勝手ですね?
いきなりの生徒会長の出現により、寛子達は茫然となっていた。
麗華が生徒会長に、感情を剥き出して話し掛けた。
「本当にしつこい方ですわ!貴女には、関係が御座いません!」
「いいや、関係あるね!」
「貴方に何の権利があって、言ってますの?」
「僕は貴女の事を心配して、言っているのです!」
「貴方に、心配される筋合いはありませんわ!」
「もしも、麗華クンに何かあったら、僕は生きていけない!」
「もういいですわ!貴方とでは話しになりません!」
麗華はそう言うと、会話と終わらせて席に座った。
寛子達は一体何が起こっているのか理解が分からなかったので、麗華に聞いてみた。
「ね、ねえ…麗華さん……これは一体、何が起こっているの?」
「ただ単に、私がストーカーにあってるだけですわ!」
「ス、ストーカー?……生徒会長が?」
「そうですわ!………私はこの機会に生徒会を辞めようと思っていますの!」
「「「や、辞めるの?」」」
麗華の言葉に寛子達は驚いた。
麗華の発言を聞いていた生徒会長が、真剣な顔をして麗華に話し掛けた。
「麗華クン!生徒会を辞めるとは聞き捨てならないな!」
「貴方がいる生徒会なんて絶対に嫌ですわ!」
「どうしてなんだ?」
「私は、貴方とのお付き合いは確かに断ったはずなのに、何時もしつこいからですわ!」
「僕は絶対に君を諦めないと伝えたはずだが!」
「しつこすぎるのです!」
「一体、僕の何処が嫌なんだ?」
「全てが嫌なのですわ!」
「君はまだ、僕の魅力に気付いていないだけだよ!」
「…………ああ、何故か胃がムカムカしてきましたわ!」
(((…………多分、ストレスだろうな………)))
寛子達は麗華と生徒会長の会話を聞いていて、完全に生徒会長が勘違い野郎だと思ってた。
これ以上、麗華にストレスを与えないようにしないといけない思って、寛子が生徒会長に挨拶をした。
「あの~…まだ、お名前を聞いていないんですが?」
「ん?これは失礼したね。自己紹介をするよ、僕の名前は【白鳥 透】だよ。学年は3年で天童学園で生徒会長をしている!」
「白鳥先輩ですか、私は【海外 寛子】と言います!それから、隣に座っているのが【後藤 由美】で麗華さんの隣にいるのが【斎藤 和美】さんです。私達は麗華さんと同じ2年です!」
「そうなんだ。で、君達は麗華クンとはどんな関係なんだ?」
「えっ?私達は麗華さんの友達ですが!」
「そんな筈はないだろ!麗華クンが君たちみたいな庶民と友達な訳が無い!」
「「「「!?…………ハアー?」」」」
寛子達は透の発言にカチンと来た。
由美が真っ先に言い返そうとしたら、麗華が由美よりも先に透に文句を言った。
「ちょっと貴方!何を言っているのか分かってるの!」
「ああ、分かっているよ!この子達は君の友達には相応しくない!」
「………貴方、私の友達を侮辱したわね!」
麗華は顔を真っ赤にすると、その場で能力を開放し始めた。
麗華の周りに風の渦が出来始めたので、慌てて寛子達が落ち着かせようと麗華に話し掛けた。
「麗華さん!!!ちょっとストップ!落ち着いて!」
「そうだよ!こんな所で能力を使ったらお店に迷惑がかかるよ!」
「落ち着いて麗華ちゃん!」
「で、でもこの人は寛子さん達を侮辱したのですわ!」
「気持ちは嬉しいよ!でも、此処で能力を使うのはまずいよ!」
「………そうですわね。私とした事がムキになり過ぎましたわ!」
寛子達の説得で麗華は少しは冷静になったが、友達を侮辱されたのが許せなくてイライラしていた。
一方、透の連れの男はビクビクしていたが、透は「何を怒っているんだい?」と全く現状が理解出来ていなかった。
寛子はこれ以上、麗華を興奮させない為にも麗華から透を離そうと思って「もう、お店から出よう!」と言ったら、麗華も「……はい!」と頷くと寛子達はお店から出て行こうとしたら、透が話し掛けたが寛子達は透を無視して店を出て行った。
店を出た寛子達を追って透と男もついて来たが寛子達は一切、透の事を無視して話しながら歩いていた。
「まだ、付いて来てるよ!………あの男!」
「しつこいよね!もはや、ストーカーだよね………」
「ねえ、麗華さん……あの先輩って何者なの?」
「私が二年になって生徒会に入ってから、直ぐに私に告白をしてきたのです!」
「「「ほ、本当に!?」」」
「はい、ですが私は気になる方がいらっしゃるので、お断りさせて貰いましたの!」
「でも、何で麗華に振られたのに懲りもせずに来てるの?」
「それが………断った次の日に「僕は認めない!君は僕の魅力に気づいてないだけだ!」と言ってきまして、今ではストーカー状態になっていますの………」
「ハアー……完璧の勘違い野郎だね!」
「そうですの!でも、それだけなら我慢は出来たのですが………先程のは絶対に許しませんわ!」
麗華は先程の透の言った言葉を思い出すと、能力が少しずつ開放してしまったので慌てて寛子達が麗華を落ち着かせる為、話題を変えた。
「でも、麗華さん……あの先輩って、私達を庶民扱いしたけど、ひょっとしてお金持ちなの?」
「はい、確かにあの人のお家は少しは名の知れた財閥だと聞きましたが、あんな人がいる財閥なんて、たかが知れてますわ!」
「そうね!麗華が言う通り程度が分かるわよね!」
「確かに由美に一票だね!」
「由美も和美さんも麗華さんも、先輩の両親に失礼だよ!あの先輩はダメだけど、両親はまともかもしれないよ?」
「「「貴女が一番失礼だ!!!」」」
「えっ?私、何か失礼な事を言った?」
「「「ダメだな……この子!!」」」
寛子は由美達に突っ込みを入れられたが、訳が分かっていなかった。
そんな会話をしながら寛子達が、歩いているとずっと無視されていた透が怒りだして、走って寛子達の前まで来ると寛子達に叫んだ。
「僕を無視するな!庶民の分際で!」
麗華が透の言葉に反応しようとしたが、由美が麗華の方に手を置いた。
麗華は(何?)と思って、由美の顔を見たら由美は横に顔を振っていたので(ああ、無視しろって事なのね!)と理解すると寛子達と一緒に、透を無視して横を通り過ぎた。
透は頭に血が上って、自分の横を通り過ぎた和美の肩を掴むと力任せに引っ張った。
引っ張られた和美は、「キャッ!?」と声を出しながら、道端に倒れた。
「「「か、和美[さん]!?」」」
寛子達は倒れた和美の傍に駆け寄ってしゃがんだ
「「「大丈夫!?」」」
和美の膝を見てみると、コケた時に地面と接触したのか、膝に傷をして、血が流れていた。
寛子達は怒った表情をして、透を睨みつけた。
透は怪我をさせた和美の事など悪いとも思わない態度をとり、上からの目線で寛子達に言った。
「ふん!僕を無視するから怪我をするんだよ!自業自得なんだよ!分かったか!」
透のその言葉に、由美と麗華が怒り言い返そうになったが、急に自分達の周りの空気が張り詰めたのが分かった。
由美と麗華は周りの空気が段々と温度が下がっていくのが分かったので、二人は寛子の方を見て驚愕した。
寛子は無言のまま、その場に立つと冷たい視線で透を見て透に言った。
「私の大事な友達に怪我をさせて、それかよ!………覚悟は出来てるよね……この下衆が!!」




