03:仲間候補は二年生?
03:仲間候補は二年生?
大会にエントリーするにあたって出場が微妙な三咲と栄子の代わりにバスケ部の一員になってくれそうな人を由那と滴は探していた。
去年の女子バスケ部の人たちには前から声をかけていたのだが、今年受験生である三年生は首を縦に振ってくれる人はおらず、二年生は四人いたらしいが誰一人名前が分からなかった。
「何か二年生をあぶりだす方法はないのかしら?」
「あぶりだすって……そんな。悪いことをしてるみたいな」
「そんなことない。バスケをやりたくて部にいた人たちなら、きっとまたやりたいに決まっている。私がそうだったからかもしれないけど、ちょっとした気持ちの持ちようでそれは変わってくる」
「なら、見つけてあげなくちゃね」
上級生のフロアを周回する二人組に後ろから突撃してくる人影があった。
その人が視界の端に見えてから由那が一、二歩ステップを踏んで衝突しないように動くと、突撃してくる人影も同じような動きをして不運なことに影と由那は衝突してしまった。
「いたっ」
「およっ」
避けようとした当人たちが驚きはしたが、ぶつかったことによる痛みはさほどない。
互いによろけてバランスを崩す程度だった。
「怪我はない? ちょっと揚羽を追いかけていたら前方不注意で、ごめんよ」
「いえ、こちらこそ変な避け方をしたから」
「それについてはまた聞いてみたいけど、急いでいるからじゃあね!」
淡々とそう言って女生徒は、遥か前に見える人を追いかけて走って行った。
「嵐のような人だったね」
「あまり見かけたことのない人だったけど二年生なのかしら」
「そうなんじゃないかな? 二年の教室から出てきたみたいだし」
そのまま二年のフロアを歩いていると直接会うのは久しぶりの人に出会った。
「こんなところまでどうした? そういえば新メンバーを探しているんだっけ?」
「三咲先輩」
「そろそろ思い出しませんか? 一年の時からバスケ部のレギュラーを張ってた人が四人もいたんだから、一人くらい」
「そういわれてもねぇ。バスケばかっていうと佐須ってのが同じクラスにいるくらいしか知らないし――」
「知ってるじゃないですか!」
「でもほとんど学校に来てなくて、三年生とつるむようになってからは毎日来ていたかな」
「確認なんですけど、学校に来なくなったのはいつからですか?」
「確か去年の夏ぐらいから徐々に」
「間違いないじゃないですか! ちょうど女子バスケの予選が終わった頃ですよそれ!」
「「そうなの?」」
「由那は知ってるよね! それでその人はどこに?」
「さっき教室を飛び出していったけど――」
それだけ聞いて滴はさっきぶつかった人を追いかけて走り出した。
残された由那は三咲から、佐須という先輩の特徴を聞いてそのあとを追う。
「運動神経がそこそこで、由那より少し背が高いかな。それと特徴的な性格かな」
その先輩の名前は“佐須揚羽”というらしい。
次の投稿は土曜日になります。