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10分間のエース  作者: 橘西名
地区予選(決戦編)
195/305

23:試合経過


 前半戦のブランクスは真彩のオフェンス力ありきで試合を組み立てていた。


 カウンターで点を入れる霜月に対して、真彩が個人で切り込んでシュートもしくはラストパスで効率よく点を入れていくブランクス。


 試合のスコアはどちらかに大きく傾くことはない状況だ。



 第一Q終了時、ブランクス 12

        霜月    10



 第二Q終了時、ブランクス 24

        霜月    16



 対策をしてくると踏んでいた霜月側もこの結果には少し驚かされていた。


 守備のチームに対して守備固めで来る相手がいても、実行に移す相手は少なかった。


 霜月の基本陣形はゾーンディフェンスからの二対一の状況を作ることだ。


 さらに、もし抜かれても最終ラインの子津が絶対に止めてくれるという信頼でチームが成り立っている。


 そのためか、どうしてもその最終ラインを破れない相手は攻撃重視で何とか点を取りに来ようとするのだ。


 しかし今日に限ってはその最終ラインが相手のルーキーを易々通してしまう――いや、あまり関係ないポジションで傍観しているためか点を取られていた。


 そういったことがあった前半戦。


 キャプテンの子津由美が後半のプランを話す。



「マークは変えない。向こうの一年には月見と出雲の他にもう一人つけよう」



 この試合で真彩と由美が対決することは今のところなかった。


 チームの何人かはそれが少し引っかかるが、単に自陣の深いところを守っている由美と周囲をぐるぐる回って中へパスを放り込んでくる真彩は距離があるだけかもしれないため、誰も口を挟まなかった。



「あとの四人は私が全部止めるから」



 そう言い切る。


 言ったことは必ず守る由美のことをチームはいつも頼もしく思い、さらに少し怖くも感じる。これから相手が陥るであろう状態は、もし自分がそうなったら耐え難いものだからだ。



「それと点が入らなくなってきてるけど、一度落ち着こう。ここで調子を崩したら一気に持って行かれる。それに――」



 由美の持病の心配性なところが出ていた。


 ベンチの一人が立ち上がって由美の頭をくしゃりと上から押さえつける。



「それにもなにもお前が落ち着け、キャプテン」



 ベンチに置いておくには勿体無いくらい身長のある選手だ。



「分かっている」



 キャプテンの声にチームが返事をして、静かにいつも通りの霜月高校がコートに戻る。


 霜月にとって、一試合で五十失点以内――前半までに二十四失点は、どんな展開になっていても予定通りである。


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