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10分間のエース  作者: 橘西名
高校生編(竹春高校)
42/305

22:隙間の世代

天野箕五子と西條秋葉のお話成分が多めです。

 十有二月学園はパワーフォワードの西條とポイントガードの天野以外は純レギュラー組。


 竹春高校は、いろいろと試してみたいポジションがあるのでまずは妥当なポジションで行く。



 前から、


 センター、山田三咲


 パワーフォワード、大塚栄子


 スモールフォワード、上下愛数


 シューティングガード、滝浪滴


 ポイントガード、田崎由那




 ジャンプボールは西條と三咲の競り合いになるが、中学MVPとワンツーマンの練習を重ねた三咲が互角の勝負をする。あと一歩のところで競り負けてしまうが、こぼれたボールを由那が捕球して竹春高校からの攻めになる。


 この試合は亜佐美も傍観を決めているので、彼女たちの今持っている力が試される。



「愛数ちゃん、お願い!」



 由那は前線にいた愛数にパスを出すと、それを見て前へ抜け出した滴が声を上げて愛数にパスコースを指示する。


 そこへ緩いパスが出されると、詰めてきていた十有二月学園の二年生とタッチの差で滴がボールを手にすることが出来た。



「決めろよ、シズク」



 愛数の茶々が入るが、滴は心の中で「当然」と思いながらシュートを放つ。



「由那。せっかくだから勝ちにいこう」



 高校へ上がって遠くからのシュートも打てるように練習して、それが運よく決まったことで滴は調子のいいことを言う。


 しかしそうやすやすと試合の流れを持っていかれるわけには行かない天野は、ホームの意地を見せる。



「秋葉はずっと前にいて。――一発で同点に追いつくよ」



 天野がボールを持ち、そのマークに由那がつく。


 天野は由那の出身を亜佐美から聞いているから、少し気持ちが高ぶった。



「キミを抜かないとパスを出すのは難しいかな?」


「この流れは切りたくないんです」



 由那のディフェンスはパス出すのもドライブで抜くのもさせない気迫が伝わってくる。

 もともと実力差もあるが、なによりも天野の身体能力では難しかった。



「でも、私は十有二月学園のキャプテンだから」



 天野はよく自分のことを平凡といって、冗談半分に化け物呼ばわりする強豪校へ進学した友人のことを話すことがある。その友人は現在全国ランキング2位とまさにこの世代を代表する選手に育っているが、逆にその選手からみた天野の話がローカルスポーツ誌に載っていたことがある。



『私たちの元チームメイトは、普通、普通言いながら相手がどんなに凄くても抜きますよ』



 天野は由那を真正面から見て、その身体を無意識に揺らした。



「抜かせてもらうよ」



 その揺れに反応してしまう由那を嘲笑うように、隙を突いた天野のドライブが一瞬で由那を抜いた。


 完全に抜けなくとも、パスコースが開いたことでゴール下に張っている後輩へパスを送る。



「――決めてよ」


「もちろんです!」



 ポジション争いを制した西條がパスを受けて、そのまま振り向きざまにシュートを決める。



「今日は手を抜かなくてもいいんですよね」


「一姫がいない分もがんばってもらうよ」



 天野は西條が竹春高校との練習試合に手を抜いていないことは分かっている。


 この後輩は、頂点を失った隙間の世代といわれる中でいろいろな重圧を感じながらバスケをしてきた。


 確かに西條秋葉という一選手は中学生大会のMVPになったのかもしれないが、その席に座るべき人がいなかったから、彼女は自分がそこの席に座ることになったと思っている。



「天野先輩。私は楽しかったです。別の高校の人とバスケをして、おしゃべりをして」


「うん。それはいいことだ。友達が増えるのは大事だよ」



 そのせいもあってか一歩引いたところからバスケットに取り組むことで、西條は一年生ながらすぐにチームに溶け込み重要な選手になった。


 天野は自分が怪我をしやすい分、頼もしい後輩が入ったことには本当に感謝している。



「三咲さんとは一緒に練習する機会も多かったんですけど、すごいの一言です」



 直接の先輩だけでなく、他校の山田三咲にも親身になって彼女が知っているバスケを教えたのがいい証拠だ。


 その甲斐もあって山田美咲はバスケで西條と競り合えるところまできている。


 そして彼女は間違いなく将来の十有二月学園高校のエースになる。



「お互いにウィンウィンな試合にしていこうか」



次の投稿はコンスタントに行きたいんですが、未定です。


予定では水曜日くらいを考えています。

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