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監視者

陽子と美沙子は苦笑いをしながら、影二と愛奈に聞いてみた。


「ひょっとして、一族はまだ私達を探していたの?」


「執念深いわ~!」


それを聞いた影二は、真剣な眼差しで陽子と由美を見ると答えた。


「何を言っておられるのですか!陽子様と美沙子様が失踪してから、私達の一族は全力でお二人を探したのですが、どういう訳か一向に手掛かりが見付からずに現在に至ったのですよ!」


影二は悔しそうな表情をして話した。


陽子と美沙子は影二を見て、自信満々に答えた。


「当たり前よ!一族に分からないように、情報操作をしていたんだもの!ねっ美沙子!」


「そうよ~!私に掛かれば、そんなの事は簡単な事よね~!」


影二と愛奈は美沙子の言葉に驚いた。


愛奈が驚きながらも、美沙子に聞いてみた。


「そ、そんな事が可能なんですか?………自慢ではありませんが、一族のネットワークは国内でもトップクラスなのに………とても、そんな風に見えない………」


愛奈の言葉に、美沙子は優しい笑みから冷たい笑みに変わると愛奈の方を見て言った。


「貴女………舐めてるわね〜!一度死んでみる〜?」


美沙子は冗談抜きで、その場で能力を解放し始めた。


その力に、影二も愛奈も冷汗を流してタジタジしていたので、陽子は美沙子の肩を軽く叩くと美沙子に話し掛けた。


「ちょっと、美沙子!近所迷惑でしょ!それに二人共、怯えているじゃないの!」


「…………そうね〜!」


美沙子はそう言うと、能力を押さえて笑顔になると、再び愛奈の顔を見て質問をしてみた。


「で、貴方達は私達を見付けたけど、一族には報告するの〜?」


美沙子の質問に、愛奈は真剣な表情に戻ると答えた。


「はい!ようやく陽子様と美沙子様を見付けたので、こればかりは報告致します。」


美沙子は愛奈の真剣な眼差しを見て、意志が堅いと分かると陽子を見て言った。


「どうする〜陽子?この子達は何が何でも、報告する気よ〜!」


陽子は溜息を吐いて言い返した。


「………そうみたいね………多分、痛い目にあっても報告するわね………はあ〜、やっぱり【黒羽】と関わった時点で観念するしか無かったわね………」


美沙子も苦笑いで頷いた。


陽子と美沙子の話しを聞いていた零が申し訳なさそうに謝った。


「本当に、申し訳御座いません……………」


陽子と美沙子は零の縮こまった姿勢を見て笑いながら言った。


「零クンは気にしなくてもいいのよ!」


「そうよ~!何時かはバレることだからね~」


「で、ですが………」


「「はい!この話は終わり!」」


零は二人に強制的に話しを終了させられたが、零は陽子達の言葉に少し気が楽になった。


そんな中、陽子と美沙子が影二達が一族へ報告をするのを邪魔をしないかと不安だったが、先程の会話を聞く限りでは、そんな事はなさそうなのなので、影二と愛奈はとりあえず安心した。


