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緊急事態

寛子達は零の奢りでデザートを頼んで、楽しそうに会話をしていたが、そんな中で零が真剣な表情をして、寛子に話し掛けてきた。


「楽しんでいる所を済まないが、先程の陽菜に付いて何だが!」


「陽菜ちゃんの能力覚醒に付いてですよね?」


「ああ、陽菜が覚醒するきっかけが多分、君達に関係するのではと思っているんだ!」


「わ、私達ですか?」


寛子と由美は零の言葉に「ビクッ!」としてしまった。


零は寛子と由美の態度を見て(やはり、思い当たる事があるんだな……)と思いながら、話しを続けた。


「ああ、俺が君達と出会った時に、不思議な感じを受けたんだ。」


「……そうなんですか?」


「そうだ!何故か君達が傍に要るだけで、能力の干渉みたいなものを感じた。」


寛子と由美は(はぁ〜、やっぱりか!……これは隠せないよね……)と思いながら、会話を聞いていた。


「君達も、俺の能力に何か感じたんだろう?」


「………はい!感じました。」


「……やっぱりか!」


零はそう言うと黙り込んでしまった。


寛子と由美は(私達の一族の秘密だけは、守らないといけない!)と思った。


和美と麗華は話しの内容を理解出来ていなかったので、寛子と由美に聞いてみた。


「寛子さん達は一体何を話しているのですか?」


麗華の質問に寛子と由美は(ヤバイ!どうやって、誤魔化そう……)と思いながら、考えていると零が麗華と和美に説明を始めた。


「二人には、内容を詳しく話さなくて済まなかったと思う。今から話す事を聞いて欲しい!」


「分かりましたわ!」


「はい!」


麗華と和美は零に返事をすると、零の方を見た。


寛子と由美は(一体、何処まで話すの?)と思いながら、零の顔を見ていたら、零は寛子と由美を見て少し頷いて、再び麗華達を見ると話し出した。


「えっと、和美さんと麗華さんだったかな?」


「「そうです!」」


「君達は能力の干渉って言葉を知っているかい?」


「「知りません!」」


「この世界の人間が超能力を持ちはじめてからなんだが、稀に能力が波長の近い者同士が近くに寄ると、能力が引き合ったり何だかの干渉を起こすんだ!」


「「!?………そんなの聞いた事がありません!」」


「多分、知らないとは思っていたよ。だが、稀にそんな現象が起こるんだよ!」


麗華と和美は零の言葉を聞いて、黙り込んだ。


少しの間、沈黙が続いたが麗華が突然、零に話し掛けた。


「では、零さんと妹さんにたまたま干渉したのが寛子さんと由美さんだったのですか?」


「ああ、そうだ!」


「でも、いきなり干渉をする者が二人も現れるなんて、偶然にしては出来過ぎではないのですか?」


「……そうだな……俺も驚いている!」


「零さんと寛子さん達には、何か在るのではないのですか?」


((ちょっと!何でこんな時に貴女は勘が鋭いのよ!!))


寛子と由美は麗華の質問に、冷汗をかいていた。


零が麗華の質問に答えた。


「それに関しては、俺にも全く分からない!だが、確かに俺も陽菜も二人に干渉を受けたのは確かだ!」


「一体、何が起こっていますの?」


「だから、俺は君達に会いに来たんだ!」


零がそう言うと再び5人に沈黙が訪れた。


寛子はこのままだとダメだと思い、適当に考え付いた事を話し出した。


「能力の干渉については、何が原因か分からないけど、私と由美は親戚だから、私と由美がたまたま能力が血に寄って近かったのかもしれないよ?」


寛子の言葉に由美は驚き、麗華達も「えっ?」みたいな表情をした。


(ひ、寛子!親戚って何よ!その言い訳には無理があるわよ!)


由美が寛子を見ながら思っていたら、零が急に納得した感じに頷くと、寛子を見て話し出した。


「君達は親戚なのか?」


「は、はい……」


「驚いた。でも、だったら血の関係が成立する!」


零の言った言葉に寛子と由美はビックリしたが、慌てて頷いた。


そんな寛子達を見ながら零は会話を続けた。


「血の関係は一般にも確認されていて、たまに血が近い者同士が能力の共鳴を起こす場合があるんだ。寛子さんはこの事を知っていたんだね!」


寛子は慌てながらも、零の質問に答えた。


「はい、私の母親から聞いた事があったので、

そうではないのかな?と思いました。」


「君のお母さんは物知りなんだね!」


「そ、尊敬出来る親です!」


(お母さん、ごめんなさい!嘘つきました……)


「だったら、君達の二人の能力が近いのは分かった。そして、俺達に干渉したのは分かったが、問題は特殊な俺と陽菜の能力に何故、干渉して来たかが分からない……」


「そ、それは………」


寛子は言葉を詰まらせた。


まさか、【黒羽】の血に【天羽】と【光守】の血が反応したとは言えなかったので、寛子はとぼける事にした。


「それに関しては、分かりません!」


「……そうか……やっぱり、原因は分からないか……」


「力になれなくて、すいません………」


「いや、いいんだ!俺が勝手に君達なら、何か知っているのではと思っただけだから!」


「………でも、陽菜ちゃんの容態はどうなんですか?」


「………予想以上に悪い……医者に、もって一週間ぐらいだと言われた……」


「「「「!?………一週間!?」」」」


寛子達は零の言葉に驚き固まった。


しばらくしてから、寛子がワナワナと震えると、いきなり興奮して、零に叫んだ。


「何か方法は、無いのですか?」


「………無いんだ……俺も必死に捜したんだが、方法が見付からないんだ!」


「クッ!………こうしている間にも陽菜ちゃんは、苦しんでいるんですよね!」


「ああ、出来れば俺が陽菜と代わってやりたい!だが、それは出来ないからせめて、助ける方法を必死に捜しているんだ!………それで、君達なら何か知っていると思ったんだが…………」


「零さんはそれ程、陽菜ちゃんの事を思っていたんですね………」


「当たり前だ!俺のたった一人の妹だ!たから、どうにかしてやりたいんだ!」


「………………」


寛子は(いいよね!)と思い、由美の顔を見た。


由美は静かに頷いた。


寛子は由美の頷きに、決心をした。


「零さん……陽菜ちゃんは助かるかもしれません!」


「ほ、本当か?」


「でも、それにはある人の許しが必要です………」


「そのある人とは誰なんだ?」


「それは……とりあえず、今から電話してみます………」


「頼む!どんな事もするから、陽菜を助けてくれ!」

「分かりました!」






陽菜は、そう言うと陽子に電話を掛けた。

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