黒き能力
寛子達が麗華の言葉を聞いてから、間もなくして休憩の終わりを告げる鐘がなった。
昼休みを終えて、麗華は「放課後に又、来ますわ!」と寛子達に言うと、自分の教室へと戻っていた。
寛子は午後からの授業を受けながら考え事をしていた。
(あの零さんが、人を殺めようとしたなんて考えられない………でも、[黒の刻印]を零さんも受け継いでいるから、ひょっとしたら[黒の刻印]の影響で?………なんてね!お母さんが言っていたよね、[黒の刻印]を覚醒させたら、精神が異常になるってね!私が見た限りでは零さんは普通だよね!)
寛子がそんな事を考えていたら、授業の方も終わっていた。
放課後になって、寛子と由美と和美は帰る支度をして、寛子の席に集まって麗華が来るのを待っていたら、勢いよく教室の扉が開くと「お待たせ致しましたわ!」と言いながら、麗華が入って来た。
麗華が寛子達と合流すると、寛子達は零が待つ正門へと向かっていた。
寛子達が正門に行くと朝と同じように生徒達の人集が出来ていたが寛子達は気にせず零が立っている側まで歩いていくと、零に「お待たせしました!」と寛子が言うと、零も「いや、構わない!」と返事を返してきたので、寛子達は零と周りの状況を見てとても此処では会話が出来ないと判断して、近くのファミレスに行こうと決めて移動し始めた。
同時刻、学園の三階のある教室で一人の男が窓から寛子達の事を見ていた。
(ん?………………奴は誰だ?)
白髪の男と寛子達が一緒に帰るのを男は見ると、ワナワナとさせて男の後ろ姿を見ていた。
(…………馴れ馴れしい奴が!!!!許さん!許さんぞぉぉぉ!!!!白髪!!!!)
男が「おい!」と言うと教室の扉が開いて一人の生徒が入って来て「どうしましたか?」と言ってきたので男は「今、正門にいた白髪の男の事を調べるぞ!」と言うと、男と生徒は教室から出ていった。
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一方、寛子達は零と一緒に近くのファミレスに入って行った。
五人は店員に連れられて、少し大きいテーブルに連れて行かれると各自ドリンクだけを頼んだで話しを始めた。
「零さん話ってなんですか?」
寛子が零に聞くと、零は寛子の顔を真剣な眼差しで見つめると語りだした。
「…………陽菜が、倒れたんだ!」
「「「!?…………陽菜ちゃんがですか?」」」
寛子達は零の言葉に思わず席から立ってしまいそうな驚きだったのだ。
麗華だけは陽菜と面識が無いので、一体誰の事を言っているのか分からなく首を傾げていた。
(私は、その陽菜さんとは面識もないので、寛子さん達より冷静に物事を判断が出来ますわ!………私はまだ、この人を信用出来ませんの!)
