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闘いの行方(後編)

陽子は美沙子の自信満々な答えに驚いていた。


「一体、どんな能力を使ってるの?」


美沙子は陽子の質問に男の方を見て答えた。


「その人は、陽子の攻撃を喰らう直前に[黒の刻印]から[光守]の属性に能力を変えたのよね〜!お兄さん〜!」


「!?」


「そ、そんな事、出来るの?」


「出来るみたいよ〜!だって、現に陽子の[白の天御]の力を[黒の刻印]の体質のままで受けたら、下手したら死んじゃうもの〜!だから、属性が近い【光守】の力に変えた訳なのよ〜!」


陽子は、美沙子の答えに目を大きくして驚いたいた。


男も少し驚いた表情をしたが、次第に笑い出して美沙子に言った。


「………よく分かったな………」


美沙子は先程まで、笑みを浮かべていたが、急に冷たい視線で男を睨むと、低い声で言った。


「ええ、貴方から感じる能力は紛れも無く、私達【光守】から奪った能力よね〜!」


「………その通りだ!」


「貴方、一体どれ程の私達の一族を殺めたのかしらね〜!」


「………一々、殺した人間の数など覚えていない………」


「貴方………人の命を何だと思っている訳なの〜?」


「………なら、お前に問うが……肉を食べる時に一々、家畜に対して何か思うのか?」


「………貴方の考えは、もう人間の考えではないわね〜!」


「………フン!………他の生き物を殺し肉を食べている人間とやっている行為は変わらんと言っただけだ………」


「確かに、人間は他の生き物を殺して肉を食べているのは認めるけど、貴方は人間を食事と見なしているのよ!自分が何を言っているのか分かる〜?」


「………下らん………」


「貴方を此処で逃すと、後々が大変だから、貴方を捕獲させて貰うわね〜」


「………出来るのか………ウッ!?」


「ほら〜、他人の力を奪った代償が来たみたいね〜!」


美沙子がそう言うと、男は口から大量の血を吐いて、片膝を着いた。


「どういう事なの美沙子………?」


陽子は男が何故、血を吐いたのか疑問に思い聞いた。


「簡単な事よ!だって、本来は自分の天敵となる能力を、自分の身体に植え付けるだけでも、相当な負担になるのに、その男は天敵の能力を使用したんだか、拒絶反応が起こるのは、当たり前よね〜!」


「そう………早い話が自滅なのね………」


「そうね〜!どうしたの陽子?つまんなさそうな顔して〜?」


「……………」


陽子は血を吐いる男を見て少し虚しい気持ちがあった。


男は、大量の血を吐きながらも、必死に立ち上がろうとしていたが、陽子が男の目の前に立つと言った。


「本当は………私の手で倒したかったわね………」


「…………………」


男は口に手を当てて、陽子を睨み付けて答えた。


「…………今日の所は……引き上げるが………覚えていろよ………」


男の言葉に陽子は、鼻で笑って言った。


「貴方………この状態で逃げられと思っているの?」


「………当然だ………」


男は口を真っ赤に染めながら笑うと、自分の周りに黒い炎を作り出した。


陽子は咄嗟に男の周りから離れると、炎は見る見る男の身体を覆い隠すぐらいまで燃え上がり、やがて消えた。


陽子は炎の燃え後を見たが、男の姿が無かったので舌打ちして呟いた。


「………やられたわね……」


男の姿が消えてから直ぐに、空間結界テリトリーが硝子が割れる様に崩れていった。


寛子達はただ茫然と立ち尽くしていたら、男の声が聞こえて来た。


「………今日の所は一旦引くが……お前等は私の獲物だ………次に会う時には、精々気を付ける事だな………」


寛子達は周りを見渡したが、男の姿は見つけ出す事は出来なかったが、ワナワナと震えていた零が叫んだ。


「逃げないで出て来い!!刀真!!!」


……………………………………


しかし、零の声は虚しく暗闇の中を響いて行くだけだった。


誰もが沈黙している中で陽子が皆に喋りだした。


「………逃げられちゃったわね………」


その言葉に美沙子が返事をする。


「そうね~………あの男、刀真クンだっけ?……逃すべきではなかったわね~………」


零は唇を噛み締めてワナワナと震えていた。


そんな中、寛子と由美は重たい空気の中で何を言っていいのか分からなくて、ずっと黙っでいた。





陽子は溜息を吐いて、皆をもう一度見回すと話し出した。


「はい、今日の所はこの辺にしましょうかね!こんな所にいると近所の迷惑になるからね!さあ、早く家に入りましょうかね!」


陽子の言葉に寛子達は頷いて、家の玄関へ向かおうとした時の事だった。


陽子と美沙子が急に立ち止まった。


寛子は陽子の後ろを歩いていた為に、急に立ち止まった陽子の背中に顔をぶつけてしまった。


寛子は鼻を抑えながら、少し涙ぐんで母親に言った。


「ちょっと!お母さん!急に止まるから鼻をぶつけたじゃない!!!」


寛子の言葉を聞いた陽子は、真剣な表情で寛子を見て言った。


「…………ちょっとゴメンね寛子!」


「そ、そんなに真剣に謝れても………」


「寛子………少し静かにしてね!」


「急に何よ?」


寛子は急に静かにするよに言われて、ムッと来た。


陽子は急に家の庭の方を見ると、庭の方に叫んだ。


「何時まで隠れている気なの?不法侵入で訴えるわよ!」


「「!?」」


寛子と由美は陽子の言葉に、キョトンとしてしまった。


陽子と美沙子が庭の方を見ていると、庭の方から人影が二人現れてきたので寛子も由美も驚いて、近くにいた零にしがみついてしまった。


二人にしがみつかれた零は、どうしていいものかと少し頬を赤くしながら困っていた。


そんな中で、陽子と美沙子が人影に向かって叫んだ。


「それで上手く隠れたつまりだったの?」


「バレバレでしたよ~!」


二人の言葉に隠れていた二人が陽子達の目の前に現れると、そこには20代前半と思われる男女の姿が現れると寛子達に挨拶をした。


「初めまして!影二と言います!………そしてこっちが………」


「初めまして!愛奈と申します!………ですが、こんなに早く見つかるとは………流石ですね!」


二人の挨拶を聞いて、陽子と美沙子は二人を見るなり深い溜息を吐いて言った。


「…………貴方達、【天羽】と【光守】の関係者ね………」


「やっぱり、見つかっちゃたわね~!」


二人は陽子と美沙子の言葉に頷いて、返事をした。







「「その通りです………[黒の刻印]の者を追っていましたら、偶然にも見付けましたよ!………陽子様・美沙子様!」」

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