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嫌な胸騒ぎ

寛子達は美沙子が言った言葉に固まった。


陽子も美沙子が言った言葉に驚きを隠せなかった。


(何で美沙子がそんな事を知っているの?)


陽子は疑問に思いながら美沙子に聞いてみた。


「ね、ねえ……美沙子……何で貴女がその内容に付いて知っているのよ……」


美沙子は陽子の質問に「はあ〜」と息を吐いて、答えた。


「陽子………忘れたの〜?私の得意分野を〜!」


「あっ!」


陽子は美沙子が言っている意味が分かったみたいだけど、寛子達は意味が分からなくて「???」と首を傾げた。


(な、なに?美沙子の得意分野って?)


寛子達の理解出来ていない顔を見た陽子が話し出した。


「あのね、美沙子の得意分野は情報収集なのよ!昔から美沙子は、何処からか情報を仕入れて来るのよ。………私も情報元は知らないけどね!」


陽子の言葉を聞いて、寛子と零は納得したが、由美は自分の母親がそんな事をしているとは全く知らなかったので、美沙子に質問をした。


「ねえ、お母さん!」


「なに〜、由美?」


「私、お母さんがそんな事をしてるなんて知らなかったわよ!」


「だって〜、由美には言ってなかったもの〜!」


「私には危険な事をするなって!何時も言っているのに、自分の方こそ危険な事をしてるじゃない!」


「全然、危険なんてないわよ〜!いずれ、貴女にも教えたかったんだけど由美には無理みたいだから〜…………」


「何で私には無理なの?」


「私の情報元は、インターネットでも入手するのよ〜!でも、由美はPCは全くダメでしょ〜!それに直ぐに壊すし〜………」


「そ、そんな事は…………」


「はあ〜、由美は誰に似たのかしらね〜!」


「………………」


由美は美沙子の言っている事が、当たっているので何も言い返せなかった。


そんな由美を見て寛子は(確かに由美は破壊王だね…………)と思っていた。


陽子がいきなり、美沙子に先程の事を聞いた。


「さっき言っていた事は、本当なの?」


「ええ、本当よ〜!」


「毎回思うけど、一体何処で情報を仕入れてくるのよ!」


「それはね〜………ヒ・ミ・ツ〜!」


「…………ムカつくわね!」


「怒らない、怒らない〜!折角の綺麗な顔がだいなしよ〜!」


「そんな事はいいから、さっきの内容を詳しく話しなさいよね!」


「いいわよ〜!さっきの話しの続きなんだけど〜、零クンのお兄さんに接触を命令したのが【天羽】の分家で【天音】を名乗る家柄で、当主の名前は【天音 豊】が、【光守】の下の者を使って、手紙を渡したみたいなのよ〜!」


「美沙子さん!手紙の内容は分かりますか?」


「流石に、手紙の内容までは分からないけど〜、零クンのお兄さんを駒としようとした事は、確かなのよ〜!」


「その【天音 豊】とは一体何者なんですか?」


「ごめんなさい〜………その男に付いては詳しくは分からなかったのよ〜」


「そうですか………」


「ごめんなさいね〜………零クン……」


「いいえ、美沙子さんは何も謝る必要はありませんよ!むしろ、情報を教えて貰って感謝しています!」


「でも、これぐらいしか教えられなくてごめんなさいね〜!」


美沙子は零が悔しそうな顔をしているのを見て、もっと情報を教えたかったが本当に【天音 豊】に付いては情報を得る事は出来なかったのであるので、申し訳なさそうに謝った。


美沙子の話しが終わると、陽子が寛子達を見回して真剣な表情で話し出した。


「ここまでの話しは、理解は出来たかしら?」


「分かった!」


「はい!」


「分かりました!」


寛子達は、陽子の質問に頷いて返事をした。


陽子は寛子達の返事を確認すると、話しを続けだした。


「アナタ達はここまで、【天羽】・【光守】・【黒羽】に付いて聞いてしまったからには、アナタ達がうっかりさっき話した事を喋ってしまうと、命を狙われるわよ!」


「えっ!?」


「そ、そんな………」


「……………………」


寛子と由美は顔を青くして信じられない顔をして、お互いの顔を見た。


そして、零は真剣な顔をして唇を固く閉ざしたまま黙っていたのだった。


陽子は寛子と由美を見て(この子達には話さなかった方が良かったのかしら………でも、この子達にも遅かれ早かれ降り掛かってくる問題だから丁度、良かったわよね………)と思いながら、話しを続けた。


「アナタ達には覚悟して欲しかったのよ………この先、絶対に一族の血はアナタ達の人生に関わってくるから………だから、アナタ達には一族の中で起こっている事まで知って欲しかったのよ!」


「………うん、分かったよお母さん………」


「………私も覚悟を決めました!」


「……………………」


陽子は寛子と由美のが覚悟を決めた事を少し嬉しく思ったが、陽子は本当は寛子と由美には普通な人として人生を送って欲しいと思っていたのだが、自分達の子供として生まれてきた以上は避けて通る事の出来ない一族の血を深く恨んだのだった。


陽子がそんな事を思っている中で、美沙子は零が先程から一言も喋らない事が気になったので零に話し掛けてみた。


「さっきから一言も喋ってないけど〜、零クンどうしたの?〜」


「………いえ、陽子さんと美沙子さんのおかげで、兄に関する情報が聞けた上に黒幕らしき男の事も聞けたので、今度からの目標が出来て嬉しいのです!」


「零クン………気持ちは分かるけど〜、【天羽】と【光守】の一族の人間にむやみに関わってはダメよ〜!あの者達はただでさえも特殊な人間が沢山いるし〜、それに貴方は[黒の刻印]を持つ者の身だから【光守】の人間とは絶対に戦ってはダメよ〜!貴方の天敵な存在なんだからね〜!」


「俺がどんなに強くなっても勝てないのですか?」


「そうね〜………【光守】の能力は零クンの能力を殆ど無効化してしまうわ〜!」


「!?………無効化ですか?」


「そうよ〜!【光守】の能力を少しでも触れたならば、零クンの力の源の[黒の刻印]は封印されてしまうのよ〜!」


「では、どうやって戦えば宜しいのですか?」


「私は逃げる事をお勧めするわ〜!」


「そ、そんな…………」


零は美沙子の言葉に悔しい表情をして、唇を強く噛んだ。


美沙子はそんな零を見て、何も言えなかったのである。


しかし、零は一つの疑問に気が付いたので美沙子に質問をしてみた。


「美沙子さん………一つ聞きたいのですが宜しいですか?」


「いいわよ〜!何が聞きたいの〜?」


「兄は下っ端とはいえ、【光守】の者をどうやって殺したのですか?」


美沙子は(やはり、聞いてきたか〜………)と思いながら零の質問に答えた。


「………多分ね〜、本格的に堕ちた者になったので、下っ端の輩ではお兄さんの[黒の刻印]を封じる事は出来なかったのよ〜!」


「堕ちた者にそれほどの力があるとは…………」


「でもね勘違いしてはダメよ〜!堕ちた者は所詮、人外の力を持つけど人間ではなくなってしまう事を忘れないでね〜!」


「……………はい!」


美沙子の必死な言葉に零は静かに返事をした。



「!?」


いきなり、陽子が外の方を見たので寛子と由美も「なんだろう?」と思い、陽子の顔を見たが陽子はずっと外の方を見て少し低い声で寛子達に言った。





「…………どうやら、私の嫌な胸騒ぎが当たったみたいね…………」


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