寛子はそんな事を思っている麗華の事は気づかないで、零が言った言葉に動揺していた。
「零さん………陽菜ちゃんはいつ倒れたのですか?」
「君達と別れた夜に、急に体調を崩して寝込んでしまった。」
「原因は分かっているのですか?」
「いや………まだハッキリとは分からない………」
「………どうしてこんな事に……」
「多分だが、能力が覚醒しようとしている!」
「えっ!?能力がですか?」
「ああ、何かの切っ掛けで陽菜の能力を刺激してしまったんだろう。」
「でも、何で今頃なんですか?」
「俺にも分からない!………出来れば俺は陽菜には能力を持って欲しくなかった!」
「零さんは前もそれを言ってましたよね?一体、何故なんですか?」
「この【黒羽】の力はどうしても、どの能力を使用しても黒色で周りから見れば、気持ち悪いとしか思われないのだよ!」
「そうなんですか?」
「ああ!俺は小さい頃からこの能力のお蔭で随分とイジメにあったもんだよ!高校の時はよく先輩から絡まれたもんだよ!」
寛子は零の言葉に(ひょっとして?)と思い零に聞いてみた。
「零さん………ちょっと聞きたいの事があるのですが………」
「ん?聞きたい事?………いいよ!」
「零さんは高校時代によく喧嘩をされましたか?」
「ああ、よくしたよ!………俺の黒歴史だな!」
「何時も、喧嘩は零さんから仕掛けたのですか?」
「そんな事は一度もない!」
「やっぱり、そうなんだ!」
寛子は由美達と目を合わせると零には聞こえないように、こそこそと話し出した。
『ねえ、麗華さん…………こんなオチだったよ………』
『わ、私も驚いておりますわ………』
『こんな事だと思ったよ………』
『良かったじゃん!ちゃんとオチがあって!』
『で、でも、零さんが危うく人を殺めよとした事はまだ、謎のままですわ!』
『確かにそうだね!ねえ、寛子!零さんに聞いてみてよ!』
『えーーー!私が聞くの?』
『『『寛子ならどんな質問も出来るはずよ!!!』』』
『な、何でよ?』
『『『……………鈍感(ボソっ!)だから!』』』
由美達は寛子に聞こえないぐらいの呟きで話した。
寛子は『しょうがないな~!』とぼやきながら、零に質問してみた。
「零さんもう一つ質問していいですか?」
「ああ、構わないが!」
「あ、あの~零さんて高校生の時に喧嘩で、人を殺し掛けた事ありますか?」
「!?………………どうしてそれを?」
「そ、それは、うちの学園では伝説になっている見たいで、先輩から聞いたのです!」
「で、伝説になっているのか?」
「はい!それは、有名な話ですよ!でも、その話しは本当なんですか?」
「………半分は本当で後は嘘だ!」
「えっ?どういう意味なんですか?」
「事の始まりは先輩に呼び出しを受けて、屋上に行った事が不味かったんだ!」
「どうしてですか?」
「俺は先輩達と喧嘩を始めたのはいいのだが、先輩達を倒して行って最後の一人になった時の事だ!………最後に残った先輩は俺の異常さに錯乱状態になっていて、俺が気づかずに近づくと先輩は「勝負には負けたが、お前は俺を倒せなかった!」など、意味不明な事を言って屋上のフェンスを乗り越えて飛び降りたんだ!」
「「「「馬鹿だーーーー!!!!!」」」」
「そう思うだろ!俺は直ぐに飛び降りた先輩を助ける為に、空中で、先輩の体を捕まえるとグランドに雪の山を咄嗟に作るとそこに俺達は落ちたんだ!」
「「「「…………………………」」」」
「それを、見ていた他の生徒達が俺が先輩を道連れにしようと見えたのさ!………ある意味その後からが大変だったがな!」
「あっ!その噂、知っている!」
和美がいきなり大声をだして、話し出した。
「それって、黒雪王子でしょ!」
「!?…………何故それを?」
「だって、腐女子の中では有名ですよ!」
「な、なんだと!?」
「そうなんですね!あの黒雪王子が零さんだったんだ!」
「……………………………」
「「「ねえ、和美[さん・ちゃん]一体、どういう事なの?」」」
寛子達は零と和美が何を話しているのかが、分からなかった。
「あのね、一部の腐女子に人気な同人誌があるのよ!」
「「「同人誌?」」」
「そう!代々、学園に語り継がれている物なのよ!その同人誌の名前が黒雪王子なの!」
「「「ひょっとして、その同人誌の主人公が零さ」」」
「ストップ!!!」
「「「「!?」」」」
「それ以上は言ってはダメだ!!……………頼む!好きな物を、頼んで良いからその話しはしないでくれ!」
「「「「本当ですか!?ゴチになります!!!!」」」」
寛子達は零の奢りだと聞いて嬉しそうにメニューを見ていた。
零は寛子達のそんな姿を見て、大きく溜息を吐いて「何故、こうなった?」と、ぼやいていた。
そんな寛子達を、遠く離れた席で怪しい男が二人見ていた。




