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10分間のエース  作者: 橘西名
地区予選(激闘編)
150/305

17:まだ序章


 少し遅れて会場に来た竹春高校メンバーが見た光景は、ギリギリまで追い詰められているライバル校の姿だった。


 スコアボードを見て、大差を付けられていることに滴が信じられないと呟く。



「どうしてあの学校はいつもベストメンバーが揃ってないのよ!」



 視線の先には、今試合に出ている十有二月学園のメンバーが映っている。


 センターの西條こそ出ているが、風見鶏や天野といった主軸がごっそり抜けて戦力が低下したメンバー。


 ベンチを見れば、天野が肩で呼吸をしていて直前まで試合に出ていた様子だ。


 第二クォーター残り二十秒で、相手校のボールになる。


 ボールを持ったのは、三咲より細身だが身長で劣っていない金髪ボブカットの外国人。


 そのポイントガードを起点にパスが回されるのかと思いきや、相手の陣に踏み込んですぐにゴール前に強いパスを出してしまう。


 そのボールを受け取った選手も金髪の少女。


 先程の選手とはタイプが違い、恵まれた体格がなくても日本人離れした動きを見せる。


 ゴールを切り裂く圧倒的なスピードと細かいフェイントの数々は前年度優勝校を全く寄せ付けない。


 ゴール下に張る長身の西條の所まで三人をごぼう抜きにしていき、最後の西條まで抜き去ってゴールを決める気満々の金髪の少女の姿が映る。



「確か、今日の亜佐美さんの相手校って……」


「うん。去年の一回戦で当たった学校。去年は天野さんだけで勝てたチームのはず」



 去年の雪辱を果たすためにいくつもの仕掛けを用意した明誠高校は、いまだに仕掛けの一つしか出して来ていない。


 アリスとセイムという二人の助っ人外国人を二回戦まで温存して、相手に対策を全く作らせなかった。


 そうして挑んだ試合で、唯一二人に張り合えそうな身体能力を持つエースが欠場していることで両チームに大きな誤算を生んだ。



「風見鶏さんは、また試合に遅れていて。相手校には謎の金髪外国人が二人いる。きっとその二人を相手に天野さんと西條だけじゃ歯が立たなかったの?」



 その外国二人が十有二月学園の天野と非情に相性が良かったのだ。


 能力値こそ低くてもそれなりのバスケをする天野にとって、圧倒的な力で攻める二人のバスケはまさに彼女の弱点を抉るようなものだ。


 そのせいで前半一杯すら天野の体力が持たず、ベンチに引っ込まざるを得なかった。


 そしてトドメの一撃が十有二月学園に突き刺さる。


 身長差がある相手とのバスケに慣れているアリスが、中学MVPの西條を嘲笑うように空中でフェイントを入れて、悠々とボールをゴールリングに沈めたのは時間いっぱいの二十秒ジャストだった。


 そしてこのゴールで、大会記録に並ぶ前半だけでの五十点差が付けられていた。


ここまでがこの章の序章……になります。

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