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10分間のエース  作者: 橘西名
インターバル(十有二月学園編)
70/305

08:ライバル登場!

ようやくこの話の登場人物がそろいます!

08:ライバル登場!




 試合が動いたのはこちらのミスからだった。


 試合も後半になり、小さなミスが増えるのはしょうがない。


 しかし受け手のミスというより、送り手の天野のミスが増えるというのはこの大会で初めてだった。


 しかも単調なパスがほとんどを占め、次第にパスコースも読まれてしまいセカンドガードの子がボールを回すようになってから、私はタイムアウトを取った。



「天野、何か隠していることがあるならハッキリといいなさい。五秒で」


「う~、う~」


「ハッキリしろ!」


「永田さん、ちょっと厳しすぎるんじゃ……」


「部外者は黙っていなさい!」



 天野が左足を庇っていることなんて、誰よりも早く気付かなければならなかったのに、試合に安心してしまって気づくのが遅れてしまった。


 部外者である風見鶏さんの方が早く気付いたのがなんとも言えず情けない。



「みんな……天野の左足のソックスを脱がすわよ」



 抵抗する天野を抑え込んで無理やり脱がすと真っ赤に腫れていて思わず一歩後ずさってしまった。



「試合には最後まで出る」


「出すわけないでしょう!」



 天野がここまで頑固だとは思わなかったが、このまま言い合いをしていてもタイムアウトはすぐに終わってしまう。


 他の子にメンバーチェンジの手続きをしてもらい、私は天野を説得する。



「あと二つで全国なのに、休んでいられない」


「この試合と準決勝であと二つもあるから、あんたの力が必要なのよ。ここで勝てばいいだけなら私だって出してあげたいけど。その怪我じゃ無理をするだけ悪化するわ」


「それは、そうかもしれないけど……」


「こんなときの助っ人がいるんだから休んでいなさい。ほら風見鶏さんは体力と運動神経だけならあんたよりずっと上よ。あと自称魔法も使えるらしいわ」


「そうだね。……………………あ~あ、約束は守れないのかなぁ」


「大丈夫よ。どうやら助っ人の彼女もやる気だけは人一倍のようだから」



 このとき風見鶏は練習時にダンクを決めたときのような、何かをやってくれそうな雰囲気を出していた。


 冗談交じりに声をかければつい数分前までのふざけていた感じは消えていた。



「風見鶏、魔法でも何でもいいから試合をひっくり返してきなさい!」


「はい。全力で行きます」



 この試合は風見鶏一姫がコート中を駆け回ることで相手のペースを乱し、試合にはどうにか勝つことができた。





 問題は次の準決勝戦。


 そう確信したのは、私たちの試合が終わってから行われた試合を見てからだった。


 毎年一回戦負けのチームと昨年ベスト四の学校。


 実力を出し切れば後者が勝つと思われた試合。


 データを集めた後から知ることになるが、弱小校のはずのその高校には、一年生でエースナンバーを背負う選手を中心に見事な勝利をしていた。


 それが佐須揚羽率いる竹春高校。


 由那たちの前の代の人たちだった。


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