
「影二さんファイトだよ!」
「俺はお前の事は嫌いだが………頑張れよ!」
「???………みんなに言ってるの?」
寛子だけは、皆が何を話しているのかが分からなかった。
そんな寛子を見ていた由美が寛子を見て言った。
「寛子は黙っていてね!」
由美の言葉に寛子はムッと来て言い返した。
「ちょっと!さっきから由美、酷いじゃない!」
しかし、由美は寛子の言葉をスルーして影二の方を見ていた。
影二は由美と寛子が喧嘩になるのではと、ハラハラしていたが、由美は影二を見て言った。
「気にしないで下さい!寛子は愛奈さん並に鈍感なんで、本人が気付くまで放置しようと決めましたから、大丈夫ですよ!」
「そ、そうなんですか?………分かりました。由美様が言われるなら、大丈夫なんですね!」
「はい!大丈夫です!それから、私と寛子に様をつけるのは辞めて下さい!………何か嫌なんで………呼び捨てで構いません!」
「しかし、それでは………」
「いいんです!私も寛子も偉い人間じゃないんですから!それより何で私と寛子が様付けされる方が疑問です!」
「そ、それは………」
影二は由美の言葉に言葉を詰まらせて、陽子達の方をチラッと見ると陽子が顔を横に振ったので、影二は由美に嘘をつく事にした。
「それは………自分と愛奈は幼き頃から付き人として教育を受けておりましたので、普段からこういう言葉使いになっております………」
「ふ〜ん………そうなんだ!」
「由美様、ご理解して貰うと助かります!」
「………な〜んか引っかかるのよね………一応、理解はしときます!そっちにも色々とあるみたいだし!」
「有難う御座います!由美様!」
「だから、様付けは辞めてよね!」
「申し訳御座いません………癖でついつい付けてしまうみたいです」
「なるべく早く直して下さいね!」
「了解しました!」
怪しんでいる由美から、何とか話題を変えようと必死な影二を見て陽子が助けに入った。
「ところで、由美ちゃんと寛子に相談しないで勝手に明後日に行く事にしたけど、都合の方は大丈夫なの?」
陽子の質問に寛子と由美は笑顔で頷いた。
「大丈夫だよ!」
「私も大丈夫です!」
「それ良かったわ!でも、零クンの 方は大丈夫?」
陽子にそう聞かれた零は陽子を見て頷いた。
「俺の方も大丈夫です!」
「でも、妹さんは大丈夫なの?」
「妹は母がみてくれるので、大丈夫です!」
「分かったわ!」
陽子は零も行ける事を確認すると、影二の方を見て話して掛けた。
「そういう事だから、明後日の朝に8時に迎えに来てね!」
「了解しました。では、明後日にお迎えに伺います!」
「うん、頼んだわよ!」
「はい!では、我々は失礼します!………おい、愛奈!帰るぞ!」
影二はまだ自分の世界に入っている愛奈の頭を軽く叩くと、我に返った愛奈は反射的に影二にパンチを放った。
バキ!
「痛!?………お前な〜!いい加減にしろよな!」
「うん?何が?」
「打った自覚無しか………最悪だ!」
「さっきから何を言ってるのよ影二?」
「もういい!帰るぞ愛奈!」
「えっ?帰るってどうしたの?」
愛奈は先程まで自分の世界に入ったいたので、一連の流れを理解していなかった愛奈に影二は短めに状況を話すと愛奈は笑顔で寛子達に頭を下げた。
「申し訳御座いませんでした。ついつい嬉しくて、妄想をしておりました!では、明後日にお迎えに伺います!楽しみにしていて下さいね!失礼します。」
「愛奈!ちょっと待てよ!あっ!では、自分も失礼します!」
影二は先に帰って行く愛奈を追いかけて行った。
それを見ていた寛子達は呆然と二人を見送っていた。
「何か疲れたわね美紗子………」
「そうね〜………台風みたいだったわね〜」
「「「うん!」」」
寛子と由美と零は美沙子の言葉に頷いた。
陽子は背伸びをしながら、寛子達を見て言った。
「今日は三人とも疲れたでしょ?夜も遅いし今日は私の家に泊まっていきなさい!いいでしょ?美紗子!」
「私は構わないわ〜!」
「「「!?」」」
陽子の爆弾発言に寛子達は固まっていた。




