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10分間のエース  作者: 橘西名
地区予選(決戦編)
175/305

05:やり辛い相手3


 竹春高校は一回戦とオーダーを変更せず二回戦へ挑んだ。


 試合前のウォーミングアップ時に挨拶をしてくれた爽やか系美少女に戸惑う場面はあったが、試合は個々が余裕をもってプレイできている。



「愛数ちゃん! 滴フリー!」


「はいよっ」



 愛数にボールを渡してから、彼女が顔を上げ、パスを出すまでの寄せが遅い。


 そのため自分と相手の間にできる十分なスペースが余裕を持ってパスを出せる。


 それを受けた滴はドリブルでゴールまで距離を詰めて、逆サイドをあがる栄子へ高目のパスを送る。



「ナイス、パス」



 パスを受けに踏み込んだ足の力が、そのままゴールへの跳躍になってゴールが決まる。


 一撃目に右を使えば、二撃目は左を使う。


 愛数にはロングパスがないため、左に大きく振ってきた由那が受けて一人をかわし、下がってきた栄子と由那の連係で左サイドを制した。


 初戦のおかげでテンションの上がっていた竹春は攻撃のぶれが小さく調子がいい。


 誰の目にもそう映っていた。厳しい視線を送る揚羽を覗いて。



「おかしい。相手のプレイの質が一回戦に比べて愕然と下がっている」


「お姉ちゃん。それはダメなことです?」


「お世辞にもこっちは、攻撃を組み立てるのは上手くないのよ。決まったパターンは数種類あるけど、それさえ頭に入れられていたら、七割は簡単に封じられてしまうくらいに」


「それは……致命的です」


「新涼高校を舐めているわけじゃないけど……もしかしたら第一クォータを丸々つかった様子見をしてきているかもしれない」



 試合は竹春がのびのびとプレイするのに対して、新涼がぎこちない動きでシュート数のわりに点を取れていない。


 相手の最小得点が大きく影響して、竹春が十点以上リードをして続く第二クォータに入った。


 クォータが変わって一度リセットされたことにより新涼が一回戦のようなシフトを敷いた。



「不知火、憧さん?」


「田崎さん」



 エースの由那に不知火をマンマークでつけてくる。


 これの意味はハッキリとは分からないが、由那一人を抑えられたところで攻撃を組み立てられないほど今の竹春に大きな穴はない。


 もしも竹春に大きなダメージを与えることがあるとすれば、それはエースを砕くこと。


 一回戦でも非常に高いボール奪取率を誇った不知火を付けた意味がそれなら良く分かる。


 不知火自身、由那のことは由那が元いた中学事情から良く知っていた。



「田崎由那。元千駄ヶ谷中のフォワードで桜さんの後輩。この人を止められたら、最高に気分が良さそう! 絶対にこの試合中に止められるようになります!」



 先輩の雰囲気を微かに感じさせる相手が由那の障害となるのかどうか、今の由那には良く分からない。



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