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10分間のエース  作者: 橘西名
地区予選(決戦編)
191/305

19:不審者


 ――一年前。


 当時の竹春高校は先輩を立てなければならない暗黙のルールがあった。


 どこの部活にでもある感情論の一つだが、一般的に、同じ実力なら上級生の方を優先する、というのとはまた違うものだった。


 それは大して強くもなかったバスケ部が、公式戦で先輩に長い時間プレイさせるというものなのだが、この高校の校長が呼んだコーチというのがそれを間違った解釈にしてしまった。



 具体的に言うと、公式戦で一年生は二名までしか試合に出さない。



 わざわざ今年は全国から三人も集めたのに何を考えているのだろうと思う。


 本当に最後まで何を考えていたのか分からなかったが、事件が起きたのは準決勝戦の十有二月学園との試合だった。




 ***

 竹春高校の体育館にはバスケ部の関係者がいつもより大勢いた。


 女バスの五人と佐須来夏、それに加え元女バスの先輩三人だ。


 現在、部を離れている三人は、揚羽に用があったようで、話しかけられていない残りはそれを遠目に見ていた。


 そこにいたのは妹の来夏で、また勘違いをされているのかと思ったが、同じ学校の同学年である三人があの揚羽のことを見間違えるはずはなかった。



「今週末にようやくあたるって伝えておいて、妹ちゃん」


「はい、え、それだけです?」



 来夏は自分の姉がこの三人に迷惑をかけていることを知っている。


 彼女たち高校でのバスケットを奪ったのは間違いなく揚羽なのだ。


 内心はドキドキのビクビクで三人を迎えていた来夏である。


 こういうときに空気を読まないのが一人、その輪に飛び込んでいった。


 この日は部活前ということもあり、伊達メガネをかけている愛数だ。



「そういうことは本人に直接言えばいいじゃん」


「ちょっと、上下さん……」


「もうすぐ近くにいるんじゃない?」



 するとすぐに三人が何かに気付いたように半歩後ずさる。


 そこには二人の人影があった。


 一人は揚羽で間違いないが、もう一人は紺色の制服を着て特徴的な赤髪の女子生徒。


 制服も顔も見覚えがないので不法侵入者だろう。



「生意気そうな一年生を捕まえたんだかけど。ちょっと誰か先生呼んできてくれない?」



 この場では的外れな意見を言う揚羽。


 そして中まで連れてこられた真彩だった。


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