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監視者2〔尊敬〕

寛子と由美がそう思うと、陽子達を見てもじもじしながら、聞いてみた。


「ねえ〜………お母さんの生まれ育った家が見てみたいな〜と、思ったりして………」


「………私も見てみたいです!」


寛子と由美がそんな事を言い出したので、陽子と美沙子は困った顔をして、言い返した。


「ちょっと二人共、本気で言ってるの?」


「何でそんな事を言うかな〜お母さんは反対ですよ〜!厄介な事しか無いのだからね〜!」


寛子と由美は、美沙子の反対に落ち込んだ顔をした。


美沙子は、流石に言い過ぎたかなと思っていたら、会話を聞いていた愛奈が陽子に話し掛けてきた。


「あの~?陽子様達は何をそんなに反対なさるのですか?」


愛奈が不思議そうな顔をしながら首を傾げて聞いて来たので、陽子は愛奈と影二の顔を見ると話しを語り出した。


「あのね…アナタ達は詳しくは知らないと思うけど、私と美紗子は一族にいた頃は余り、いいように思われていなかったよ………私の一族でも特殊な体質だったから、結構不気味がられたのよ!それで私と何時も一緒にいてくれた美紗子も同じように思われていたのよ………でも、そのお陰で自由になれたんだけどね!」


「えっ?そんな話し聞いた事がありません………」


「そうでしょうね〜!貴女達みたいな若い者には伝えてないはずだもの!知っているのは私の世代とそれより、歳上の者なら皆知っているわよ!………だって、殆どの者が私達をそう思っていたからね………」


陽子が深刻な顔をして語ると、愛奈はフルフルと小刻みに 震えると顔を真っ赤にして陽子を見つめた。


「………せん……そんな事、絶対に許せませ!!」


陽子は愛奈が、急に怒り出したので訳が訳が分からなくて首を傾げながら、愛奈を見ていたら、愛奈は影二を見ると急に影二に向かって肩にパンチを打つと、打たれた影二は余りの痛さに悲鳴をあげた。


「痛っ!?………一体どうしたんだよ?いきなり、無言で肩パンするのは止めろよ!!」


「ゴメン………ちょっとムカついたから、あたっちゃった!………」


「苛ついたからって俺にあたるなよ……!?……おい!どうした?!」


影二は打たれた肩を摩りながら愛奈を見ると愛奈の異変に気が付いた。


愛奈が目に涙を浮かべて、必死に泣くのを我慢しているではないか。


影二はこの状況にどうすれば良いやのか分からずうろたえていると、陽子が優しい笑みを浮かべて、愛奈の頭を撫ぜた。


「貴女、いい子よね………私達の為に、怒ってくれているのよね!」


頭を撫ぜたられながら、愛奈を必死に落ち着かさせようとした。


「陽子様と美紗子様は私の小さい頃からの憧れだったんです………尊敬する陽子様達をそんな風に思う奴らは絶対に許せません!………それに私は、一族にいた頃の陽子様や美紗子様に一度だけ、助けてもらった事があるんです………」


「えっ?」


陽子は愛奈の意外な言葉に驚いた。


「貴女………私達に会った事があるの?」


愛奈は少しグズついた声で返事した。


「はい………あります………私は昔は人見知りが激しくて、一族の子供達とは中々、上手く接する事が出来なくてよくイジメられていたのです。」


陽子も美紗子もとても愛奈が人見知りするようにはとても見えなかったが、あえて黙っていた。


「………そ、そうだったの?」


愛奈は陽子の言葉に頷くと、話しを続けた。


「ある日、何時もように皆に無視されて一人で落ち込んいた所に、陽子様と美紗子様が来てくれて声を掛けてくれたのです。」


陽子は愛奈の言葉に頭を傾けながら考えた。


「………そんな事したっけ美沙子?」


同じく、頭を傾けて悩んでいる美沙子がいた。


「う~ん………覚えていないわね~」


愛奈は二人が覚えていな事が余程ショックだったのか、先ほどとは別の意味で涙目になって必死に訴えてきた。


「酷いですよ!!私は昨日のように覚えてているのに、陽子様達は全然覚えていないんなんて………」


「落ち着いて、話しを聞けば多分、思い出せると思うから………だから、とりあえず落ち着いてね!」


愛奈の必死な態度に陽子と美沙子は少し申し訳ない気持ちになっていた。


(何か、思い出してあげないと可哀相よね………)


