やっぱり最低!
寛子は迷っていた、弘雅の霧の能力には打撃攻撃が効かない!放出系も多分、効かないかも知れない!霧の能力が未だに未知数なので下手な攻撃も出来なかった為に寛子は動けなかった。
(一体、どうすればいいの?あの霧の能力はただ体の一部だけを霧に、変化するだけじゃあ無いと思うのよね?)
身動きの出来ないまま、寛子はずっと弘雅との距離を保っていたが、弘雅は寛子の動揺が判っていて寛子が仕掛けて来るまで待っていた。
「どうして、いいのか判らなくなってる見たいだね!」
「…………お蔭様でね!貴方の厄介な能力のせいでね!」
そんな会話をしていた二人だが、弘雅が先に攻撃を仕掛けた。
自分の周りに小さな水の刃を作ると一斉に寛子に向かって飛ばして来た。
寛子は咄嗟に能力の解放を60%まで引き上げた。
そして寛子は数が多過ぎと判断をすると、避けるを止めて、自分自身を覆い隠す程の氷の壁を作り出した。
飛んだ来た水の刃は氷の壁に当たり衝撃音が鳴り響くが弘雅は攻撃を一向に止める気配はなくて次第に氷の壁に亀裂が入っていった。
(う〜ん………氷の壁に亀裂が入って来たよ!?………かなり、不利な状態よね!どうしよっかな〜?……霧を逃さない様にしたいなぁ〜…………!?……閃いた!一か八かあれをやってみよう!)
寛子は氷の壁の中で空間を開きその中に入って行った、寛子は空間の中を移動中に出口の座標を後ろに決めて通常空間に出て来た。
しかし、弘雅は寛子の行動を予想していたのか、後ろに現れた寛子に向かって待機させていた水の刃を一斉に放った。
一斉に向かって来た水の刃は寛子に直撃した。
ダダダダッッッ!!!
大きな衝撃音が鳴り響いた、弘雅の放った攻撃が終わると、煙が立ち上り寛子がどうなったのかが視界では確認が出来なかったが、次第に煙が晴れて来ると弘雅は驚愕を受けた!
「!?………氷の人形だと?」
弘雅の後ろに現れて攻撃を喰らったのは、寛子の姿をした、氷の人形だったのだ。
(!?………ヤバイ!!何処に行った?)
弘雅は焦りながら、周りを見渡したが寛子の姿が見えない。
(俺から言えば、空間干渉能力の方が、厄介過ぎる能力だよ!………全く、何処にいるんだよ?)
弘雅は緊張させてもう一度、周りを見回したが寛子の姿を確認出来ないまま構えを解けないでいた。
しかし、いきなり先程まで弘雅が攻撃していた氷の壁が粉々に弾け、カケラが弘雅に飛んで来るので弘雅は体を霧に変化させて回避させた。
そんな中で氷の壁があった場所から声が聞こえて来た。
「ふふふ、待っていたわよ!この時を!」
「!?」
寛子が現れたのである!先程の空間移動はダミーで自分自身はずっと同じ場所にいたのである。
寛子は既に両手に蛇の様な炎を作っており、その炎の蛇を霧に変化させている弘雅に向かって放った。
炎の蛇が霧の形態をとっている弘雅に襲い掛かるが炎の蛇は霧を突き抜けてしまった、弘雅は霧のまま寛子に言い放つ。
「流石に冷汗をかいたが、俺がこの形態になっている間は、どんな攻撃を仕掛けて来ようが無駄だよ!」
寛子は弘雅にそう言われたが、弘雅の言葉を聞き終えてから、意味ありげに微笑んだ。
「そうだと言うと思ったわよ!でもね、私の狙いはこれからよ!」
寛子がそう言うと、霧となった弘雅に当たらず、通り抜けた炎の蛇が軌道を変えて、戻って来ると霧を囲むように、霧の周りを何度も円を描きながら回り出したのである。
やがて、炎の蛇は霧となった弘雅を逃がさない様に回転を速くなって行き、次第に描く円は小さくなって行った。
(に、逃げ場が無くなって行く!)
弘雅はそう思い、必死に霧を拡散させ様としたが逃げ場は無く、とうとう炎の蛇は霧を覆い隠すように炎の球体となってしまった。
弘雅は閉じ込められた炎の球体の中で灼熱の熱さのせいで、霧の形態をとることが出来なくなっており、人の形に戻ってしまった。
人と戻った弘雅は炎の球体の中で意識が失いながら思った。
(完敗だな………まさか、こんな方法で来るとは予想外だよ……流石、俺が惚れた女性だよ!………でも、このままだと流石にヤバいな……しかし、今の俺にはどうする事も出来ないけどな……。)
弘雅は炎の球体の中で、逃げ場も無く、防ぐ方法も見付からない中で諦めて目を閉じた。
しかし、いきなり弘雅の目の前の空間が歪むと少し大きめな穴が開き、その空間から右手が現れ弘雅の制服の胸部分を掴むと、弘雅の体を空間内に引きずり込んだ。
(!?………なんだ?)
訳が判らなく、弘雅の次見た視界は右手で自分の制服の胸部分を掴んで、笑顔な表情で自分を見ている寛子の姿であった。
そして、目の前にいる寛子は、まだ唖然としている弘雅に向かって言った。
「お帰りなさい!危なかったわね?………でも、降参してくれる?」
そう言って、寛子は弘雅の掴んでいた右手を離すと弘雅はその場にへたり込んだで漸く、自分に起こった出来事を把握すると寛子の顔を見て言った。
「はぁ〜………完敗だよ!まさか、あんな技を使って来るとは思わなかったし、命まで助けて貰ったしね!………まだまだ距離があるな〜!」
「ふふふ、認めてくれてありかとう!でも、あのままにしといたら、怪我したでしょ?」
「確かにあの中にいたら、今頃は病院のベッドの上だっただろうね!」
「私も一日で二人も怪我人出すのは嫌だったしね!」
「俺もまだ未熟だなぁ?」
「あら、でもいい所まで来ていたと思うわよ!」
「なら、少しは興味は持ってくれたんだ?」
「う〜ん?………少しだけね!でも、貴方の負けだから付き合わないわよ!」
「いいさ!俺は負けたんだし!でも、少しは興味を持ってくれたんだから、大きな収穫だよ!」
「…………懲りないわね!」
「俺は執念深いからね!何時か君を振り向かせて見せるさ!」
「…………厄介な人に目を付けられたわね………」
そう寛子は言うと座り込んでいる弘雅に手を差し延べた。
「立てる?」
弘雅は差し延べられた手を握ると弘雅は自分の方へと寛子を引っ張っり、寛子を抱き寄せて抱きしめた。
寛子は又しても、悲鳴をあげて弘雅の頬を引っ張叩いた。
「最低!!」
弘雅は叩かれた、頬を摩っていた。




