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10分間のエース  作者: 橘西名
地区予選(激闘編)
163/305

30:ソトから見た様子


 少女の知り合い二号が不安にしていると、となりの知り合い一号が時折、頷きながら試合を眺めている。


 アリスがどうして止められてしまうのかとなりの人は分かるようだ。


 分からないことは聞いてみよう。



「へ? 何か分かったの?」



 いや、分かっていなかったみたいだ。


 思わせぶりな態度をとるなよ、と心の中に留めておくことにする。



「どうして、アリスがあんなに簡単に誘導されたのかって聞いてる!」


「分かってんじゃん。そう、ワナにまんまとはめられたね」


「分かってたなら教えてよ。意地悪だなあ」



 数分前から、アンジェリカが小春に意地悪をすることが多くなっていた。


 彼女が分かっていることをワザと小春に答えさせるような、さっきみたいなやり取りをしていた。



「ほら、そう怒らないで。目を反らしているうちに明誠が動いて陣形を変えて来た。ちゃんとみよう?」


「言われなくても見ますよ!」



 まだ三十点弱の点差はあるが、これ以上の一方的な点差の収縮を防ぐために、明誠のコーチが考えたのは失点しないことだった。


 そのためマークを弄り、セイを振り切れない天野のマークは変わらず、風見鶏に三人、亜佐美にアリスを付けた。


 これのフォーメーションは十有二月学園の大型ルーキー西條を亜佐美に置き換えて練習してきたものだ。


 アリスは平均的な身長の割に背の高い選手に対する苦手意識が全くない。それはセイを相手にしても十分戦えるだけの力があることでチームメイトも納得済みだ。


 二人の選手をフリーにしてしまうが、主な得点がこの三人なら、最後の風見鶏は是か非でも止めたいということでトリプルチームを敷いた。



「ボールを取ったらセイかアリス。二人に回せば必ず点を取ってくれるよ!」



 明誠の千里がチームを鼓舞する。


 決して二人に頼り切りでないのはこれまでの試合を見ていればわかる。


 この三回戦までは、二人なしの毎年一回戦敗退のチームで戦ってきたのは強豪と当る前に総合力をあげようという思いが少しくらいあったのかもしれない。


 無口なコーチが何を考えているのかその娘にすら分からないけど、感謝したいと思う。


 それを経験していなかったら、たった三人で風見鶏を止めることなんてできなかった。



「このチームはアリスだけじゃないのよ」


「なら、こっちかな!」



 風見鶏は三人を掻い潜りなんとか永田にパスを回す。


 マークにアリスがつくが、どちらかといえばすぐに攻撃に移れる位置にいて、シュートモーションに入ってしまえば止めることは難しい。


 これで八本連続、亜佐美はスリーを決めた。



 このときのアンジの感覚では、これ以上、点差が縮まる以上に生きのよい選手を野放しにしているのが一番危ないと感じていた。


 だからこそ明誠のコーチは永田亜佐美にアリスを付けたのだ。



「アリス、大丈夫かな。あんなに凄いのに苦戦するなんて、凄く強いチームっていうの?」


「そうなの?」



 またアンジが小春を試すようなことを言ったところで、久しぶりの明誠の得点が決まった。


 それはなんとアリスがスリーポイントラインから放った、点差を縮めるスリーポイントシュートだった。



「アリスってまだまだ、何も出してないのに?」



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