母親は何者?
寛子と由美は陽子の発言にかなりビックリしていた。
寛子は陽子に麗華の母親との関係を聞いてみた。
「お母さん、ちょっと聞いていいかな?」
「寛子が聞きたい事は、麗華ちゃんのお母さんと私がどうして知り合いなのかでしょ!」
「う、うん!その事だよ!」
「その事なら麗華ちゃんのお母さんの瑠璃子はね、小さい頃からの幼馴染みたいな感じかな?」
「えっ!幼馴染みたいな感じって?」
「そうね!今は麗華ちゃんのお爺ちゃんになるのかな!麗華ちゃんのお爺ちゃんと私のお父さんだから、寛子のお爺ちゃんかな?まぁ、親同士が知り合いでね!よく瑠璃子は親に連れられて、私の家に良く遊びに来ていたのよ!」
「そ、そうなの?」
「だからね、瑠璃子とは小さい頃から、よく遊んだのよ!それからね、由美ちゃん!」
「な、何でしょうか?」
「貴女のお母さんも、一緒に遊んでいたから、瑠璃子とは知り合いなのよ!」
「!?……そうなんですか!」
「そうよ!………懐かしいわね!」
寛子と由美は陽子の話しに騒然としていたが、寛子は「ハッ!」として更なる疑問が浮かんだので陽子に聞いてみた。
「ねえ!お母さんの実家って一体、どういう所なの?………【黒柳】の人間と知り合いなんて………」
「それは………寛子は聞かない方がいいわ!」
「何で?」
「だって、今は寛子も私も【海外】の人間でしょ!だから、一族の事は関係ないのよ!」
「そ、それはそうだけど………気になるよ~!」
「ダーメ!気になっても、前に言ったでしょ!知らない方がいいって!」
「う、うん……………だけど………」
「ごめんね!気になると思うけど、由美ちゃんや寛子にとって迷惑にしかならないのよ!だから、分かって!」
「………分かった!お母さんがそこまで言うのだから、きっと理由があるんだよね!」
「そう言う事よ!」
「でも、びっくりしたわ!瑠璃子に、こんな大きな子供がいたなんて!」
陽子は麗華の顔を見て、少し驚いていた。
麗華は、自分の母親の昔の事を聞きたかったので、陽子に母親の事を聞いてみた。
「陽子様に聞きたいのですが、宜しいでしょうか?」
「陽子様は止めてね!で、何が聞きたいの?」
「すいません!癖の為に、どうしても言い換える事が出来ません!………聞きたいのは私のお母様についてなのですが………」
「しょうがないわね!………それで、瑠璃子の事なのね?」
「はい!私はお母様の小さい頃のお話を聞かされた事のないものですから……是非、陽子様から聞いてみたいです!」
「ウフフ!瑠璃子の事だから、恥ずかしくて言えないのよね!」
「恥ずかしいとは?」
「一つ聞くけど、麗華ちゃんは珍しいものは好き?」
「……………はい、大好きです!」
「やっぱり、麗華ちゃんは瑠璃子に似ているわね!」
「似ているとは、一体どういう事ですか?」
「そのまんまの意味よ!」
「?????」
「まっ!これだけでは理解出来ないわよね!そうね…………」
陽子は麗華の座っている周りを見て、ある物を見つけて麗華の顔を見て話し掛けた。
「いい物があったわ!」
「な、何でしょうか?」
「麗華ちゃんの横に置いてある物よ!」
「???………これですか?」
「そう!その『銅仮面』よ!麗華ちゃんはその『銅仮面』が好きなの?」
「はい!大好きです!これの『銅仮面』に私は一目見た時から、心を奪われてしまいましたわ!」
「その『銅仮面』は寛子のパパがね、出張先の村に向かう途中で迷子になって、森の中を彷徨っていたら偶然、遺跡を見つけたの!その遺跡の中を探索していたら『銅仮面』が祭ってあったらしいのよ!珍しいからパパが、こっそり持って帰って来ちゃったのよね!」
「それって!犯罪じゃん!」
寛子は陽子の話しにツッコミを入れて、自分の父親の行動に呆気に取られていた。
しかし、麗華は目をキラキラとさせて陽子に話してきた。
「寛子さんのお父様は何て凄い方なのでしょうか!こんな素晴らしい物の価値が分かるとは、恐れ入りますわ!」
「…………そうね!麗華ちゃんが言う様に、寛子のパパはある意味で凄い人なのかもね!」
「でも、陽子様……私のお母様とこの『銅仮面』が何の関係が御座いますのですか?」
「それはね!麗華ちゃんのお母さんの瑠璃子も、凄く珍しいものが大好きなの!」
「えっ?陽子様………その話は本当ですか?」
「ええ、そうよ!瑠璃子は昔から異常なほど珍しい物を集めるのが大好きだったの!」
「でも、私が生まれてから一度もお母様が、それらしき行動を取った事を見た事はありませんし!その様な物をお家
では見た事御座いませんわ!」
「それはね………多分、誰にも言えないから隠しているのよ!」
「あの……お母様が…………………」
「あれ?麗華ちゃんどうかしたの?」
麗華は顔を下に向けるとワナワナと震えだしてきた。
陽子は麗華に「どうしたの?具合でも悪いの?」と聞いてみた。
すると麗華は顔を真っ赤にして、目には涙を溜めながら陽子達の顔を見た。
陽子達は麗華の顔を見て(一体どうしたの?)と思っていたら、麗華は陽子の方を見て話しだした。
「聞いて下さい陽子様!」
「え、ええ!一体どうしたの?」
「私は昔から珍しい物が大好きなのです!だから、よく屋敷に勝手に持ち帰るのですが、お母様に見つかるとお母様は厳しい態度で、私に持ち帰った物を捨てて来るように言うのです!」
「…………………………」
「でも、それだけじゃないのです!この前だって、私がお母様に内緒に隠して置いたコレクションを全て捨てられていたのです!………せめて、一声だけでも私に掛けて欲しかったです…………」
「…………………酷いわね!」
麗華は言葉を詰まらせると、涙をポロポロと零しながら必死に泣くのを堪えていた。
その麗華を見ていた寛子も(それはやり過ぎだ!)と思いながら、麗華の肩に手を置いて「落ち着いて!」
と声を掛けていた。
その麗華を見た陽子は少し怒った声で「全く、瑠璃子は何してるのよ!」と言うと、今にも泣き出しそうな麗華に話し掛けた。
「麗華ちゃん、ちょっと携帯を貸して貰えないかな?」
「……………け、携帯ですか?」
「そうよ!いいかな?」
「はい、これです!」
麗華はハンカチで涙を拭きながら、携帯を取り出すと陽子に渡した。
陽子は麗華に携帯を借りると「ごめんね!少し借りるわね!」と言うと、携帯の電話帳を開いて見ていると探していた人物を見つけたので早速、電話を掛け始めた。
寛子と麗華は陽子が誰に電話を掛けているのかが、気になって聞いてみた。
「ね、ねえ!お母さんは誰に掛けてるの?」
「決まってるじゃない!瑠璃子によ!」
「「「「!?」」」」
寛子達は陽子の意外な返事に呆然としていた。