しかし、影二は先程、陽子が【黒羽】と言う言葉に反応した零が気になって、零に対して敵意のある視線で零に話し掛けた。


「先程から気になっていたが、お前から感じる[黒の刻印]の力は一体………ひょっとして、お前は【黒羽】の者か?」


影二の言葉に、零も影二を睨み返しながら答えた。


「そうだと言ったら、どうする気だ?」


「聞くまでも無い………殺す!」


「ほお〜出来るものなら、やってみろよ!」


「後悔するなよ!」


二人は構えると、いきなり零の前に寛子と由美が零を庇うように立って、影二に向かって叫んだ。


「「やめて!!!」」


二人が叫んぶと、零も影二も構えを解いた。


寛子と由美は二人が構えを解いたので、自分の手を胸に当てて、一安心した。


しかし、影二は陽子に何故【黒羽】の者と一緒にいるのか疑問に感じて質問してみた。


「陽子様!何故【黒羽】の者と一緒にいるのですか?」


影二の質問に、陽子は苛ついたので不機嫌に答えた。


「えっ?知り合いになったからよ!何か文句でもあるの?」


「い、いいえ!文句など滅相も御座いません………ただ、気になったものですから………」


「そうなの?………言っとくけど、私の知り合いに手を出したらただじゃ置かないからね!」


「わ、分かりました………肝に銘じときます!」


影二は陽子の威圧に、タジタジしながら返事をした。


でも先程から、影二は自分と零の間に割って入り込んだ寛子達の事がずっと気になっていたので、陽子の顔色を伺いながら申し訳なさそうに聞いてみた。


「あの~陽子様………お一つ質問しても宜しいでしょうか?………」


陽子は機嫌が悪そうを影二を睨むと面倒臭そうに返事をした。


「はぁ!?また質問なの!」


影二は陽子の返事にビクビクしながら、声を小さくして喋った。


「あの~大変聞きづらいのですが………あのお二人は一体誰なのですか?」


「……………私達の子供よ!」


「「えっ!?…………マジっすか!?」」


影二と愛奈は陽子の言葉に目を大きくして驚いて、陽子達と寛子達の顔を見比べて言った。


「た、確かに言われて見れば、よく似ていらっしゃる…………」


「………そうね!確かに陽子様と美沙子に似ているわ!」


陽子は影二と愛奈を見て、呆れながら言った。


「コラコラ!余り人の顔を見ない!……恥ずかしいでしょう!」


陽子にそう言われて、影二も愛奈も我に戻って、真剣な表情をし直して、陽子に質問した。


「陽子様………では、こちらの御子息達がいず!?」


「ストップ!それ以上は言わない事!」


影二は話しの途中で陽子に話しを中断させられた。


影二は何故、その先を言ってはダメなのか、陽子に聞いてみた。


「陽子様………何故、その先を言ってはいけないのです?」


影二の質問に陽子は顔を強張らせて答えた。


「まだ、この子達には何も言って無いのよ………その事については、私達の口で話したいのよ!」


陽子の言葉に影二は、納得した顔で頷いた。


しかし、愛奈が身を乗り出して急に二人の会話に入って来た。


「質問で~す!陽子様と美沙子様は、私達が報告を一族にしたら、絶対に近いうちに一族の実家の方へ戻らなければならないと思いますので、その時に寛子様と由美様に話してみては如何でしょうか?………もちろん、案内役は私達です!!」


愛奈の言葉に、陽子も美沙子も顔を引き攣らせながら話し出した。


「………何が何でも、一度は実家に帰らせたいみたいよ美沙子!」


「そうね〜どうも、逃げられないみたいね〜」


陽子と美沙子の会話を聞いて、愛奈は美沙子の「逃げられないみたいね〜」=「実家に帰る!」と思い込んでしまって、愛奈は子供のように嬉しそうな顔をして、影二に話し掛けた。


「影二、影二!!!陽子様と美沙子様が戻って来るわよ!」


影二も勘違いをして、一緒に笑顔なり、愛奈に答えた。


「ああ、確かに聞いたぞ!こんな嬉しい事はないぞ!」


勘違い野郎の影二と愛奈を見て、陽子と美沙子は頭を悩ませていた。


((帰るとは一言も言ってないのに………))


寛子と由美は一体、何の話しか分からないので茫然と立っていた。


寛子と由美は自分が関係しているのに自分達には何も説明をしてくれないので、二人は少し頭に来て陽子に聞いてみた。


「ちょっと、お母さん!!!私達にも関係する話しなんでしょ!なんで説明してくれないのよ!」


「そうですよ陽子さん!!」


「そ、それはね………」


陽子は寛子の質問に、どう答えていいのか頭を悩ませた。


それを聞いていた愛奈が、又もや話しに入って来た。


「陽子様………明後日は丁度、土曜日なので寛子様や由美様も学校はお休みですよね?でしたら、土曜日に実家の方に戻られたら、如何でしょうか?」


愛奈の言葉に、寛子も由美もピクリと反応した。






((お母さん達には悪いけど、どんな所か見てみたい………))

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