お家に来ちゃいました!
寛子達は頬を染めてモジモジして、爆弾発言をした麗華を見ていた。
そして、由美が寛子の横腹に軽く肘で突いて来ると「一体、何でこうなってるのよ!」と聞いてきたので、寛子は思い返してみたら、鮮明には覚えていないが寛子[篤]が一年生の頃で丁度、実技の補習で放課後に残っていた時に、靴箱の前で人が倒れているのを発見して、保険室へ運んだ覚えはあったが、助けた人物が誰だったは覚えはいなかった。
まさか、助けた人物が麗華とは思ってもみなかった。
寛子が思い出して「あっ!」と言うと由美は不機嫌な顔をして、寛子の横腹に肘打ちをして「やっぱり、自分の意志とは関係なく、フラグを立ててくるわね!」と言った。
寛子は由美の肘打ちで痛む横腹を押さえて、苦笑いをして由美に「ごめ〜ん!まさか、こうなるとは思わなかったの!」と由美に言って謝っていた。
寛子と由美の会話を聞いていた和美は、会話の内容が全く分からなくて「???」と首を傾げていた。
和美は寛子と由美に「何を話してるの?」と聞くと、由美が「寛子の兄の話しよ!ったく、篤は女垂らしよね!」と言うと、「キッ!」と寛子の顔を見てを睨むと、寛子は少し怯んで苦笑いで「ま、全く……だらし無い兄よね!」と由美と和美に言った。
和美は二人の言葉に対して、少し驚いて「あの篤君がね〜!私は誠実そうなイメージしかなかったな〜!」と答えると、寛子は和美の言葉に少し喜んでいたが、由美が寛子の横腹に少し強く肘打ちをして思った。
(………最悪!私の勘が当たっちゃったよ!………はぁ、面倒な事になったよ〜!)
由美が、大きな溜息を吐いていた。
そんな中、寛子は横腹を摩りながら、重大な事に気が付いて、慌てて由美にこってり囁いた。
「ねえ、由美!」
「なに!どうしたの?」
「あのね、私の部屋の事なんだけど………」
「部屋がどうしたのよ?」
「私の部屋は篤の時の模様なの!」
「…………えっ!それってまずくない!」
「………うん!凄くまずいよ!」
「絶対に、寛子の部屋がないと絶対に変だと思うわよ!」
「そうだよね!………どうしよう!」
「今から陽子さんに電話して、今の状況を話すしかないよ!」
「やっぱり、電話した方がいよね!分かった!」
「早くした方がいいわよ!もう少しで帰り着くんだから!」
「うん!今から電話してみる!」
そう言うと、寛子は携帯を出すと早速、陽子の携帯に電話を掛けた。
プルル、プルル、ガチャ!
(!?は、早い!)
『もしもし、お母さん?』
『どうしたのよ!寛子?電話なんか掛けてきて?』
『あのね、今から友達と一緒に家へ向かっているんだけど!』
『あら、そうなの?珍しいわね!』
『それでね!ちょっと頼みたい事があるんだけどいいかな?』
『何を頼みたいの?』
『えっとね、私の部屋を用意して欲しいの!』
『えっ!どうしてなの?』
『だって、篤の部屋はあるのに寛子の部屋がないから、皆に変に思われるから!』
『そういう事なら、心配要らないわよ!』
『えっ!どういう事?』
『帰って来れば、わかるわよ!じゃあね〜!』
プチッ!
『ち、ちょっと待ってよ!お母さん!お母さん!!』
寛子が慌てて、聞いたが陽子は既に電話を切ってしまったので、寛子の言葉は陽子には入らなかった。
由美が「どうだったの?」と聞いてきたので、寛子は「帰ってくると分かる!」と謎めいた事を言っていたと、伝えると由美は首を傾げて「??」となっていた。
寛子は(きっと、お母さんの事だからどうにかしてくれるよね!)思ってこれ以上、考えとも仕方ないので由美達に「行こうか!」と声を掛けた。
寛子に声を掛けられた由美達は「そうだね!」と言うと、寛子の家に歩きだした。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
寛子達は家の前まで着いた。
寛子と由美は内心、ドキドキして小さな声で会話をしていた。
「ねえ、由美!着いちゃったよ!………お母さん、大丈夫かな?」「………分かんない!陽子さんを信じるしかないよね!」
「何故か……凄く不安なんだけど…………」
「………そうだね!何たって寛子のお母さんだからね………」
「由美………どういう意味かな!」
「………何でもないです!」
「それにしてもあの二人はどうにかならないかな?」「………無理でしょうね!」
寛子と由美は麗華と和美の方を見て呆れていた。
和美は興奮して「はあはあ!」と怪しい息継ぎをしながら、自分の携帯で寛子の家をずっと撮影していた。
((………まるで変質者だよね!))
寛子と由美は和美を見ながら思った。
一方、麗華は初めて見るのか寛子の家のポストに手を入れて、「これは一体、なんですの?………手が抜けませんわ!!」など言って、必死にポストから手を抜いていた。
((…………壊さないでよ!!))
寛子と由美は更に、溜息をついて興奮している、二人を落ち着かせると、家の玄関のドアを開いて入った。
寛子は中に入ると「ただいま!お母さん!」と言うと、中から陽子が現れて「おかえり!」と返事を返してきた。
由美達は陽子を見ると頭を下げて「こんにちわ!」と挨拶をすると、陽子は由美達の方を見て頭を下げて「いらっしゃい!」と挨拶を返してきた。
そして陽子が由美達に「上がって!」と言うと由美達は「お邪魔します!」と言うと、靴を脱いで家に上がった。
しかし、麗華は首を傾げて「靴は脱ぐのですか?」と言ったので、陽子は驚いて、由美が麗華に「普通は脱いで上がるものなの!」と言うと、麗華は「そうですの!私のお家では靴は履いたままが普通ですので、申し訳御座いませんわ!」と言って靴を脱いで、家に上がった。
寛子と和美は苦笑いで見ていた。
陽子も少し苦笑いをして、寛子に「あの子はいい所のお嬢さんでしょ?」と囁いてきたので寛子は「………う、うん!」と返事した。
陽子は陽子の返事で「やっぱり!」と言うと、何度か頷いた!
寛子は気になっている事を、寛子に聞いてみた。
「お母さん!………お部屋の方は………」
「大丈夫よ!二階に上がってご覧なさい!」
陽子にそう言われて、寛子は不安なまま、由美達を二階に連れて行った。
二階に上がると、篤の部屋の隣にあった物置部屋のドアに[寛子の部屋]と書かれたアンティークのホワイトボードが掛けられていた。
 




