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真実2

陽子は静かに語り出した。


「多分、それは[黒の刻印]を持つ者同士の共鳴よ!」

寛子と由美と零は、陽子が言った事に疑問を感じて、聞いてみた。


「でも陽子さん、私は何故【光守】の血を引いているのに干渉を受けなくて、零さんはどうして感じる事が出来たんですか?」


「それはね、堕ちた[黒の刻印]の使い手は能力の制御が出来るみたいで、【光守】の血が感知出来ないぐらいまで抑える事が出来るのよ!零クン達は[黒の刻印]を本当に覚醒させてないから、制御なんて出来ていないので由美ちゃんの能力と干渉を起こすのよ。でも、前にも言ったと思うけど、同族同士の共鳴って言えばいかな?特に[黒の刻印]を持つ者同士はお互いを感じる事が出来るの。だから、由美ちゃんが気付かなかったのは、仕方の無いことよ!」


「そうだったんですね………能力を抑えられたら【光守】の血でも、分からないですね!」


「そういう事よ!」


その話しを聞いていた寛子がある事に気付いて、陽子に話し掛けた。


「お母さん、由美の干渉の事は分かったけど、何で私は干渉を受けるの?それに、何時も背中が疼くのは何故なの?」


「寛子の場合は、少し特別なのよ!だって、私と言う一族でも例外から生まれて来たんだもの!それに、干渉を受けるのは同族同士の共鳴みたいなものだし、言ってなかったけど、寛子も強すぎる能力を持つ者だから[黒の刻印]の因子を少しは持っているのよ!それに背中が疼くのは翼を持つ者だからじゃないかしら?あくまでも、憶測だけど………」


「そうだったんだ………私にも[黒の刻印]の因子があるんだ………私って何者なんだろう………」


「そんなの気にする必要は無いわよ!寛子は私のたった一人の子供なんだから、自分の存在を疑問に思っちゃダメよ!」


「ありがとう、お母さん………」


「いいえ、どう致しまして!何てね!貴女が生まれて来て、私は本当に救われたわ………ありがとね!」


「そう言われと、何か………恥ずかしいけど……嬉しい………」


寛子は陽子の言葉に顔を少し赤くして、顔を下に向けた。


陽子は寛子の照れた姿を見て微笑んでいたら、美沙子がちょっとからかう様に話して来た。


「でも、不思議よね〜……狂犬と呼ばれていた陽子がこんな風に変わるなんてね〜子供が出来ると人って変わるものね~」


「何言ってるのよ!美沙子だって、昔はその辺の不良が気にいらないなら、狩っていたじゃない!人の事は言えないわよ!」


((………お母さん達の若い時って………何してたのよ~………))


寛子と由美は、自分の母親の過去を想像したくなかった。


零は陽子が言った「翼を持つ者」が引っ掛かったので、聞いてみた。


「先程、陽子さんが「翼を持つ者」と言いましたけど、一体どういう意味ですか?」


陽子は零の言葉に慌てて誤魔化した。


「いやね~、寛子が天使みたいに可愛いって意味よ!アハハハ………」


「………そうだったんですか」


陽子達は苦笑いをしていた。


しかし、零はまだ何か引っかる事があるみたいだったので、一人で真剣な表情で悩んでいた。


その零に気づいて、陽子が零に何を悩んでいるのかを聞いてみた。


「どうしたの零クン?まだ、気になる事があるの?」


「はい………兄の気配があの場所あったいうことは、ひょっとして兄は寛子さんと由美さんを狙っているのではと思ってしまったのです………」


「…………それは有り得るわね………ひょっとしたら、そのお兄さんは零クンの後を付けて【天羽】の血と【光守】の能力を狙っているのかもしれないわね………」


「それは一体どういう事ですか…………?」


「この事は余り言いたくなかったんだけど、堕ちた者は[黒の刻印]の力のせいで短命になってしまうの………そして堕ちた者は寿命伸ばそうとする為に、血が近い【天羽】の生き血を欲しがるの!………そして、もう一つが堕ちた者は天敵の【光守】の能力に抗体を付ける為に定期的に【光守】の能力を奪い我が力にしようとするのよ!」


「「「!?」」」


寛子達は陽子の言った事に驚き思わず絶句した。


そんな寛子達を見た陽子は申し訳なさそうに続きを話し出した。


「でも、堕ちた者に同情をする訳じゃないけど、零クンのお兄さんも好きで堕ちた者になったとは思えないのよね………」


「しかし、陽子さん!兄は確かに堕ちた者になる前は優しい兄でしたが………でも、人の命を奪った事は許されないことです!」


「そうね………確かに人の命を奪った事は許されないわね!でも、零クンが尊敬する程のお兄さんが急に変わってしまったのはおかしいのよね?」


「陽子さん!それは兄の身に何かが起こったという事なのですか?」


「そう考えるのが一番よね!」


「それは一体、兄に何が起こったのでしょうか?」


零は陽子の言葉に思わず身を乗り出し興奮気味で質問した。


「それは分からないわ!………それに私達は零クンのお兄さんと会った事が無いので、あくまでも私の予想だからね!」


「そうでした………すいません興奮して………」


「いいのよ………零クンの気持ちも分からない事もないから………」


零は陽子の言葉で落ち着きを取り戻して、ソファーに座ると会話を続けた。


「しかし、兄の身に何かが起こって堕ちた者になったにしろ兄が人を殺めた史実は変えようがありませんから………」


「ねえ、その事で気になっていたんだけど、零クンのお兄さんが殺めた人って誰なの?」


「そ、それは…………」


「それは【光守】の人間だった!」


「!?………ど、どうして分かったんですか…………」


「なんとなくね。多分、一族の監視の者が掟を守らずに、零クンのお兄さんに接触して何かしたのかも知れないなわね!」


「そ、それは本当ですか!?」


「………私と美沙子が知っている情報が確かならね」


「詳しく教えて貰えますか!」


零はどうしても真実が知りたかったので、陽子に食い入るよに質問した。


「分かったわ!私が聞いた情報を少しだけ話すけど、絶対に他の人には言ってはダメだがらね!これだけは守ってね!」


「はい!」


「寛子と由美ちゃんもいいわね!」


陽子は零だけではなく、寛子と由美にも確認を取った。


寛子と由美は自分達の周りに起こっている知らなかった真実を受け入れたくなかったが、二人は自分に流れる一族の血の事を考えると目を背けられないと覚悟を決めて返事をした。


「はい!」


「分かりました!」






二人が返事をするのを確認した陽子は、自宅に結界を作ると静かに語りだした。


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