限界と家庭の事情
陽子が語り出して、秘密と由美は黙って聞いていた。
「寛子は能力を抑えるブレスレットをしているよね!私の予想では、寛子は私と同じ体質を受け継いでいると思うのから、ブレスレットを外した状態で約80%を超える能力解放をすると、二度と男には戻れないのよ!」
いきなりの説明に、寛子は話しについて行けなかった。
一度、整理したいので、寛子は陽子に疑問になる部分を聞いてみる事にした。
「ねえ、お母さん質問していい?」
「いいわよ、何が聞きたいの?」
「完全に女体化する条件として、その能力を80%以上を超えなければ大丈夫なのよね?」
「そうね!私と同じ体質ならね!」
「なら、80%以内での能力開放だったら、何度でも男に戻れるんだ!」
「そういう事になるわね………でも、あくまでも私の憶測なんだから、気を付けてね!」
「でも、お母さんは何で私がお母さんと同じ体質と思ったの?」
「それはね…………内緒!」
「また、内緒なの!!!もう、私に隠し事が多いよ!」
「仕方がないのよ!私にも色々と事情があるの!」
「なんか………納得行かないな!」
「ごめんなさいね!」
陽子はそう言うと、申し訳なさそうな顔していた。
陽子は話しをを終えると美沙子の方を見て言った。
「美沙子、私の方は終わったから、次は貴女の出番よ!」
「………分かったわ~」
「由美ちゃん………多分、これから話す事は、信じられないと思うけど、貴女のお母さんが話す事だけは信じね!」
「…………はい」
由美は陽子にそう言われて、緊張していた。
そんな由美を見て、寛子はそっと由美の手を握った。
「大丈夫だよ、由美!」
「ありがとう、寛子!」
その二人を見ながら、美沙子は微笑んでいたが表情を引き締めると、由美に語りだした。
「よく聞いてね~、由美!………あのね~、お母さんと陽子の家は昔から付き合いがあるってい聞いたでしょ~?」
「うん、陽子さんが言っていたよね!」
「お母さんの家も代々、ある一族の子孫なのよ~!」
「…………うちもなんかの子孫なの?」
「そうなの~、お母さんの旧姓を教えとくわね~!」
「…………う、うん!」
(また、このパターンなの?………どう、リアクションを取っていいのか………分からない………寛子、助けて!)
由美は、隣に座っている寛子の方をチラッと見たが、寛子は目で「耐えるのよ!」と、視線で送ってきたので、由美は頷いて、再び母親の方を見た。
「いい、よく聞いてね~!お母さんの旧姓は【光守】なの~!」
「【光守】って…………どっかで、聞いた事があるような?」
「………ごめんね~由美!………完全に陽子と同じ流れになってね~………」
「うん、いいよ!そんな感じがしていたから………」
(お母さん泣かないでよ!………私も悲しくなるでしょ!)
美沙子はハンカチで涙を拭いながら、陽子を睨んだが、陽子は知らないフリをして口笛を吹きながら全く、違う方を見ていた。
(陽子!!私が作ったシナリオをパクったわね~!)
美沙子は再び、由美の方を見て申し訳なさそうに話しだした。
「話しが脱線してごめんね~!………で、何処からだったかしら~?」
「…………旧姓を名乗った所からだよ、お母さん!」
「そうだったわね~!うちの一族は代々、【天羽】を守護し監視するのが、ずっと続いて来た役目なの~!」
「えっ?………【天羽】の守護と監視??」
「そうなの~【光守】の一族は【天羽】を代々、守護して来たのよ~!でもね~………大きな力を持つ【天羽】では、力に溺れる者がたまにいるのよ~!力に溺れた者を、消す為に役目を背負ったのが【光守】があるのよ~!」
「う、嘘だよね………そんな話し………」
「本当なのよ~!………でもね、よく聞いてね~由美!………もし、陽子が力に溺れたら、私が陽子を殺さないといけなかったよ~!………でも、私はそんな事したくなかったのよね~!そんな役目は私の代で終わらせてやろうとして、陽子と一緒に一族から逃げ出したのよ~!」
「…………そうなんだ!お母さんも辛かったんだ………」
「それにね~、由美にそんな役目を背負いさせたくないしね~!だからね、由美は寛子ちゃんの友達として傍で守ってあげなさいよ~!」
「お、お母さん………」
由美は美沙子の言葉を聞いて、胸から何かが込み上げて来ると急に涙が溢れ出してきた。
(私はお母さんの子供に生まれて来て良かった………本当にありがとう、お母さん!)
心から感謝の気持ちでいっぱいの由美は、溢れてくる涙を止めきれなかった。
由美の溢れてくる涙を、美沙子は自分のハンカチで拭いてあげていた。
そんな、二人を見ていた寛子と陽子も思わず、目に涙を溜めて頷いていた。
そして、由美も泣きやんで落ち着いたので美沙子が夕食にしようと言いたので、四人は少し冷めたご飯を食べ始めた。
寛子は久しぶりの由美と美沙子とのご飯に嬉しさを感じていた。
(何かいいな~!いつもはお母さんと二人でしかご飯は食べないから人が増えると賑やかになるね!)
寛子はそんな事を思ってご飯を食べていたが、少し気になっていた事があったのでいい機会だから聞いても見ようと思い、陽子に話しかけた。
「ねえ、お母さん!」
「どうしたの?寛子」
「一つ、疑問に思っていたんだけど、何でお母さんと学園長は知り合いなの?」
「その事?………学園長はね、私の友人なのよ!」
「ほ、本当に!?」
「そうよ!美沙子とも友人なのよ!」
寛子は由美は顔を見合わせて、ビックリしていた。
その二人に、美沙子が学園長に付いて、話してきた。
「貴方達が言ってる学園長はね~、私と陽子は同級生なのよ~!」
「「えー!!同級生!?」」
「そうよ~!私達は、小学校からの付き合いがあるのよ~!」
意外な真実だったの聞いてしまたと、二人は思っていたが寛子はこれで、納得が出来た。
(そう言う事だったんだね!………だから、寛子の時に随分とスムーズに復学が出来たんだ!)
寛子が、一人で頷いていて納得している間に、美沙子と陽子は昔話に夢中になっていたのだが、急に美沙子が意外な事を言ってきた。
「ねえ~、陽子!」
「何?」
「昔の事を話していたら懐かしくなって来たらね~、今日は泊まって行きなさいよ~!」
「「「!?」」」
(な、何を言ってるの美沙子さん!?)
いきなりの、爆弾発言に、私は冷汗をかいて、由美は固まっていた。
陽子も半信半疑な態度で美沙子に聴き直した。
「ほ、本気なの?美沙子?」
「構わないわよ~!だって、女の子だけじゃない~」
「そうだけど、由美ちゃんと寛子がどう思ってるか、聞かないとね?」
そう言って、陽子は寛子達に聞いてきた。
「えっと…………私も由美も困ると思うけど………」
寛子はそう答えたが、由美は少し考えて意外な事を言った。
「いいと思うよ!お母さん!」
「えっ?…………由美?」
由美が寛子の言葉を遮って、返事をして来たの寛子はオロオロするしかなかった。
(由美………一体、何を考えているのよ!………私は篤でもあるのよ!)
由美の考えが分からなくて、寛子が悩んでいる間に、お泊りが決定していた。




