14:友達
二時間の練習を終えて、後片付けを男子バスケ部と一緒にしなくてはならなかったため、由那だけ残って男子バスケ部の練習が終わるのを待っていた。
男子は二チームに分かれて試合をしていた。
人数が揃えば実戦形式の練習ができて良いなと思う。
三年生のキャプテンが指揮をするAチームと、一年生の秀人が指揮をするBチーム。
男子らしい派手なプレイで得点を重ねるBチームには、同じく幼馴染の大神黎明や濱口夏樹という幼馴染の姿があった。
夏樹は、少し前に三咲に一本背負いを受け無傷だったほど頑丈で一年生の中では一番背が高い。
ポジションはセンターで、豪快なダンクを叩き込む夏樹は、二メートル近い長身をフルに発揮している。これで中学時代にバスケ部じゃなかったとは誰も信じないだろう。
大神は、昔と変わらず亜佐美のまねをしたロングシュートを放っては外して放っては外しを繰り返してBチームの足手まといとなっていた。
そこをまとめるのが秀人の役割で、中学からのポジション――ポイントガードは彼に良く合っている。チームメイトの一人が全く使えなくても先輩たちと互角にやりあっているのだから凄い。
由那は、昔からの友人が一緒の学校にいるだけでこんなにも心強いものだと、つい最近になって知ったばかりだ。
彼らは、実力が上の相手を前にしても必死にすがり付いていてあきらめようとしない。
その気持ちを前面に押し出したかのようなプレーは見ていてスカッとする。
由那が少し迷っていたときに幼馴染の一人に言われた言葉がある。
『あんたがやってきた三年間は全部無駄だったと思っているの? そう思うのなら、無理にやる必要はないけど……でも、あんたが助けてっていえば私たちはいつでもあんたを助ける! それが――』
その言葉は秀人の双子の妹である栄子が言った。普段から無感情な彼女にしては珍しい。
由那にとって中学の三年間は、眩いばかりの光の中にいたこともあれば、深く暗い闇の中にいたこともある。それが自分を腐らせていった。
結局のところあの三年間は無駄じゃなかったと今なら思える。
その三年間がなければ、体格が一回り以上大きな男子を相手に圧倒できるほどの実力を持つことはできなかっただろう。
しかしそれはただ持っているだけだ。
頼れる仲間と別れたのが最悪な連鎖の始まりで、それを良くするために頼れる新しい仲間がいる。
「――それが友達なのかな」
その存在が、由那が立ち直るきっかけだった。
栄子はウダウダした人相手だと強きですが、基本的に受身なボケ担当です。
でも友達のためなら叫びます。必死になります。
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