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10分間のエース  作者: 橘西名
高校生編(竹春高校)
50/305

30:攻撃的なPG

 赤坂高校にリードして第一クォータを終わるためにも、滴は練習を思い出しもう少し仕掛けることにした。


 天野との練習でポイントガードのなんたるかは分かった気がする。


 彼女が今までやってきたバスケットの延長線上にその理想形の一つがあったから理解が早かったのかもしれないが、そのバスケは彼女に良く合っていた。



「もう一本!」



 滴の声に応える竹春高校は栄子と三咲、由那がそれぞれ左、中央、右と展開していく。


 視野の広さで相手に隙が生まれたところへ滴が正確なパスを出すパターンは相手に一回見せた。


 そのもう一段上のバスケットが、彼女が天野に教わった彼女のスタイルを生かしたものである。



「こいつ……調子に乗って!」



 マークに着く相手が滴のパスを警戒しているところへ滴はスモールフォワードのような鋭いドライブで抜きにいこうとする。


 一度パスを受けてからスローペースになったところへ急加速をしてきたようなものだから相手は驚くが、そのプレイは自己中心的なものに見えた。


 強豪校の側からすれば舐めたもしくは調子に乗ったプレイ以外の何者でもない。



「いくらこっちが様子見をしているからって、そこまで好き勝手やらせるかよ」



 俊足の栄子を見てパスを警戒させるフェイクを一回いれ、逆の右へ滴は抜きに行く。


 相手はそのフェイクに釣られて体勢を崩しかけるが、辛うじて滴の進行方向に身体を滑り込ませ、さらに素早いフォローが入り一気に一対二の状況に持ち込まれる。


 しかしその動きの一連を滴は見たことがあった。



「組織的なバスケは今の主流だけど、それを利用させてもらう」



 二人目が来たことでマークの空いた由那にパスを送る。


 ここまでの滴のプレーを見ていれば一人で行きそうなところへ狙い済ましたかのようなパスをしてくるいやらしいバスケは本気で滴が抜きにいっていたから成功した。


 これと同じ状況で十有二月学園の天野はマークの受け渡しの間にある隙を何度も突いて適格に点を取っていった。


 それが竹春高校に置き換えれば、両サイドの由那と栄子ならマークをはがしてフリーのままボールを渡せば高確率で点を取ってくれる。


 そこには天野のように隙を見つけられなくても、二人の実力で切り開いて行ってくれるから攻撃としては成功だ。


 今の流れにやられたと思った赤坂高校の一人が仲間の制止振り切って滴に話しかける。



「もういいや。長岡先輩が来るまでは大人しくしていようと思ったけど、無理」



 その選手は赤坂高校の今出ているメンバーで夷守中出身でも推薦で入ってきた選手でもない。



「十分見たし、あんたが竹春のエースだってのは分かった。それならあたしはあんたを凌いで先輩に凄いって所を見せる、いや見せ付ける。そんでスタメンの座を手に入れる」



 乱暴な口調のこの子の野望が、竹春高校を苦しめることになるとはこのときは誰も思っていなかった。


次の投稿は土日を予定しています。

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