17:エピローグ1
しばらく経って……
17:エピローグ1
ニュージャージー州のハイスクールであるネッツへ向かうバスへ、日本人の少女たちが乗り込んでいた。
少女たちは口々に「久しぶり」「やっと会える」「待ってた」と誰かのことを思い出しているようだった。
バスの中からみる景色は、見たことがないほど開放感があって遊びたいとも思ったが、まずは目的の人に会うのが先決だと思った。
「まあ、向こうはこっちを知らないかもしれないけど……ここまできてあれだけど、実際に会うのは始めてなんだよね」
半年と少しの時間が経って高校生になった彼女達のなかで、身長のある少女がなれない環境で不安を漏らしていた。
目的地であるネッツではある日本人が人気を集めていた。
その日本人のトレードマークは、昔いた大切な友人たちからの贈り物である帽子を目深に被っている。
日本にあるバスケの強い学校と姉妹校にあたるネッツは、アメリカで全国大会にあたる州大会に進んだことがなかったが、ここ一年はその出場校を次々に倒していた。
その原動力にあたるのが帽子の少女。
体格差をものともしないプレイスタイルは、アメリカ人の度肝を抜き、頭も良いためどのようなポジションでも期待以上の活躍を見せていた。
スーパーオールラウンドプレイヤー。
日本の高校時代は『帝王』という二つ名を持ち、日本人女子の平均より少し背が高い上園青空の現在だった。
今日、彼女達は再会を果たす。
まだ続きます。