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私と闘いたいの?

午後の授業が始まっても私は弘雅から貰った手紙の内容が気になって授業が入って来なかった。


(一体、どんな話しなんだろう?………それに私の秘密を知っている?……まさか、私が篤って事がばれてる!?確かに、お昼休みの時の会話でもそんな話しをしていたよね!………もう〜!……気になって授業どころじゃ〜ないよ!)


私は弘雅からの手紙の内容が気になって、無意識に髪を右手の人差し指に絡めていた。


(もういいや!ばれてるなら、正直に言えば済むことだし、弘雅は人の弱みに付け込む様な人では無いはずだから、きっと話せば判ってくれるよね!)


私はそう考え直して、授業に集中する事にした。


ふと、隣の席を見た時、由美の事が気になってしまった。


(そういえば、由美は午後から早退したんだ。一応、病院で精密検査を受ける為に帰ったんだ………私のせいだいよね………大丈夫だと良いんだけど?)


そんな事ばかり考えていたら、いつの間に放課後になり、約束の時間が迫っていたので私は急いで約束の場所へ向かったのだが、私がコートに着いても弘雅の姿が無かったので、待つことにした。


(何なのよ!とっくに約束の時間が過ぎてじゃないのよ!もう、帰ろっかな?)


寛子は10分過ぎても弘雅の姿が見えないのでその場から帰ろうとしていたら、入口の方から人影が見えて、段々とこちらに近付い来るとその人影が弘雅だと判った。


「ずいぶん、待たせるのね!」


「ゴメン!ゴメン!ちょっと用事を済ませていたからね」


「話しってなに?………それに、秘密って何をしってるのよ!」


「質問が多いね!そうだね、まずは何から話そうか?」


「早く、答えて!」


「そんなに、急がなくても良いんじゃないかな?」


(こっちは、早く由美の容態を聞きに行きたいのに!遅刻して、こんな態度なの?………弘雅ってこんな性格だったの?)


「話しの内容から言うね!俺が寛子を呼んだ用件はね!………寛子に俺の彼女になって欲しいだ!」


「………………はぁ?」


(ば、馬鹿じゃないの!?な、何を言ってるのよ?)


「一目惚れなんだ!俺は寛子が欲しいだ!」


「…………貴方、正気なの?」


「至って、正常だよ!」


「そんなの無理!絶対に無理だよ!」


「なんで?他に好きな奴でもいるのか?」


「そんな人はいないけど………無理だよ!」


(まさか、男の人に告白されるなんて思っていなかったよ!そ、それも弘雅にだよ!!こんなの、ありえないよ!!だって、今は女の身体と思考だけど、気持ちは篤のままなんだよ!それに弘雅は私が篤って知っているじゃないの?もう訳が分からないよ………)


寛子は頬を真っ赤にして、弘雅に言っていた!


しかし、弘雅は真剣な表情で寛子の右手を掴んで寛子の体を自分の方へ引っ張ると寛子を抱きしめた。


「!?」


寛子は何が起こったのかが判らない!


(えっ?何が起こっているの?………私、何されてるの?)


何が起こったのか、判っていない寛子は混乱でボーとしていた。


そんな事などお構いなく、弘雅は寛子を抱きしめた状態で、寛子の耳元で呟いた。


「俺は本当にお前が好きなんだ………信じてくれ!」


「………………いやぁぁぁ!」


寛子はようやく自分が弘雅に抱きしめられている事に気が付いた。


無意識に弘雅を突き放すと目に涙を溜めて、弘雅の頬を引っ張叩いていた。


「何するのよ!?」


叩かれて、少し赤くなった頬を摩りながら弘雅は寛子の目を見て言った。


「こうでもしないと、信じてくれないだろ!」


「だからって、して良い事と悪い事があるでしょ!」


寛子は今にも、こぼれ落ちそうな涙を手で拭きながら、弘雅を睨んだ。


流石にやり過ぎたと思った弘雅は少し顔を下げると、申し訳なさそうに寛子に謝った。


「ゴメン………確かにやり過ぎた……でも、俺の気持ちを知って欲しかったんだ!」


「………気持ちは判ったけど、弘雅君の気持ちにはお答え出来ないわ!………ごめんなさい」


その言葉を聞いた弘雅は少しガックリとしたが、でも直ぐに寛子を見つめて聞いてみた。


「本当にダメなのか?少しぐらい見込みは無いのか?今はダメでもこの先にチャンス無いのかよ?」


そう言われた寛子は弘雅がしたことは許せないが、しかし、必死に気持ちを伝えようとする姿に、寛子は少し照れて嬉しくなった。


「………先の事なんて……そんなの判んないよ!」


(わ、私はどうしちゃったんだろ?………男からの告白なんて嫌なのに……………でも、弘雅は私を好きなんだ………ちょっぴり嬉しいかも?)


「なら、俺にもこの先チャンスはまだあるんだな!?」


「………判らないけど………多分?」


(多分なんて………!な、なにを言ってるのよ私は!?)


寛子は自分の気持ちが判らなくなっていた。


一方、弘雅はまだ自分にはチャンスがあると感じて寛子にある考えを持ち掛けた。


「寛子に頼みがあるんだ!」


「なに?」


「俺と対戦して欲しい!」


「な、何でそうなるのよ?」


(あんたはどうして、告白から対戦に繋がるのよ!?)


「俺が寛子より強ければ、寛子は俺に興味を持ってくれるだろ!」


「………確かに、少しは興味を持つかも知れないけど?」


「そうだろ!だから、寛子に勝ってゆっくりでも良いから、俺の事を知ってほしいんだ!」


「でも、私は弘雅君とは戦わないわよ!」


(能力の制御がまだ、甘いのにこれ以上、怪我人を出したくないわ!)


「そう言うだろうと思ったよ!でも、寛子には拒否権はないよ!」


「………どうゆう意味?」


「だから、言っただろ!寛子の秘密を知っているって!」


「秘密って何よ?」


(来たわね!!さあ、早く言いなさいよね!)


「空間干渉能力を持っているんだろ!」


「………………えっ?」


(そっちなの!?………心配して損した気分!でも、先生達と秘密って約束したもんね………しょうがないな~乗ってあげますか!弘雅なら、少しは手加減を間違えてもいいよね!)


「今まで、誰一人として使い手がいなかった能力だよな!」


「………判ったわ!対戦してあげる!」


「そう来なくちゃな!」


「何時が良いの?」


私が対戦の日を聞くと弘雅はニヤっとして答えた。


「今、此処でだ!」


「えっ?でも、勝手にコートを使ったら怒られるわよ!」


「大丈夫だ、既に此処は借りてるからな」


「………用意が良いのね」


私は溜め息を吐いて、弘雅にさっさと始める様に言った。


「では、始めようか寛子?」


「何時でも良いわよ!」





そう、言うと私達はコートの中央に向かって行った。

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