真実3
陽子は静かに目を閉じて右手を自分の正面に真っ直ぐに突き出すと徐々に能力を解放していくと、右手の掌に四角いキューブみたいな物を作ると、閉じていた目を開いた瞬間、陽子からまばゆい光が立ち込めたて皆が余りの眩しさに目を閉じた。
寛子達が目を閉じて、3秒程たっただろうか、寛子達が目を開けると家が結界で被われていた。
寛子と由美と零は陽子の解放した能力に驚きを隠せなかった。
しかし、そんな中で寛子は陽子が結界で家を被う事に疑問を感じた。
(えっ、何で結界を張る必要があるの?)
陽子が息を吐いていると美沙子が陽子に話し掛けた。
「久しぶりに能力を使ったわね〜」
「そうね!」
「でも、全盛期と比べて少し衰えたんじゃない〜?」
「やっぱりバレた?」
「当たり前じゃない〜!何年一緒にいると思ってるの〜?」
「やっぱり、歳には勝てないわね……」
「そう言うと思ったわよ〜!」
「美沙子だって、そうじゃない!」
「それもそうね〜!」
陽子と美沙子が笑いながら会話をしていた。
一方、寛子達は陽子の能力解放を感じて、今のままでも十分にSSランク以上の持ち主だと予測が出来たが、先程の能力解放がで全盛期ぼど無いとはこの二人は、一体どれ程の化け物だと思った。
寛子は陽子に先程、思った事を聞いてみた。
「ねえ、お母さん!」
美沙子と話していた陽子は、寛子の質問に(どうしたの?)と思いながら返事をした。
「どうしたの寛子?」
「何で結界を作ったの?」
陽子は寛子の質問に、「ああ!」と納得して、答えた。
「その事ね!今から話す内容を私達以外に聞かれたらまずいから、念の為に結界を張ったのよ!………それに、嫌な胸騒ぎがするからね!」
「嫌な胸騒ぎ?」
「ただの予感よ!気にしない!」
「……………」
寛子は(母親の嫌な予感は、昔からよく当たるから嫌だな〜………)と思っていた。
そんな寛子とは別に由美は、陽子の先程の実力を垣間見て、凄い人だと思って、ソファーに正座して話しを聞く気満々だった。
そんな二人を見て美沙子は(素直な子達だわね〜)と思いながら笑っていた。
陽子は零と由美の体勢を見て苦笑いをして二人に言った。
「もお〜、由美ちゃん!そんな正座なんてしなくていいのよ!………これじゃ〜何か説教してるみたいじゃないの!」
「で、でも………」
「良いから、普通にしなさい!お願いだから………」
陽子のお願いで、由美は正座を崩して普通に座って話しを聞く事にした。
寛子は、そんなやり取りを見て「うふふ」と笑っていた。
陽子はそんな寛子を見て一言「貴女も、ちょっとは二人を見ならいなさい!」と言った。
そんな事を言われて、寛子は(わ、私も正座した方がいいのかな?)と思い、寛子はソファーの上に正座した。
それを行動を見た美沙子はツボに入ったのか、お腹を抱えて笑った。
陽子は寛子を見て、深く溜息を吐いて言った。
「………寛子は少し残念な子よね………」
「なっ!?」
「誰が由美ちゃんの真似をしなさいと言った!」
「だって、そういう意味かなって思ったんだもん!」
「…………お母さん、頭が痛くなってきたわ………」
寛子の考えに陽子は(この子は本当に大丈夫なのだろうか………ひょっとして、私の育て方が間違っていたかしら………)と頭を悩ませながら思った。
零は陽子と寛子のやり取りを見ながら、無言のまま(こ、これは、何も言わない方が良いのだろう………)と思って、美沙子の方を見てみると一人お腹を抱えて笑っている姿を見て(こちらも、触れない方がいいな………)と更に思って一人、お茶を飲んでいた。
陽子はこの状況の流れをいい加減、変えないと行けないと思って皆に「ちょっと、話しが進まないじゃないの!」と言うと、皆は黙って陽子の方を見た。
陽子は(これで、ようやく話しが進められるわね!………どうしてこうなったのかしら………)と思いながら、寛子達に話し出した。
「いい!これから話す事は、他言無用だからね!いいわね!」
「うん!」
「はい!」
寛子と由美は陽子のあまりの真剣さに素直に頷いた。
零も(これで、ようやく話しが始まるのか………長かった………)と思い真剣な表情で陽子を見ていた。
しかし、陽子は零が返事をしてないのに気付いたので零に鋭い視線を送りながら喋った。
「ねえ、零クン………貴方、返事をしてないわよね!」
「ギク!」
零は陽子の鋭い眼光にタジタジとしながら、返事をした。
「わ、分かりました!」
「うむ!分かれば宜しい!」
陽子は零の返事を聞くと、視線を寛子達に戻して話し出した。
「何回も言うようだけど、絶対に他の人に言ったらダメだからね!」
「「「はい!」」」
「それなら話すわね!………まず、零クンのお兄さんに接触して来た【光守】の人間は多分、かなり一族でも下っ端の者なのよ!多分、殺された者は上からの命令で何も知らないまま零クンのお兄さんに接触をして来たと思われるのよ!」
「何の為に接触して来たのでしょうか?」
「そこは私にも分からないわ………だた、最近ね一族の中で不穏な動きがあるのよ………」
「不穏な動きですか?」
「そうなの!」
「それは一体………」
「………最近ね、【天羽】と【光守】の一部の者達が、今の両方の長の事を余り良く思っていなくてね………亡き者にしようと行動を始めたのよ………」
「えっ?」
「そ、そんな………」
「!?………そんな事をしようとする者がいるのですか?」
寛子達は陽子の言葉に信じられない様な表情をしていた。
しかし陽子は寛子達の方を見て「信じられない気持ちは分かるけど、これは本当なのよ!」と、また話し出した。
「それでね、零クンのお兄さんに接触して来た【光守】の者も関係していると、私は思うのよ!………これは私の憶測なんだけど、長を殺そうとする為にお兄さんを利用しようとしたんじゃないかしら?」
「そ、そんな理由で、兄を…………」
零は陽子の話しを聞いて、頭に血を登らせて能力を開放していた。
寛子達は零の能力開放に干渉を受けて、それぞれ疼きを必死に我慢していたら、陽子が零に「落ち着きなさい!!」と叫ぶと、零は「ハッ!」我に戻ると寛子達に頭を下げて謝った。
寛子と由美は「だ、大丈夫ですよ………」と言ったが内心では(間近で干渉を受けると気分が悪くなる………)と思っていた。
陽子は零が落ち着いたのを確認すると、「いい!さっきの私の憶測だから、真実は分からないわよ!」と零に言った。
零は陽子の言葉に納得して「勝手に思い込んでしまって、本当にすいませんでした………」と謝ると陽子は優しい表情をして零に「本当はお兄さんの事が大切だったのね!」と言うと、零は少し照れて表情をした。
そんな中、ずっと無言のままのだった美沙子がいきなり口を開いて喋った。
「その件は付いては、陽子の憶測が当たっているわよ〜…………」
 




