真実1
寛子達は、陽子と美沙子が言っている【あの人達】に付いて疑問に思ったので、話しを聞いてみた。
「お母さん、聞いてもいい?」
「分かってるわ。【あの人達】に付いてでしょ!」
「うん、その【あの人達】って誰の事を言っているの?」
「私と美沙子の両親の事を言ってるの」
「ええ−−−?私と由美から言うなら、お祖父さんとお祖母さんの事なの!」
「そうよ!………零クンが貴方達を調べた結果、【天羽】と【光守】の者が零クンの行動を調べたと思うのよ………」
「そんな事まで監視してるの!………だから、お母さん達は【黒羽】の人と関わるなって、言っていたんだ………あっ!」
寛子は零がいる前で、うっかり口を滑らせた。
「!?………どういう事ですか?」
零は寛子の話しを聞いて、思わず聞いた。
寛子は陽子に「………ごめんなさい」と申し訳なさそうに謝ると、陽子は「はぁ〜」と溜息をついて、零の方を見て「もう、誤魔化せないわね!」と言うと、陽子は零に【黒羽】一族について話し出した。
「零クンは、自分の一族の事は何処まで知っているの?」
「俺はあまり、一族ついては詳しくは知りませんが………ただ、祖先が【天羽】の一族で同族を手に掛けてしまい、追放されたとしか聞いていません!」
「ふ〜ん、祖先の罪は知っているんだ!でもね、零クンの祖先はただ、それだけじゃないのよ!」
「い、一体、何をしたんですか?」
「零クン………聞く覚悟はあるの?これから話す事は、貴方にとって辛い話しかも知れないのよ!」
「………はい、覚悟は出来てます!」
陽子は、零の真剣な眼差しを見て話す事にした。
「じゃあ、話すわよ!よく聞いていてね!」
「はい!」
「貴方達の一族【黒羽】は【天羽】の一族だったんだけど、力を持ちすぎて堕ちてしまった揚句に同族殺しをしてしまって、一族から逃げきって【黒羽】を名乗るようになったのよ!」
「………………」
「それでね、堕ちた者とその血を引く者は[黒い刻印]を受け継いで行くのよ!そして[黒い刻印]を持つ者は【光守】の能力に干渉を受けるのよ!代々【光守】は[黒の刻印]を持つ者を狩る為に存在するのよ!」
「それなら、由美さんが俺の能力に干渉したのは自分が持つ[黒の刻印]のせいなのですか?」
「そうよ!貴方達【黒羽】は堕ちる可能性が一番高いのよ!」
「一つ聞いてもいいですか?」
「何が聞きたいの?」
「もしも、堕ちてしまったらどうなるのですか?」
「そうね、精神が正常じゃなくなるわね…………それに、殺意の衝動に悩まされるわ!」
「それはつまり、普通の人間ではなくなるのですか?」
「………そういう事になるわね!」
「でも、戻る方法はないのですか?」
「残念だけど、方法は無いわ………」
「…………………」
「それにね、零クンの一族には【天羽】と【光守】の監視が付いているのよ!」
「それは何となく気付いていました。何時も誰かに見られている感じがしていたので………」
「若いのに彼らの気配に気付くなんて、凄いわね!」
「視線を感じるようになったのは、1年ぐらい前です!」
「相当、特訓をしたみたいね!」
「はい……………どうしても、この手で倒さないといけない奴がいるので!」
「そうなの!でも、その相手は今の零クンよりも強いの?」
「…………強いです……俺が戦っても手も足も出ませんでした………」
「そうなんだ………ひょっとして、この相手も[黒の刻印]を持つ者じゃないの?」
「!?………何故分かったのですか?」
「何となくよ!それに[黒の刻印]を持つ零クンが手も足も出せなかった相手だから、特別な人間なんだろうと思ったのよ!」
「そうだったんですか………流石ですね陽子さん!」
「褒めても何も出ないわよ!」
「そんなに意味で言った訳じゃありませんよ。」
「うふふ、分かっているわよ!でも、零クンが決着を付けたいと言う、相手が気になるわね?」
「それは……………」
「無理に話さなくてもいいのよ!」
「いいえ、話させて下さい!それに今日、俺が直接話したいと言った事と関係があるのです!」
「分かったわ!なら、聞かせて貰うわよ!」
「では、皆さんも聞いて下さい!」
零がそう言うと、寛子達の顔を見回してひと呼吸をしてから話し出した。
「まず、俺の家族の事を話します。俺の家族は親父と母親と妹と20年前に亡くなった叔父がいました。それと……………」
零は顔を歪ませて言葉を詰まらせたので、陽子が「言えない事は無理して言わなくてもいいのよ!」と言うと零は何かを決意して陽子の「すいません………続きを話します!」と言うと話しを続けた。
「………実は俺と陽菜には兄がいたんです!兄は真面目で優しく俺の目標だったのですが…………その兄はある日、何かに取り付かれた様に人が変わってしまって、次第に自らの力に溺れて始め、遂には人を殺してしまったのです…………」
「「「「!?」」」」
「俺と親父は兄を必死に自首する様に説得しようとしたのですが、兄は俺達の話しを聞こうともしなかったのです!………それどころか、俺と親父を敵と認識して襲って来たのです!」
「それで、どうなったの零クン?」
「俺と親父は深い傷を負ってしまい、そのまま気を失ってしまい気が付いたら病院のベットの上でした………でも、兄は行方は分からなくなったのです…………」
「でもどうして、その事が寛子達に関係があるの?」
「その事なんですが、夕方に寛子さん達と一緒にいる時にハッキリとは分からなかったのですが、兄の能力を感じた気がしたのです!」
「「えっ?私達は全く何も感じなかったよ!」」
寛子と由美は驚きながら零に言った。
零はどうやって寛子達に説明すればいのか、悩みながら答えた。
「何て説明すればいいかな………引き合うって言えばいいのか?………あやふやな感じなんだが、兄をの存在を感じたんだよ!………多分」
「???」
「………済まない………何て説明して良いのか分からないんだ!」
「こちらこそ、無理に説明をして貰ってすいません………」
「いや、俺の方こそ、こんな説明しか出来ないで申し訳ない………」
「でも不思議だよね?私と寛子は能力の干渉を受けてないのに、零さんはお兄さんの気配が感じる事が出来たんだ?」
由美の言葉を聞いて、寛子と零は頭を悩ませた。
そんな寛子達を見ていた陽子が話し出した。
「それはきっと、共鳴よ………」




