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10分間のエース  作者: 橘西名
インターバル(憧れの舞台編)
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02:東(あずま)とキアラ


 昨夜遅くに登校ルートを検索したスマホが顔の近くにあった。


 自分の身体で押しつぶしてしまうといけないので、普段なら机か別の場所に置いているのに相当疲れていたのかと思う。


 これは幸いと現在時刻を確認するためにスマホを手に取る。


 電源ボタンを押ボォと柔らかい光が顔いっぱいに広がり時計が表示された。


 マズイ、遅刻のようだ。


 一人暮らしを始めた初日の朝は布団から飛び起き、洗面台へ向かい鏡を見る。


 そこには彼女の顔があった。


 時間がないのに覗き込むように自分の顔をまじまじと見つめた。


 手を伸ばす。


 顔を洗ってさっぱりしたいからなのだが、蛇口が遠くに感じた。


 ちょっと悲しい。


 自分が無力に感じる。


 横を見ると年季の入った木製の踏み台があった。


 彼女が昔から使っていた手作りの踏み台。それを使って蛇口へ手を伸ばした。


 ばしゃばしゃと冷たい水が意識をハッキリとさせた。




 手早く身支度を整えて家を出た。


 家から出て五分のところから地下鉄に乗って十五分、降りてからは駅を出てすぐの坂を登れば学校という、世紀の迷子でもなければ間違いようもないルート。


 まさか地下鉄に正反対の方向へいく乗り口があるとは……頭の奥底から抜け落ちていた。


 そんなうっかりで一時間以上遅れて学校へ到着。


 教室へ直行するとどこかへ出ているみたいで、無人の教室に独りでいた。


 そこへ誰かが入ってきた。



「……」



 無言で入ってきた彼女は、廊下側一番後ろの席に座った。


 事前に配られた出席番号順で座るとしたら、彼女はそこで間違いないだろう。


 透き通るような白い肌と銀髪が日本人離れをした同級生――名前はキアラ・セラフィムといって、スポーツ特待でこの学校へ入った。


 純粋なフランス人が何を思ってこんなところまで来たのだろう。


 彼女が今考えていることを私は知りたいと思った。



 同じ意志を強く持った二人がいて初めて起こるおまじないが今の彼女たちの状況を使った。



 ――東千波の顔をして中身がキアラ。



 ――不思議現象真っ只中の彼女たちはこれが初対面。



『この国は平然と不思議なことが起きる』とキアラの好きな日本アニメでは良く言っていた。



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