食堂に行こう
寛子と由美が暁先生と職員室に向かう途中で、暁先生から寛子は話しを掛けられた。
「全く、学園内でも大変な、騒動になってるな!」
「…………すいません」
「まぁー!事の発端は寛子クンなのだが、この件は和美クンがほとんど悪いのだがな!」
「えっ!和美が何かしたんですか?」
「彼女が学園の生徒に為に作られたサーバーに、寛子クンのファンクラブのサイトを作ったらしんだ!生徒なら誰でもアクセスが出来るので、昨日のうちに殆どの生徒が見たんだろうな!」
「「本当ですか!?」」
「ああ、本当だ!」
((和美………お前の仕業か!!))
寛子も由美も沸々を湧いてくる怒りを抑えながら、職員室に向かって行った。
職員室に着くと、暁先生は自分の机の椅子に座ると話しを始めた。
「寛子クンに聞きたい事は、昨日の放課後と言えば分かるよね!」
「!?……………はい、大体は察しがつきました!」
「昨日、井上と対戦したんだって?」
「…………はい……」
寛子は昨日の出来事を、暁に詳しく話すと暁は深く溜息を吐いて、頭を抱えていた。
暁は大体の事を理解して寛子が悪くない事が分かると、寛子に同情して話してきた。
「寛子クンも災難だったね!」
「………はい!」
「しても、井上がそんな奴だったとは分からなかったな!」
「私も全然、気付きませんでした!」
「でも、寛子クンの能力を見抜くとは井上の実力も中々のものだな!」
「はい!私も驚きました。まさか、A+の実力を持っていたので、それに特殊能力まで隠していたので私も二重の意味で驚きました!」
「特殊能力か………」
「先生?」
「ん、何でもない!」
「……なら、私達は授業が始まるので教室に戻りますね!」
「ああ、呼び出したりして済まなかった!」
「いいえ、大丈夫です!」
(でも、暁先生……さっき、一瞬だけ悲しそうな顔をしたよね……)
寛子は由美と教室に戻りながら、暁がさっき一瞬だけ見せた悲しそうな顔が何故だか頭から離れなかった。
教室に戻り、自分の席の着くと間もなくして、担当の先生が来て授業が始まった。
しかし、授業が始まっても何故だか寛子は暁が呟いた特殊能力の言葉を事を考えていた。
(何故、この世界には特殊能力を持って生まれて来る人とそうでない人がいるのかな?……特殊能力って遺伝が関係するのかな?それとも、偶然に持って生まれて来るの?…………ええい!考えても分かんない!………でも、多分…私の場合は完全に遺伝だよね!)
寛子が頭を抱えて悩んでいる姿を横で心配そうに由美が見ていた。
授業も終わり、休憩時間になると昨日と同じで寛子のクラスの廊下には寛子を見ようとするギャラリーで一杯で、それを阻止しようと翼達が壁を作ろうとしていた。
寛子は翼達を視界に入れるのを止めて、由美と話していたがチラッと弘雅の席を見たが、そこには弘雅はいなかった。
弘雅は由美とのやり取りの後、どうやらサボったみたいでHRの時から教室にはいなかったのだ。
(アイツは何をやっているのよ!………でも、今朝の事を気にしてるのかな?)
寛子がボーとそんな事を考えていたら、由美が寛子に軽くデコを指で弾いてきた。
「痛っ!?ちょっと、由美!何するのよ!」
「私との会話中に考え事するから悪いのよ!」
「えっ?私、ボーっとしていたの?」
「してたよ!」
「ごめんね由美!」
「ダメ!許さない!」
「そ、そんな~!」
「嘘!でもね、お昼休みにケーキでも奢って貰おうかな!」
「………分かった!」
「やったー!!!」
(私のお小遣いが………消えていく!)
ガッカリした寛子とは対照に由美は嬉しそうにしていた。
そんな事がありながら、あっとゆう間にお昼休みになった。
寛子と由美は今朝はお弁当を作って貰えず、代わりにお金を持たされたので、今日は食堂で済ませる事にしていたので二人は食堂へ向かった。
食堂に着くと、学生達が多くて二人は少し驚いた。
「………相変わらず、多いわね」
「……そうだね」
「私っていつもお弁当だからお昼に食堂に来るの久しぶりだけど、これは………」
「私もいつもは弘雅達と屋上で食べてるから食堂にはあまり来ないけど、多くない?」
二人は普段はお弁当を持ってきているので、由美は教室で食べて、寛子(篤)は弘雅と翼の三人で屋上で食べているので、食堂には滅多に来ないのである。
だから、食堂の生徒の多さに驚いていたのだ。
二人は取り敢えず、食券を買う為に自販機の列に並んで会話をしていた。
「ねえ、由美は、何食べるの?」
「私はBランチにしようかな?私の大好きなハンバーグだし!寛子は何にするの?」
「私はAランチかな?私は白身フライが大好きだからね!」
「寛子って肉より魚だよね!」
「だって、日本人なら、やっぱり魚でしょ!」
「いやいや!寛子は見た目は日本人には見えないよ」
「えーー!どうして?」
「見れば分かるでしょ!髪は紫色で、瞳は青色だから、どう見ても外国人!!!」
「酷い!!!私は見た目はそうでも心は日本人なの!」
「分かったから、落ち着こう寛子!」
「う、うん!ごめんね!」
「いいのよ!それより、私達の番だから早く買って行こうよ」
寛子と由美は食券を買うと食堂のおばさんに食券を渡して、それぞれの定食を貰うと空いている席がないか探していたが、生徒達が多くて空いてる席がなかった。
二人が探し歩いていたら、手を振っている女の子が目に入った。
それが、和美だと直ぐに分かったので二人は和美がいる席まで行ってみた。