(う~ん………でも、やっぱり思い出せないわ~)


陽子も美沙子も必死に思い出したが、どうしても思い出せないので愛奈に自分達が何をしたのかを聞いてみた。


「それでね………私達は小さい頃の貴女に何をしたのかな?」


陽子に当時の事を聞かれた愛奈は待っていましたと、言わんばかりの顔をして陽子と美沙子を見た。


「よくぞ聞いてくれました!!!私は同じ世代の子達の輪に入れず無視された状態で、一人神社の片隅でお人形遊びをしていた時に陽子様と美沙子様ともう一人いらっしゃたのですが………後一人の方は一族でも見た事のない方だったので分かりませんが、とても綺麗な方だったと覚えております。」


「へえ~誰なんだろ?美沙子分かる?」


「愛奈ちゃん、何かその人の特徴を覚えてる~?」


愛奈は口に指を当てて思い出していると、何かを思い出したのか急に「あっ!」と声を上げた。


「確か、神社に飾ってあったお面ですかね?よくお祭りで使用される物だった思います。その方はそのお面がとても気に入ったみたいで、持って帰ろうとした所を陽子様と美沙子様に注意されて、とても悲しんでおりました。」


その話を聞いた陽子と美紗子は、顔を引き攣らせてお互いを見ていた。


(………間違いなく瑠璃子よね………)


(………珍しい物を欲しがるのは瑠璃子しかいわね〜)


陽子も美紗子もその時の事は覚えていないのに、何故か想像は出来てしまう 二人だった。


「それから、私達は愛奈に何か話しをしたの⁇」


「はい!私に何故、他の子供達とは遊ばないのか聞いて来ました。」


「それで?」


「私は自分の性格の事で、他の子供達から無視されている事を話すと陽子様達が私の手を握り私を無視していた子供達の所へ連れて行かれると、私を無視していた子供達に向かって「貴女達はこの子の事を無視していたみただけど、無視された相手が受けた心の痛みを少しは分かりなさい!」と言うと、能力で私の心と子供達の心をシンクロさせたんです。すると、私をイジメいた子供達がその場で皆泣き始めて私に謝って来て、それからは私は皆と打ち解けて一緒に遊ぶ事が出来たのです。だから、そのキッカケを作ってくれた陽子様達みたいになりたいと思って、今まで頑張って来たんです!!」


「そうだったの………」


陽子は苦笑いをして、美紗子をチラッと見てテレパシーを送った。


『ねぇ〜美紗子は思い出した?』


『ゴメンね〜………全く思い出せないわ〜』


『やっぱり………でも、こんなに慕ってくれているのに、「ごめんなさい………やっぱり、憶えていません!」何て言ったら申し訳なくて………』


『流石の陽子にも、罪悪感はあったのね!………意外だわ………』


『貴女ねぇ〜!なに失礼な事を言ってるのよ‼ムカつくわね‼』


『イヤねえ〜!冗談に決まってるでしょ〜!』


『貴女が言うと冗談に聞こえないのよ!』


『!?痛ッ!』


陽子は愛奈達に気付かれように、美紗子のお尻を抓った。


美紗子は苦笑いをして何とか耐えたが、顔を引き攣らせて陽子を見た。


『ち、ちょっと何するのよ〜‼痛いじゃない〜!』


『貴女がそんな事言うからよ!!』


『やっぱり恐いね〜陽子は〜………』


『それより、どう対応するのよ?』


『それなら、私に任せて〜!』






美紗子は陽子にそうテレパシーを送ると愛奈に話し出した。

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