表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10分間のエース  作者: 橘西名
地区予選(開幕編)
PR
84/305

07:誰のためなのか

07:誰のためなのか




 二階から試合を見られていることにも気づける余裕もなく、竹春は千駄ヶ谷に追い詰められていた。


 残り二ゴールで完封負けを喫してしまうが、あきらめないで最後まで頑張ることの大切さを三人は知っている。


 頼れるエースはここにはいなくても、彼女のことが三人の支えになっていることは間違いなかった。



「愛数。分かってると思うけど、この試合――」


「……もう、分かってるって」


「私もね」



「誰のためなのか言うまでもないことだけど――」



 バスケットにおいては押される一方だけど、絶対に負けないという部分が三人の中にもあった。


 高校生になってバラバラになっていた自分たちをまとめてくれた子がいる。


 その子の影響でここにいない一人を合わせた四人が見る景色というのは変わったのだ。


 変わった今だからこそ、強く思うことがある。


 その自分たちの大切な仲間が目の前の人たちに傷つけられて、泣いている姿はもう見たくない。自分たちの力が足りないばかりに彼女に悲しい思いはさせたくない。



「この勝負に負けない! たとえそれがどんなに絶望的でも!」



 それは他の誰でもない自分たちのため。


 由那を悲しませる相手に負けるなんて後悔はしたくないと三人は思っていた。






 ***

 試合が進むにつれ彼女たちのもともと持っていた力が出せるようになってきたのだと思う。


 ただバスケが上手い下手では考えられないようなすごい選手を彼女は知っているからだ。


 二階から後輩たちの試合を眺めていた佐須揚羽は、となりにいる少女を見た。



「面白い、と思わない? 追い詰められればられるほど実力を出せる選手なんて、ほんの一握りしかいない特別な才能なのに」


「でも次のプレイで負けは確定だ。まだあのレベルについていける子は一人もいない。でも」



 揚羽のとなりで一緒に試合を観戦していた佐前燕は手すりに手をかけると、身軽な動きでその上を滑るように下へと飛び込んでいった。


 それを追うように揚羽も階段を使って下へと急いだ。


 下のコートでは驚いて千駄ヶ谷の選手が離したボールを燕が奪いさり試合を中断させていた。



「折角だから、僕と揚羽を入れて千なんとかと竹春で五人対五人のバスケをしようよ」



 この佐前燕は地元では有名なバスケットボール選手だという。


 遅れてその場に到着した揚羽も、まさか自分まで参加することになるとは思わなかった。



次の投稿は週末を予定しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