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誰?

寛子と由美は急いで家に帰り着くと「多分、後で集まりがありそうだね!」と言うと、自分の家に入って行った。


寛子は帰ってから、直ぐに台所に走って行くと陽子が丁度、夕食の準備をしていたので寛子は息を切らせながら陽子に話し掛けた。


陽子は寛子の慌てぶりに、(また、何かにあったのね………この子は女性になってから、次々に厄介事に巻き込まれるわね!)と溜息を吐いて、寛子の話しを聞いた。


「お母さん、お母さん!ちょっと聞いてよ!」


「何なのよ?そんなに取り乱して、一体どうしたの?」


「今日ね、ストーカーに麗華さんが絡まれて私が退治して変な人がいたの!」


「ちょっと、寛子!落ち着きなさい!何を言っているのか、分からないわ!」


「ご、ごめんなさい!」


「落ち着いて話しなさい!」


「……はい、今日ねお母さんの電話の後に零さんと別れたの、それから麗華さんに前からストーカー行為を働いていたうちの学園の生徒会長がやって来て絡んできたの、でも私達が生徒会長を無視していたら急に怒りだして和美さんに怪我をさせたから、私はその人を許せなくて戦いを挑んで勝ったんだけど問題はその戦いの最中にいきなり、その生徒会長と戦っている時に私と由美が能力の干渉を感じたの!」


「………それは、【黒羽】と同じ感じの干渉だったの?」


「そう言われば、零さんとの感じた干渉とはちょっと違ったような感じがする………」


「そう……………」


「ねえ、お母さん!」


「何?」


「私達の一族【天羽】や由美の一族の【光守】との干渉って起こるの?」


「それは、起こると思うけど一体どうしたの?」


「少し気になってね!」


「何が気になるの?」


「私達の側にいたのが【天羽】や【光守】の関係の人間じゃないかな~って思ったの!」


「どうしてそう思ったの?」


「だって、零さんと陽菜ちゃんがあの場所にいる訳ないし、二人のお父さんも陽菜ちゃんが大変な時にそんな場所に来る余裕もないからと思ったの!」


「そうね!確かに今は【黒羽】の人達は、大変だと思うわよ。でもね【天羽】や【光守】の一族が寛子達の側にいたとは考えられないのよ!」


「えっ!どうして?」


「理由はね!由美ちゃんの干渉に関係があるのよ!」


「ゆ、由美の干渉に秘密があるの?」


「そうよ!由美ちゃんが感じた右腕の痺れなんだけど、普通は同族同士の干渉ではそんな事はまずありえないの!」


「どうしてなの?」


「だって、【光守】の血が反応する時は【天羽】の一族で堕ちた者で[黒の刻印]を持つ者なのよ!」


「そ、そうなんだ…………知らなかった!」


「そういう事なのよ!だから、由美ちゃんが干渉を受けた時点でそこにいた人間は[黒の刻印]を持つ者なよ!」


「だったら、あそこにいたのは【黒羽】の関係の人間なの?」


「そうね!………と言いたいけど、今の段階では何とも言えなわね!」


「そうだよね………【黒羽】の血を引く人は零さんと陽菜ちゃんと二人のお父さんの三人だけと言っていたから、その三人があの場に来るのは無理と思うしね…………」


「ねえ、寛子!一つ聞いてもいい?」


「何?お母さん!」


「寛子が聞いた【黒羽】の血を引く人は、本当に三人だけなの?」


「うん、三人だけだよ!確か叔父さんがいたけど、20年前に亡くなったって言っていたから!」


「えっ?20年前に、その叔父さんは亡くなったって言ったの?」


「うん、零さんが言っていたよ!………何か「叔父は自業自得だ!」って言っていたもん!」


「…………………そう」


「ねえ………お母さん、何か知っているの?」


「ううん、何も知らないわ!」


「本当に?」


「どうして?」


「だって、お母さんがその話しを聞いた後に急に考え込んだから、何か知っているのかな?って思ったの!」


「そんな事はないわよ。だたね……………」


「お、お母さん?」


「ゴメンね!それで、どこまで話したっけ?」


「もう~!ちゃんと聞いてよね!」


「ごめん!ごめん!ちゃんとするから!」


「ハア~!確か【黒羽】の血を引く人間は他にいないかって所までよ!」


「そうだったわね!………それで、他にはいないのね?」


「うん!多分、それだけだったと思うけど………」


「大体は分かったわ!なら家族会議をしましょうかね!」


「やっぱり、こうなるのね………[ボソ!]」


「何か言った、寛子?」


「ううん、何も言っていないよ!」


「ならいいけど!」


陽子は寛子との会話を終えると、携帯を取り出して美沙子に電話を掛けた。


プルル、プルル、プルル、ガチャ!


『もしもし、陽子なの?』


「そうだよ。美沙子!」


『大体の話しの内容は分かるけど………』


「由美ちゃんから聞いたんだ!」


『そっちも寛子ちゃんに聞いたみたいわね!』


「そうなのよ!この子達は次から次に問題に巻き込まれるのよね………」


『………分かるわ!その気持ち!』


「厄介事に巻き込まれ易い体質なのかな?」


『…………何とも言えないわね!』


「で、どうする?美沙子は夕食の準備はしているの?」


『いいえ、しようかな~って思っていたら、急に帰って来た娘の報告攻めが始まったからね!』


「…………美沙子の所も大変ね………」


『お互い様よ!』


「それなら、私の家に来る?丁度、夕飯の準備も終わりそうだったから!」


『いいの?迷惑じゃない?』


「迷惑じゃないわよ!この前はご馳走になったから、恩返しよ!」


『分かったわ!なら、娘と一緒に行くわ!』


「待ってるわ!」


そう言って、陽子は通話を切ると寛子に話し掛けた。


「さあ~てと、夕飯の準備に取り掛かるわよ!寛子も手伝ってね!」


「分かった!」


寛子は陽子と一緒に夕食の準備を始めてながら、思った。


(お母さんて、絶対に何か知っているはずだよね!じゃないと、さっきの態度はおかしいよ………今日こそ少しでも、秘密を聞き出したい!もう、秘密は嫌だよ!)


寛子は密かに決意していた。


陽子も寛子のそんな姿を見ながら、やれやれと言った表現して思った。


(寛子も、気になってるみたいね………そろそろ私が知っている事を、少し教えてあげるか………でも、寛子達には辛いかも知れないわね………)


陽子も寛子に話していいか迷っていたが、寛子の表現を見て話す事に決めた。


二人が夕食の準備が、終わると丁度良いタイミングで、チャイムがなったので、寛子は陽子に「私が出るね!」と伝えると、玄関まで向かった。


寛子が玄関に向かうと、美沙子と由美が玄関先にいたが、どうも様子がおかしかったので、寛子は由美に「どうしたの?早く上がってよ!」と言うと、由美が「………あのね、もう一人いるのよ………」と答えたので寛子は「???」と首を傾げた。


寛子が美沙子と由美の後ろにもう一人いるのが分かった。


寛子はその人を見て茫然とした。







そこにいたのは、零だったのだ。

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