白い能力
男が陽子にそう言うと、陽子は意外な顔をして答えた。
「………貴方……若いのに、この能力の事を知ってるわね………」
陽子が男に聞いてみると、男は呟くように答えた。
「………俺はこの能力[黒の刻印]について調べていて、偶然知った………」
陽子は男の答えに、納得はしてない顔して思った。
(………この男が言っている事は嘘ね………この能力は一族でも、例外な私だけ持つ力………調べても、絶対に分からない事なのに………この男は[黒の刻印]のアンチ能力だと言った………何故、その事を知っているの?………あの事件の事を知っているの?………それに、喋り方と年齢が一致しないのも気になるわね………)
陽子は、一つ男に嘘を言ってみた。
「貴方が言っているアンチ能力は、私の一族【天羽】なら、誰でも持つ力よ!なのに何故、調べて知った何て言ったの?」
陽子の言葉に寛子は驚いていた。
(あの光の属性って私にも使えるの???)
真実を知っている美沙子は、陽子の言葉に苦笑いで聞いていた。
(陽子は、本当に意地悪よね………さて、零クンのお兄さんはどう答えかしら?)
男は陽子を見ながら、少し考え込んで答えた。
「………それの事は知らなかった………それに、アンチ能力の事は『ある者』に聞いた………」
男がそう答えると、陽子は(当たり障りのない言葉を選んだわね………)と思い、男に更に質問をしてみた。
「そうだったの!でも、貴方が言っている『ある者』が気になるけど、教えて貰えない?」
陽子の質問に、男はまた考え込んで答えた。
「………それは言えない………」
陽子は(そう答えると思ったわ!………やっぱり、力ずくで吐かせるしかないわね!)と思うと、再び戦闘体勢をとったのでそれを見た男も同じく戦闘体勢をとった。
屋根の上で二人は相手を見たまま時間が過ぎていったが、陽子がジリジリと間合いを詰める行くと、男は不気味な笑いを浮かべて「………これは、どうかな………」と言うと、いきなり左手を寛子達の方へ突き出すと衝撃波を放った。
「「「!?」」」
寛子達は男が放った衝撃波に、どうしていいのか分からなかったので、その場で固まった。
陽子は男がした事に「なっ!?」と思わず声を出して、光の盾を寛子達の前に咄嗟に作り出して、衝撃波を防いだ。
陽子は一安心していると、男は一気に間合いを詰めると、陽子の顔を見てニヤついて「さっきのお返しだ………」と言うと、至近距離で陽子に向かって、黒い塊を放った。
寛子と由美は男が放った黒い塊を見て驚愕した。
(あ、あれは……寛子と同じく能力………)
(………私と同じく能力………重力制御能力!)
寛子はそう思うと、陽子に向かって叫んだ。
「お母さん、逃げてぇぇぇ―――――――!!!」
寛子の叫びを聞いていた、陽子は男の不意打ちじみた攻撃に陽子は攻撃を避けられないが、我が子の叫びに返事した。
「大丈夫よ!………見てなさい!」
陽子はもう避けようない状態なのに、我が子には情けない所を見せたくないと思った陽子は迫り来る重力の塊に対して防御を体制をとると目の前でニヤリと笑う男に苛つきを覚えた。
「流石に貴方の行動やその能力(重力制御能力)には、驚いたわ!でも、絶対に貴方に倍返しするからね!」
陽子がそう言うと、男は勝ち誇った表情で答えた。
「………この状態で何が出来る………」
男の言葉に陽子は苦笑いな表情で、グッ!と身体に力を入れて身構えた。
「いいわよ!………来なさい!」
陽子はそう言うと、目の前に迫り来る重力の塊に思わず目を閉じた。
「……………」
重力の塊が時間が過ぎても自分に当たらない。
陽子は不思議に思って、目を開いて見ると目の前で信じられない光景が起こっていた。
「「!?」」
陽子は自分の目の前に空間の歪みを確認すると(な、何が起こっているの???)と思った。
次ぎの瞬間、重力の塊は空間の歪みの中に消えた。
男は一体、何が起こったのか分からなく混乱していた。
陽子は「まさか?」と思い、直ぐに寛子の方を見た。
すると、寛子は右手を突き出して能力を使用しているみたいだった。
男も空間の歪みを作り出したのが寛子だと分かると寛子を睨んだ。
寛子は男の視線に怯むどころか逆に男に対して睨み返して男に向かって叫んだ。
「絶対に………絶対に許さないから!」
寛子がそう言うと、男の後ろに空間の歪みを作りだし先程、空間の歪みに吸い込まれた筈の重力の塊が男に向かって出て来た。
「!?」
男は後ろを振り向いた瞬間に、自分が放った重力の塊が背中に直撃した。
「な、何!?……………」
男は一言漏らすと、重力の塊は男を包み込んで、男を押し潰していく。
