噂のお方
寛子達は声を掛けて来た方を見ると、そこには腰ぐらいまでありそうな長い黒髪を靡かせて、腕を組んで少し気が強
そうな瞳で寛子達を見下ろしている女性の姿あった。
三人はその女性のを見て誰か分かると、顔を引きつった。
(((うわ~!……く、黒柳 麗華!!)))
寛子達を助けた女性が黒柳 麗華だと分かると「ヤバイ!」と思った。
黒柳 麗華は日本でも屈指な企業の黒柳財閥のご令嬢で、寛子達とは同じ2年生で学園では生徒会の副会長をしていて見た目の容姿も良く、もちろん能力も成績もトップクラスなのだ。
しかし、麗華の性格がきついのは学園でも有名で、あれは寛子達が入学し間もない頃に、何も知らないで麗華に告白した男子がいたが………麗子にズタボロに言われ男子は一週間、学園に来なかった、そして二度と麗華には近づかなかった。
この事件の噂は学園でも有名で、その他にも麗華には色々な事があった結果、学園では麗華に近づくと身を滅ぼすと言われて学園では麗華には生徒達は余り近付かない様にしているのだ。
その噂を知っている寛子達はこの人には余り、関わりたくないと思いながらも寛子達はお礼を麗子に言った。
「「「黒柳さん助けて下さって、ありがとうございます!」」」
「いいえ、お礼など不必要ですわ!」
麗華は寛子達のお礼を切り捨てた。
寛子達はやっぱり、この人は苦手な人だと思った。
そんな事を思っている寛子達を麗華はキツイ視線で見て、皮肉混じりな言葉を掛けてきた。
「貴女達!此処は騒ぐ場所では御座いませんよ!学園の規律を乱さないで欲しいですわ!」
「「「………す、すいません!!」」」
寛子達は素直に謝ったが内心では違う事を思っていた。
(私達が被害者なのに!)
(この人に苦手です………)
(関わりたくないよ~!)
そんな事を思っている寛子達を見ていた麗華が寛子の事を見た事ないと思い、寛子に話し掛けてきた。
「あら、貴女は見た事のない生徒ですわね?転校生ですの?」
「い、いえ、私は今まで病気で休学していて容態が良くなったので昨日から復学している海外 寛子です!」
「そうでしたの……それは大変でしたわね!もうお身体の方は宜しいの?」
「は、はい!今の所は大丈夫です!」
「なら、良かったですわね!」
「気を使ってもらって、ありがとうございます!」
麗華は寛子との会話が終わると直ぐに由実の方を見て話し掛けてきた。
いきなり、言葉を放たれた由美はビクッとして、言葉を返した。
「後藤さん、ちょっと宜しいでしょうか?」
「な、何!?」
「後藤さんに一つ言いたい事がありますの!」
「は、はぁ~、何でしょうか?」
「この前、学園のPCを一台、破壊しましたわよね!」
「!?………………なんの事かな?」
「知らないフリをしても無駄ですわよ!ちゃんと証拠がありますの!」
「………証拠って何よ?」
「貴女も知っていると思われますが、学園のPCには生徒に与えたれたIDとパスワードを入れないとログイン出来ないのはご存じですよね!」
「…………知ってるわ!」
「壊されたPCのデータを調べた結果、最後は貴女のIDでログインして使用していた事が分かりましたの!」
「…………誰かが私のIDで勝手に入ったかも知れないわよ!」
「それは、無理ですわ!」
「な、何でよ!」
「貴女、大事な事を忘れていない?」
「大事な事?」
「そう、PCの画面側にカメラがある事をお忘れなの?」
「あっ!?」
「お気づきになりましたわね!そう、ログインする時はIDとパスワードと登録された瞳のスキャンデーターが一致
しないとログイン出来ませんの!だから、他人が勝手に使用する事は出来ませんのよ!」
「うぅぅ………私が……壊しました」
「やっと、認めたわね!後で、報告書と反省文の方をお渡し致しますので、今週中に出して下さいね!」
「い、いやーーー!!」
((…………由実の奴………またか……))
由美は絶叫しながら、その場に膝を着いた。
それを、寛子と和美は、「またやったのか…」と言う目で見ていた。
由美は昔から、たった二つだけ欠点があったのだ。
一つは機械系で、全くのダメで由美が操作すると何故か壊れてしまうのだ!
(由美が触っても壊れないのは携帯ぐらいか………これは、生まれ持った一つの特殊能力かもしれない!)
二つ目が料理で、昔から由美に料理を作らせると何故か毒物が出来てしまう!
(これは美沙子さん曰く、由美の特殊能力なのだろう………昔、カレーを作ったら、何故だか紫のカレーが出来たの覚えている……一口であの世に行きかけたな~……二度と食べたくない!)
寛子はそんな事を思い出しながら顔を引きつらせていたら、麗華は次に和美の方を見て話してきた。
和美は少し後ろに下がり話した。
「斉藤さんもちょっといいかしら?」
「は、はい……なんでしょうか?」
「斉藤さん!昨日、無断で学園のサーバーに勝手にファンクラブのホームページを作りましたよね!」
「…………作りました……」
「学園には連絡してないですよね!」
「………連絡してません」
「でしたら、する事は分かっておりますわよね!」
「………………見逃して下さい……」
「ダメですわ!申請が通ってから作って下さいね!だから直ぐに消して下さいね!」
「そ、そんなーーー!!」
和美も由美と同じくがっくりと膝を着いて落ち込んだ。
寛子はそんな二人を哀れみの目で見ていたら、麗華は寛子を見て話してきた。
「海外さんのその容姿はハーフなのですか?」
「いえ、日本人です!」
「!?………本当ですの?私はてっきりハーフか何かと思いましたわ!」
「…………さっきも言われました」
「でも、どうしてその容姿なのですの?」
「多分、私に先祖にその様な人がいて、私は先祖返りみたいなものです!」
(はい!適当に言ってますよ!………本当の事は言えないし!)
「大変ですわね!」
「そうなんです!」
寛子は早く会話が終わらないかなと思っていたら、麗華が【海外】の苗字で何かを思い出して寛子に聞いてきた。
「一つ聞いても宜しいかしら?」
「何でしょうか?」
「貴方の苗字の【海外】についてなんですが………ひょっとして貴女、お兄さんか弟さんはいらっしゃる?」
「は、はい!双子の兄がいますが?」
「それは海外 篤さんでは御座いませんか?」
「そ、その通りです!」
麗華は少し考え込んだ、気になった寛子が麗華に話しかける。
「あの~!兄がどうかしたのですか?」
「い、いえ!何も御座いませんわ!それより、何か分からない事がありましたら、私に聞いて下さいね!では、失礼いたしますわ!」
そう言うと、麗華は他の生徒達に席に戻るよう言うとその場から去っていった。
疑問だけが残ってスッキリしない寛子だったが、横で落ち込んでいる由美と和美の姿を見て二人の頭を優しく撫ぜてやった。
 




