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10分間のエース  作者: 橘西名
地区予選(決戦編)
178/305

08:エースがいない2


 新涼はエースを止められなくても、それ以外を潰して点差を縮めていた。


 まだ前半の焦らなくていい時間帯だからといって、対策を立てなければ最終局面で致命的なことになるのだってありうる。


 ベンチがざわついているのに反して、コート上の五人は落ち着いてタイムアウトを取った。



「まず、不知火さんは久世先輩とは違うよ。ボール際の強さは同じものを持っているかもしれないけど」


「なら私たちに抜けないどおりはないわね。同じ学年だし」


「滴が止められちゃうなら、分が悪いと思う」


「栄子はもっと下がって来てよ。折角練習した連係が試せないじゃん」



 由那が心配したより滴たちのモチベーションは下がっていない。


 滴が抑え込まれたことを受け止めている栄子はちょっと考えている様子だが、逆に愛数はまだ試せていないことを実践で使っていきたいと思っている。


 竹春がリードしていることは誰も考えず、それより先を見つめて自分たちを高めようと思っている。


 しかしそんな彼女たちの気持ちとは別に佐須姉妹が大胆な作戦をとる。



「えっと、メンバーチェンジです。これは外から見ていた私たちの判断ですけど。まず山田先輩と上下さんのどちらかは私と交代です」


「え?」「ふーん」


「えっと、文句は言わせません!」


「異議あり、異議あり!」


「おとなしく代わったら? その方が静かになりそうでいいわ。Cがいなくなるのは困るし」


「そうだね」「そうだな」



 由那と栄子までそう思っているのかと思えば、コートの中にいた彼女たちも気づいていたようだ。



「愛数ちゃん、肩の具合があんまりよくないでしょ。きっと佐須先輩に気付かれたんだよ」


「三咲は良く分かんないけど調子悪そう」



 わざとらしく当の二人は視線を外す。


 そこへ揚羽が細かい説明をして納得させる。



「上下は大丈夫そうだけど、昨日の今日だから無理しない方が良い。問題なのは山田三咲の方。あなた、怪我してるでしょう」


「そんなことはないけど?」


「それなら、はい」



 揚羽が三咲の前へ右手を差し出す。躊躇いがちに三咲はそれを握り返した。



「にぎにぎ」


「お前って握力ないのな」


「痛くない?」


「全然、大丈夫だけど。これで私は下がる必要はないよね」


「それならそれでいいわ。上下が交代ね」



 竹春高校はPGの上下を来夏に代える。


 もちろん姉と違い来夏の方はバスケなんて全くできない。


 さらに――



「それと私と田崎が交代。もちろん文句は言わせない」



 試合に出ないと言っていた揚羽もコートへ出るらしい。


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