屋根に穴が開き、男は家の中まで押し潰されていった。
一部始終を見ていた寛子以外の皆は、呆気とられて立ち尽くしていた。
しかし、陽子は我に戻ると寛子に叫んだ。
「どうして、貴女がその能力を持ってるのよ!」
陽子は寛子の方を見ると、寛子の前に跳んで移動した。
寛子は目の前に来た母親に何と言えばよいのか悩んでいた。
陽子はそんな寛子の姿を見て「はぁ〜」と深く溜息を吐いて、話し掛けた。
「寛子………どうして、こんな能力を持っているのよ!お母さんは寛子がこんな能力を持っているなんて、知らなかったわよ!」
「ごめんなさい………でも、お母さんに隠していた訳じゃないからね………それに、あの男がやった事が許せなかったし!だから、咄嗟に空間干渉能力を使ってお母さんを助けたの………」
「そうだったの………ごめんね………まさか、あんな攻撃をするとは思わなかったから、油断しちゃった!」
「でも、お母さんが無事だったから安心したよ。」
「ありがとうね………でもね、一対一の対決に手を出すのは、余り良いとは思わないわよ寛子………」
「………ごめんなさい………」
「まあ、いいわよ!でも、今度からは手を出しちゃダメよ!」
「…………はい」
「でも、寛子がそんな能力を持っていたなんて………驚いたわ!」
陽子は寛子が、空間干渉能力を持っていた事に、驚いていたが、陽子は寛子に「もう一度、さっきの空間干渉能力を見せてよ!」と言うと、寛子は渋々頷くと「………うん、いいよ!」と返事をして、自分の前に空間に人が通れる程の穴を作り出し、その中に入ると次の瞬間、陽子の後ろ穴が空いたと思うとそこから寛子が現れた。
「「「!?」」」
寛子の能力を見て、由美以外の三人は、茫然としていた。
(ふふふ………皆、驚いてる、驚いてる!)
寛子が空間干渉能力を使える事を知っている由美は楽しそうに、母親達の顔を見ていた。
しばらく三人が立ち尽くしていたが、その中で陽子が我に戻ると、寛子に話し掛けた。
「本当に驚いたわ………寛子………その能力…………何時から使えるようになったの………」
寛子は、少し困りながら陽子に答えた。
「私が久しぶりにこの姿になってからね、学園で由美と対戦の授業の時にいきなり、頭の中にこの能力の知識が流れ込んできたの…………」
「………そうなの……この能力(空間干渉能力)は使える者は存在しないと思っていたけど………まさか寛子が使えるとわね………それに、この能力を覚えた時の状況も、少し気になるわね………」
「うん……でも、本当にお母さんに、この能力(空間干渉能力)を隠していた訳じゃないからね!」
「分かっているわよ!ただ、言う機会がなかっただけよね!」
「うん………お母さんの言う通りだよ!」
「うふふ、何か寛子を責めているみたいで、ごめんね!………でも、寛子は、もう一つ言わないといけない能力があるんじゃないの?」
「えっ!………何で知っているの?」
「それに付いては内緒よ!」
「えーーー!また隠し事なの!」
寛子は陽子の隠し事にうんざりしていたが、陽子が言う様に目覚めたもう一つの能力を見せようと思ったので、寛子は四人の少し離れた場所に立って右手を目の前に突き出し構えると、目を静かに閉じた。
意識を集中させて、右手の先に重力の塊を作り出すと制御して、重力の塊を空中で固定させた。
それを見た陽子と美沙子は、意味ありげに頷くと語りだした。
「やっぱり、重力制御能力だったのね………」
「あの時と同じね〜………でも、あの能力にはまだ目覚めていないのね〜………」
「…………そうね………あれは一人で出来る能力じゃないわ………」
「そうだったわね〜!」
「それにしても、空間干渉能力は知らなかったわよ!」
「びっくりしたわよ〜………でも、やっぱり陽子の子供ね〜………規格外だわ〜!」
「ちょっと、うちの家族を化物扱いしない!」
「ゴメン、ゴメン〜!」
陽子と美沙子は笑いながら会話をしていたが、寛子達は陽子と美沙子が何を話しているのか全く分からなかった。
それに、寛子は陽子が先程使った光の属性がどうしても気になったので、陽子に聞いてみる事にした。
「………お母さん一つ聞いてもいいかな?」
美沙子と話していた陽子が、寛子の質問に返事をした。
「何が聞きたいの?」
「さっきの、お母さんが使っていた光の属性の能力についてなんだけど………」
「その事ね……………教えてあげたいけど、そうもいかなくなったわ………」
「えっ?」
「……………お目覚めみたいなのよ」
「「「!?」」」
陽子がそう言うと、先程自分の重力で押しつぶされたはずの男がいつの間にか屋根の上に立っていた。




