04:カワイソウな人
小春の部屋は子供でも大勢になると少し手狭だ。
友達を読んだことがなくて、今までは良かったかもしれないけど、勉強机やベッドのせいでいまいる三人が座り込むのがやっとだろう。
部屋へ来て小春が簡単に着替えを済ませると、アリスとセイが入ってくる。
「……ということデス」
「いや、まだ何も聞いていないんだけど?」
なに、今のは? ということでDeathってことなの?
アメリカのブラックジョークってやつなの?
笑えないわー。笑えないー。
『自己紹介しましょうか?』
セイのプラカードは本当に優秀だ。
さっきまで「でまする」みたいなことを書いてあったなんて信じられない。
『私はセイム・クライスターでする』
セイとアリスは同じ施設育ち。
アリスが来たから、セイも一緒に来た。
何をしに来たのかといえば、それは二人を連れてきた私の母の口車に乗せられたからだろう。
その説明も一通りしてもらったが、詳しくは明日の放課後に見せてくれる、という。
その目で見るのが一番わかりやすい、と二人は思っている。
***
昨晩の話を聞いた餡蜜が眠そうな顔をしている。
聞く気がないなら聞かないで欲しい。
「それで、アリスちゃんの方はどうして来ていないの?」
「知らない」
「ずいぶんと冷めたんじゃない? 昨日、アリスちゃんを見て目を輝かせていたのは、どこの音無さんだったかな。……あれ、そういえば“音無”って」
「そうそう。どこの音無って一年の音無小春ですよ。間違っても保険医の音無とは無関係」
「あやしいなぁ。もしかして女医がお母さんってこと? その人も今年からって聞いてるよ」
保険医の音無先生はとても優秀な方なので、小春の母と一緒にしてはいけない。
本当に血縁関係も何もない赤の他人なのだから。
時間はあっという間に過ぎ、放課後に来たアリスと共に、小春と餡蜜、セイの四人は三年生の教室があるフロアへ行く。
そこで彼女たちは宣戦布告する。
「勝負しろ、ヘタレ! この間の無様な姿は忘れてやる! 男ならもう一度ちゃんとした形で勝負して見ろや!」
「え?」
男バスの可哀想なイケメン先輩は「俺のこと?」という顔をする。
そして、日本語がそこまで流暢でないアリスの代わりに、音無小春が宣戦布告をした。