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彼女の本音

黒い服の男達が帰ってから、四人は寛子の家に向かっている中、寛子は溜息をついていた。


(………何で家に来たがるのよ!意味が分かんない!)


寛子は麗華が何故、寛子の家に来たがっているのかが分からなかった。


悩んである寛子を横から見ていた由美は、麗華の行動の目的が少しだけ予想が出来た。


(………多分、あの麗華は篤に会いたいから、寛子の友達になる事で家に遊びに行ける!……なんて考えてるんでしょうね!でも、残念ね!篤は貴女の目の前にいるんだからね!)


由美はそんな事を思っていたら、由美の横を歩いていた和美が何故かニコニコしていたので、由美は気になって和美に聞いてみた。


「ねえ!和美は何でそんなに嬉しそうにしてるの?」


「だって、寛子ちゃんのお宅を訪問だよ!バッチリ写真を撮らないとね!」


「………やっぱり、そう来たか!今日は、やけに大人しいと思っていたのよね!」


「一応、私も寛子ちゃんのファンクラブの会長だもんね!皆の為にも、昨日で落としてしまったファンクラブのページの代わりに、私が作ったブログにUPしないといけないのよ!」


「………また作ったの!………余り、寛子に迷惑を掛けないでよね!」


「了解!任せといて!今度は、学園のサーバーじゃあないからね!………でもさ~!私より、あの人を止める事は出来ないの?」


「ああ、あの人ね!……多分、誰も止められないんじゃないかな?」


「寛子ちゃんが可哀想だよ!」


「そうだね!どうにかしてあげたいけど、相手があの人だからね…………」


「強敵だよね!」


「打つ手が無いから、私は寛子のお母さんに期待しているの!」


「えっ!寛子ちゃんのお母さんて凄い人なの?」


「うん!凄い人だよ!」


「それは、期待が持てるよね!」


由美と和美がそんな会話をしている中で、麗華は嬉しそうにニコニコしながら、寛子に質問ばかりしていた。


寛子も麗華の質問責めには少しばかり引いていたが、本当に嬉しそうな表情で話してくる麗華を見て無邪気な子供ような感じがして、少し可愛いと思った。


「ねえ!寛子さんは、ずっと入院されていらっしゃったの?」


「そ、そうですね!小さい頃から病弱だったので、ずっと入院していました!」


「それは大変でしたのね!」


「………そうなんですよ!」


「寛子さん達が私のお友達になってくれてたので、本当に嬉しかったですわ!」


「そ、そうですか?でも、私達で良かったんですか?」


「はい、寛子さん達で良かったですわ!」


「それは、光栄です!でも、私の家に来たがる理由は何ですか?」


「そ、それは初めて出来たお友達ですもの!学園の帰りに、お友達のご自宅へ遊びに行くなんて!………ずっと、憧

れておりましたわ!」


「初めての友達ですか?」


「その通りです!寛子さん達は、私の初めてのお友達なのですわ!」


「!?………どういう事なんですか?」


今まで、由美と和美は二人で会話をしていたのだが突然、寛子と麗華が気になる会話を始めたので、二人は寛子と麗華の会話を聞いていたのである。


由美と和美が寛子達の会話を聞いていたら、麗華が今まで友達がいなかった事が分かり、更に自分達が初めての友達になった事が分かってビックリして、麗華に思わず聞いてしまっていた。


「麗華さん!突然、会話に入ってきてごめんない!でも、聞きたい事があるの!」


「何ですか?由美さん」


「麗華さんはずっと、友達がいないって言ったけど、どうしてなの?」


「それはですね…………私は小さい頃より、【黒柳】の家に生まれて、今までずっと【黒柳】の家に相応しい後継になろうと思いながら生きていたら、自分自身で何事もしないといけないのですから、誰も必要ないとなってしまって結果、一人になってしまいましたわ!自分が選んだ道ですもの、後悔していませんでしたわ!」


「…………黒柳さん」


由美は麗華の言葉に、言葉を詰まらせていた。


黙り込んだ由美に変わって、寛子が代わりに麗華と会話を始めた。


そして、麗華は寛子の方を見ると続きを語りだした。


「生まれてからずっと、この生き方をして来ましたが、別に変えようとは思いませんでしたわ!」


「でも、そんな生き方って辛くないですか?」


「辛くないと言うと、嘘になりますわね!でも、【黒柳】に生まれて来たので、私にはそれ以外の生き方はないと思っておりましたわ!」


「だから、いつも一人だったのですね!」


「そうですわね!私は気が付いたら、いつも一人でしたわ!………でも、それは私が選んだ道なので、他人には絶対に弱い部分を見せられないのです!………でも、私も本当は皆さんと同じように、お友達と一緒に帰って色々とお話して帰ってみたかったですわ!しかし【黒柳】の名前に泥を塗るわけにもいけませんので、すっと強がっておりました!」


「麗華さん…………」


寛子も麗華の本心を聞いて言葉を詰まらせたが、直ぐに寛子は麗華のついて疑問を感じて、麗華に質問した。


「麗華さん!質問なんだけど、聞いていい?」


「何でしょうか?」


「何で、今まで一人の生き方をしていたのに、急に生き方を変えたの?」


「………………………そ、それは」


麗華は寛子の質問に何故か、モゾモゾしていて頬を少し赤く染めて、寛子に言ってきた。


「それは、少し前の事なんですがね!………こういう生き方をした為に、私は他の人に良くは思われておりません。そんな中で、私に対して嫌がらせをしようとする人は少なからずいます!私は大抵の嫌がらせは気にしないのですが、その時にあった嫌がらせが流石の私にも耐えられ無かったのですわ!」


「………麗華さんも色々と辛かったんだね!その時の嫌がらせは、何だったのですか?」


「……………………私の靴箱に猫の死体を入れていたのです!」


「!?………それは、やり過ぎでしょ!先生には報告したの?」


「いいえ、あまりの気持ち悪さに私はそのまま、その場に気を失ってしまい、倒れ込んだみたいなんですわ!」


「大丈夫だったの?」


「はい!何とか大丈夫でした!でも、私が次に目を覚ますと、私は男の人の腕の中に抱き抱えられていました!」


「えっ!えっ!男性に助けられたの?」


(………何か、嫌な予感がしているんだけど………)


「そうです!私は男性に抱っこされたまま、保健室に連れて行かれたのですわ!………その時にその男性に言われたのです!『あまり、無理な生き方はしないで、自分に正直になったらどうだ!』と言われて、私は自分の生き方を否定されたみたいで、頭に来たのです!だから、私が男性にムキになって言い返したら、男性は『ムキになる所も可愛いな!』と言われてしまって、今まで私の事を可愛いと言ってくれた人はその男性だけでしたので、私はその言葉を聞いた後は何故だか、胸がドキドキして男性の顔を見る事が出来なかったのですわ!それから、私はその男性をずっと気にしていますの!」


「………………それって、誰か分かる?」


「はい!その方のお名前は海外 篤さんですわ!」


「「「!?……………………」」」





寛子達は、麗華の爆弾発言に歩くのを止めて、その場に固まっていた。

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